脂肪=幸せの量
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〜脂肪=幸せの量〜
私は昔から料理を作ることが好きだった。
個性も私に料理を作れと言わんばかりに適したもの。
個性『はかり』は持った物の重さが分かる。
これによって計量せずに料理を作ることができる。
学校も調理系の学校、職場も飲食勤めだ。
もちろんお付き合いをしている恋人にも私の料理を振る舞った。
そしてそれは今日も……。
私の家にご飯を食べに来ている彼氏のツカサ。
いつも美味しい美味しいといって食べてくれるのに、今日は箸の進みが悪い。
それどころか、急に食べる手を止めて箸を置いた。
「●●の作る飯なんだけど……」
「うん?」
ツカサの口に合わなかったのかな、と思い再度おかずを口に運ぶ。
やっぱり問題ないと思う。
「お前と付き合うようになってから10キロ太ったんだけど」
「それが何?」
私のご飯を食べすぎて太ったと言いたいのだろうか。
それならば、
「私はツカサが太っても気にしないよ?」
と、フォローした。
だって私は見た目よりも中身でツカサのことが好きになったから。
それなのに、
「いや、俺が気にするんだよ!」
「?!」
急に大声で言い返されて驚いた。
「友達には太ったって言われるし、女にはモテなくなったし」
私と付き合っているのに女の子にモテる必要があるのだろうか、と疑問に思いながらも、ツカサの言い分を黙って聞いた。
「今年から新入社員の指導係を頼まれてさ、その子がめちゃくちゃ可愛くて。やっぱり格好良いって思われたいじゃん」
ああ、なるほど。
あわよくば乗り換えたい、と。
「はっきり言えばいいじゃん」
「あん?」
「私と別れたいって」
「だけど、お前の飯は美味いから手放すのは惜しい」
私はツカサの飯炊き係かよ。
性格で好きになったはずなのに、私って見る目がないのかな。
「可愛い可愛い新入社員の子に作ってもらえばいいんじゃない?」
半ば呆れ気味に言うと、
「それが、その子の昼飯がいつもコンビニ弁当でさ。自炊苦手っぽくて」
いらない情報を得意げに話された。
「だから、明日からヘルシーな飯を頼む!」
なんて両手を合わせて頼み込んでくるツカサ。
ふざけないでよ……。
「出てって……」
「え?」
ツカサは引き受けてもらえると思ったのか、拍子抜けしたような返事をした。
「聞こえなかったの?出ていってって言ったの!」
「そんなに怒ることかよ。だって、●●は飯を作るのが好きなんだろ?」
好きな人に美味しいって食べて貰いたくて作ってきたのであって、アナタの次の恋のために作りたいわけじゃない。
「人を馬鹿にするのもいい加減にして!」
「ああ、そうかよ!お前がそんな薄情なやつだとは思わなかった!」
「なっ!」
薄情?私が?
「お望み通り別れてやるよ!」
ツカサは荷物をまとめて乱暴に扉を閉めて家を出て行った。
こうして私はツカサと別れた。
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