〜第一章〜 歪みの城へようこそ
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「あら、もうこんな時間。すっかり話し込んでしまったようだね」
アレグロが来てから早や数時間。
時刻は昼時を指していた。
「そろそろおいとまするわね」
「ジャム、ありがとうございました」
貰ったジャムの瓶を顔の高さまで持ち上げて見せながら別れの挨拶を済ませると、アレグロは来た道をゆっくりと歩き出した。
それを見送ると、ピアノも家の中へと入っていった。
部屋の中は、やりかけの掃除の跡、破れた小包と箱、窓から覗く干しっぱなしの洗濯物。
ピアノは、何から手を付けようかと迷うかと思いきや、真っ先に昼食の準備を始めた。
ふわふわの食パンをパン切り包丁でスライスし、そこへ先ほど貰ったベリーのジャムをたっぷりと塗る。
それを持ってテーブルに着くと、ひとまずスペースを空けるため、テーブルの上の箱や包装紙を腕で隅に寄せた。
行儀は悪いが、生憎両手はふさがっているし、一人暮らしのため誰に指摘されるわけでもない。
ようやく昼食の支度が整うと、ピアノは大口を開けて一口、また一口とパンにかじりついた。
「う〜ん、甘酸っぱくて美味しい」
口の周りに付いたジャムとパンくずを指でぬぐい、それをなめた。
パンはあっという間に完食された。
食器をシンクへ持っていき、洗い物を済ませる。
「さて、と」
ピアノは出掛ける準備を始めた。
どうやら、破ってしまった分の包装用紙を買いに行くようだ。
雑貨屋がある隣町まではバスが通っておらず、かなりの距離を歩かなければならない。
もちろん車も持っていない。
支度を済ませると、勢いよく扉を開けた。
長い道のりを経て隣町へ向かう。
草木が生い茂り、舗装されていない泥道を歩くと、やがてレンガで整備された道へと出た。
ここまで来れば町まではすぐだ。
その証拠に、案内看板も立てかけられている。
そして、最後の峠を越えれば……。
「やっと、着いた!」
Welcomeと書かれた町門をくぐると、そこは決して大きな町ではないが、ピアノが住んでいる場所と比べれば充分に賑わっている町が広がっていた。
「ふんふ〜ん」
そんな町の雰囲気に感化され、ピアノは思わず鼻歌を口ずさむ。
「さて、雑貨屋はどこかな〜」
この町には主に食材を買いに来るが、それ以外の目的で訪れることはあまりないため、店探しに少し手こずる。
「あ、ここだ!」
お目当てのお店を見つけて買い物を済ませる。
外に出る頃には、日が沈み始めていた。
「急いで帰らないと」
町には街灯があるが、帰り道にはなく、最悪真っ暗な道を歩く羽目になる。
速足で歩く。
……。
…………。
誰かに付けられている気がする。
曲がり角でチラッと横目で後ろを確認すると、いかにも怪しげな黒スーツを着た男が二人。
一人は小柄で、一人は大柄だ。
当たり前だが、付けられる心当たりはない。
付いてくる足音の主を巻くため、入り組んだ道を選びながら歩いているうちに、いつの間にか知らない道へ迷い込んでしまっていた。
行き止まりに当たるとまずい、と思った矢先、次の角を曲がったところで行き止まりにぶつかってしまう。
隠れられるような障害物もない。
「どうしよう……」
もしかして、この壁のどこかに隠し扉が?
藁にもすがる思いで壁を叩く。
だが、予想通り何の変哲もない、ただの壁だった。
もうダメだ。
訳も分からず付けられ、怖い思いをして、絶望に打ちひしがれる。
そのとき、急に目の前の壁がバチバチと音を立て、黒い空間が出現した。
壁に手をついて体重をかけていたピアノは、有無を言わせずその黒い空間に倒れ込むように吸い込まれていく。
ピアノが黒い空間に消えてからほどなくして、壁はいつもの静けさを取り戻した。
アレグロが来てから早や数時間。
時刻は昼時を指していた。
「そろそろおいとまするわね」
「ジャム、ありがとうございました」
貰ったジャムの瓶を顔の高さまで持ち上げて見せながら別れの挨拶を済ませると、アレグロは来た道をゆっくりと歩き出した。
それを見送ると、ピアノも家の中へと入っていった。
部屋の中は、やりかけの掃除の跡、破れた小包と箱、窓から覗く干しっぱなしの洗濯物。
ピアノは、何から手を付けようかと迷うかと思いきや、真っ先に昼食の準備を始めた。
ふわふわの食パンをパン切り包丁でスライスし、そこへ先ほど貰ったベリーのジャムをたっぷりと塗る。
それを持ってテーブルに着くと、ひとまずスペースを空けるため、テーブルの上の箱や包装紙を腕で隅に寄せた。
行儀は悪いが、生憎両手はふさがっているし、一人暮らしのため誰に指摘されるわけでもない。
ようやく昼食の支度が整うと、ピアノは大口を開けて一口、また一口とパンにかじりついた。
「う〜ん、甘酸っぱくて美味しい」
口の周りに付いたジャムとパンくずを指でぬぐい、それをなめた。
パンはあっという間に完食された。
食器をシンクへ持っていき、洗い物を済ませる。
「さて、と」
ピアノは出掛ける準備を始めた。
どうやら、破ってしまった分の包装用紙を買いに行くようだ。
雑貨屋がある隣町まではバスが通っておらず、かなりの距離を歩かなければならない。
もちろん車も持っていない。
支度を済ませると、勢いよく扉を開けた。
長い道のりを経て隣町へ向かう。
草木が生い茂り、舗装されていない泥道を歩くと、やがてレンガで整備された道へと出た。
ここまで来れば町まではすぐだ。
その証拠に、案内看板も立てかけられている。
そして、最後の峠を越えれば……。
「やっと、着いた!」
Welcomeと書かれた町門をくぐると、そこは決して大きな町ではないが、ピアノが住んでいる場所と比べれば充分に賑わっている町が広がっていた。
「ふんふ〜ん」
そんな町の雰囲気に感化され、ピアノは思わず鼻歌を口ずさむ。
「さて、雑貨屋はどこかな〜」
この町には主に食材を買いに来るが、それ以外の目的で訪れることはあまりないため、店探しに少し手こずる。
「あ、ここだ!」
お目当てのお店を見つけて買い物を済ませる。
外に出る頃には、日が沈み始めていた。
「急いで帰らないと」
町には街灯があるが、帰り道にはなく、最悪真っ暗な道を歩く羽目になる。
速足で歩く。
……。
…………。
誰かに付けられている気がする。
曲がり角でチラッと横目で後ろを確認すると、いかにも怪しげな黒スーツを着た男が二人。
一人は小柄で、一人は大柄だ。
当たり前だが、付けられる心当たりはない。
付いてくる足音の主を巻くため、入り組んだ道を選びながら歩いているうちに、いつの間にか知らない道へ迷い込んでしまっていた。
行き止まりに当たるとまずい、と思った矢先、次の角を曲がったところで行き止まりにぶつかってしまう。
隠れられるような障害物もない。
「どうしよう……」
もしかして、この壁のどこかに隠し扉が?
藁にもすがる思いで壁を叩く。
だが、予想通り何の変哲もない、ただの壁だった。
もうダメだ。
訳も分からず付けられ、怖い思いをして、絶望に打ちひしがれる。
そのとき、急に目の前の壁がバチバチと音を立て、黒い空間が出現した。
壁に手をついて体重をかけていたピアノは、有無を言わせずその黒い空間に倒れ込むように吸い込まれていく。
ピアノが黒い空間に消えてからほどなくして、壁はいつもの静けさを取り戻した。
