探し人は誰ですか
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私はファットガムさんの元へと駆け寄った。
「ファットガムさん!」
「いや〜結構いいの喰らってもうたわ」
ヘラヘラと笑いながら振り向くファットガムさんの姿は、私が知っている彼ではなかった。
「その姿……」
そう、その姿はまるで……。
「ダメージを受けると蓄えてた脂肪が消耗するんや」
なんて説明をしてくれたけれど、そんなことよりも……。
「見つけた……」
「ん?」
「私の探していた人、見つけました!」
「なんや、さっきのボクサーか?!」
ファットガムさんは咄嗟にボクサーが去っていった方向を見た。
「じゃなくて、アナタです!ファットガムさん!」
頼もしい背中、シュッとしたスタイル、どこか疲れたような表情だけどそれを感じさせないような明るい声。
間違いなく先週私を助けてくれた人。
「なんやて!!」
まさか自分だとは思っていなかったのか、ファットガムさんは大袈裟に驚くリアクションをした。
さすが関西人と言ったところか。
「通りでこの道、通った記憶があったんや」
「覚えていないんですか?」
「うーん、この姿やったってことは相当ダメージを喰らっていて、意識が朦朧としとったんかな」
「そうですか……」
「すまんな、忘れてもうて」
そうか、覚えているのは私だけなんだ。
ちょっとだけ寂しい気持ちになった。
だけど、今の姿の時といつもの姿の時、2度も助けられた。
思い出は私の中にあればいい。
そう思えるくらい、出会えたことが嬉しかった。
「代わりにはならんかもしれんけど、昨日今日のことは絶対に忘れへんから!」
「……」
その言い方はまるで一生のお別れのように感じられた。
そうだよね。
だって、調査の依頼内容は一目惚れした人を探す、だから。
もう見つかったから。
「それと明日以降の●●ちゃんとの出来事も忘れへんから!」
「明日以降……?」
明日以降も会えるの?
「だって、今度たこ焼き食いに来るやろ?」
「いいんですか?」
「ええも何も約束したやろ?それに、こないべっぴんさんに惚れられて、はいさようならって言えるほど、俺は出来た人間やないから」
「たこ焼き、ファットガムさんの分も食べちゃうかもしれませんよ?」
「飽きるほど食べに来たらええ」
「太っちゃうな〜!」
私が一目惚れした人は頼もしい背中、シュッとしたときと丸っこい姿があって、いつも明るい人。
そして、たこ焼きを焼くのが上手な人だ。
ーーFinーー
「ファットガムさん!」
「いや〜結構いいの喰らってもうたわ」
ヘラヘラと笑いながら振り向くファットガムさんの姿は、私が知っている彼ではなかった。
「その姿……」
そう、その姿はまるで……。
「ダメージを受けると蓄えてた脂肪が消耗するんや」
なんて説明をしてくれたけれど、そんなことよりも……。
「見つけた……」
「ん?」
「私の探していた人、見つけました!」
「なんや、さっきのボクサーか?!」
ファットガムさんは咄嗟にボクサーが去っていった方向を見た。
「じゃなくて、アナタです!ファットガムさん!」
頼もしい背中、シュッとしたスタイル、どこか疲れたような表情だけどそれを感じさせないような明るい声。
間違いなく先週私を助けてくれた人。
「なんやて!!」
まさか自分だとは思っていなかったのか、ファットガムさんは大袈裟に驚くリアクションをした。
さすが関西人と言ったところか。
「通りでこの道、通った記憶があったんや」
「覚えていないんですか?」
「うーん、この姿やったってことは相当ダメージを喰らっていて、意識が朦朧としとったんかな」
「そうですか……」
「すまんな、忘れてもうて」
そうか、覚えているのは私だけなんだ。
ちょっとだけ寂しい気持ちになった。
だけど、今の姿の時といつもの姿の時、2度も助けられた。
思い出は私の中にあればいい。
そう思えるくらい、出会えたことが嬉しかった。
「代わりにはならんかもしれんけど、昨日今日のことは絶対に忘れへんから!」
「……」
その言い方はまるで一生のお別れのように感じられた。
そうだよね。
だって、調査の依頼内容は一目惚れした人を探す、だから。
もう見つかったから。
「それと明日以降の●●ちゃんとの出来事も忘れへんから!」
「明日以降……?」
明日以降も会えるの?
「だって、今度たこ焼き食いに来るやろ?」
「いいんですか?」
「ええも何も約束したやろ?それに、こないべっぴんさんに惚れられて、はいさようならって言えるほど、俺は出来た人間やないから」
「たこ焼き、ファットガムさんの分も食べちゃうかもしれませんよ?」
「飽きるほど食べに来たらええ」
「太っちゃうな〜!」
私が一目惚れした人は頼もしい背中、シュッとしたときと丸っこい姿があって、いつも明るい人。
そして、たこ焼きを焼くのが上手な人だ。
ーーFinーー
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