脂肪=幸せの量
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ーーおまけーー
「●●、久しぶり!元気そうでよかった!」
「うん、クミも相変わらずだね!」
専門学校時代の友人、クミと数年ぶりの再会。
カフェのテーブルに並んだ色鮮やかなタルトを前に、私たちは積もる話に花を咲かせていた。
「それでさ、ツカサと別れてから良い出会いはあったの?」
「実は……最近、同棲を始めたんだ」
誰かに話すのは初めてで、なんだか頬が熱くなる。
「えー!おめでとう!どんな人?趣味は?仕事は?」
「えっと……かなり、ぽっちゃりだけど。毎日私の作ったご飯を、本当に幸せそうに食べてくれる人なの」
太志郎さんがプロヒーローファットガムであることは、彼の活動の支障にならないよう伏せることにしている。
「あはは、ツカサは太ったって文句言って振ってきたんでしょ?元々ぽっちゃりな人なら、太っても気にしなさそうだね」
クミの言葉には少し棘があったけれど、今の私には全く響かない。
むしろ、彼が蓄えている脂肪は、彼が誰かを守るためのものだから。
「でもさ、いくら食べてくれるからって、あんまり作りすぎるとお腹破裂しちゃうよ?」
「ふふ、気をつけるね」
クミは冗談めかして笑っていた。
だけど、最近の太志郎さんの食べっぷりを見ていると、笑い事ではないのかもしれない。
本人は「大丈夫」と、笑っているけれど、本当にいつかお腹が破裂してしまうのではないか、と心配になる。
ーーーー
その夜のことだ。
「今日は特売だったから、いっぱい作っちゃった!」
テーブルの隙間が見えなくなるほど並べた料理に、太志郎さんの目が輝く。
「うわぁ!これ全部、食うてええの?!」
「もちろん!召し上がれ」
「いただきまーす!」
彼は凄まじい勢いで料理を頬張っていく。
「美味い!……こっちも美味い……あれも美味い!……全部美味い!」
半分ほど平らげると、何かがおかしいことに気が付いた。
一口食べるごとに、彼のお腹が目に見えて膨らんでいくのだ。
ぷく、ぷく……ぷくぅぅ……。
パンパンに張り詰め、限界を超えて引き伸ばされた彼の体が、ついに……。
パチイィンッッッ!!
「っ……ひっ!?」
大きな破裂音と共に、私は跳ねるように目を覚ました。
「夢……?」
暗い寝室。
キングサイズのベッドの隣を見れば、そこにはスヤスヤと寝息を立てる、いつもの太志郎さんがいた。
もちろん、お腹は大きいけれど、風船のように破裂する気配はない。
クミがあんな話をするから……。
冷や汗を拭い、私はホッと胸を撫で下ろした。
正夢にならないように、少しだけ献立を考え直そう。
そう思いながら、私は早めの朝食の支度に取り掛かった。
ーーーー
その日の夜。
仕事から帰宅した私は、まだ誰もいないキッチンで鼻歌混じりに鍋を火にかけていた。
食材が煮え、香りが立ち始めた頃。
「ただいま〜……。ああ、ええ匂いや……」
玄関のドアが開く音。
私はコンロの火を止め、エプロンを整えてお迎えに走った。
「おかえりなさ……い……え?」
そこに立っていた人物を見て、私は言葉を失った。
一回り、いや二回り以上も細くなった、太志郎さんの面影を持つ男性。
金髪の癖っ毛も、声も、着ている服も彼なのに、その体格だけが彼とは似ても似つかない。
「……太志郎さん、なの?」
まさか本当に、破裂しちゃった……?
私は半信半疑のまま、彼のお腹をペタペタと触りまくった。
「な、何してるん?こしょばいって!」
「……お腹に、穴が空いていないかの確認」
どこにも裂け目も、空気の抜けた穴もない。
ただ、あの柔らかいマシュマロのような質感が、今は硬い筋肉の塊に変わっている。
「ぷはははっ!そうか、●●ちゃんはこの姿を見るの、初めてやったな!」
頭上から降ってきたのは、聞き慣れた豪快な笑い声。
「これはローファット言うてな。今日の戦いで、脂肪を全部消耗しきってもうたんや」
「元に、戻るの……?」
「当たり前や!2、3日もあれば、元通りぷよぷよになれるから心配せんでええよ」
「……よかったー!」
私は思わず、その細くなった腰に抱きついた。
確かに今の彼も驚くほど格好良いけれど、腕が背中で簡単に組めてしまう細さは、どこか落ち着かない。
「せやけど、痩せてもうた分、また●●ちゃんのご飯で幸せを貯め直さなあかんな!」
「もー!太志郎さんったら……!」
姿は変わっても、食いしん坊なのはいつもの太志郎さんのまま。
私はキッチンへ戻り、火を止めていた鍋に再び火を入れた。
「よし!腕によりをかけて、振る舞っちゃうんだから!」
私は気合を入れるために、腕捲くりをした。
「●●、久しぶり!元気そうでよかった!」
「うん、クミも相変わらずだね!」
専門学校時代の友人、クミと数年ぶりの再会。
カフェのテーブルに並んだ色鮮やかなタルトを前に、私たちは積もる話に花を咲かせていた。
「それでさ、ツカサと別れてから良い出会いはあったの?」
「実は……最近、同棲を始めたんだ」
誰かに話すのは初めてで、なんだか頬が熱くなる。
「えー!おめでとう!どんな人?趣味は?仕事は?」
「えっと……かなり、ぽっちゃりだけど。毎日私の作ったご飯を、本当に幸せそうに食べてくれる人なの」
太志郎さんがプロヒーローファットガムであることは、彼の活動の支障にならないよう伏せることにしている。
「あはは、ツカサは太ったって文句言って振ってきたんでしょ?元々ぽっちゃりな人なら、太っても気にしなさそうだね」
クミの言葉には少し棘があったけれど、今の私には全く響かない。
むしろ、彼が蓄えている脂肪は、彼が誰かを守るためのものだから。
「でもさ、いくら食べてくれるからって、あんまり作りすぎるとお腹破裂しちゃうよ?」
「ふふ、気をつけるね」
クミは冗談めかして笑っていた。
だけど、最近の太志郎さんの食べっぷりを見ていると、笑い事ではないのかもしれない。
本人は「大丈夫」と、笑っているけれど、本当にいつかお腹が破裂してしまうのではないか、と心配になる。
ーーーー
その夜のことだ。
「今日は特売だったから、いっぱい作っちゃった!」
テーブルの隙間が見えなくなるほど並べた料理に、太志郎さんの目が輝く。
「うわぁ!これ全部、食うてええの?!」
「もちろん!召し上がれ」
「いただきまーす!」
彼は凄まじい勢いで料理を頬張っていく。
「美味い!……こっちも美味い……あれも美味い!……全部美味い!」
半分ほど平らげると、何かがおかしいことに気が付いた。
一口食べるごとに、彼のお腹が目に見えて膨らんでいくのだ。
ぷく、ぷく……ぷくぅぅ……。
パンパンに張り詰め、限界を超えて引き伸ばされた彼の体が、ついに……。
パチイィンッッッ!!
「っ……ひっ!?」
大きな破裂音と共に、私は跳ねるように目を覚ました。
「夢……?」
暗い寝室。
キングサイズのベッドの隣を見れば、そこにはスヤスヤと寝息を立てる、いつもの太志郎さんがいた。
もちろん、お腹は大きいけれど、風船のように破裂する気配はない。
クミがあんな話をするから……。
冷や汗を拭い、私はホッと胸を撫で下ろした。
正夢にならないように、少しだけ献立を考え直そう。
そう思いながら、私は早めの朝食の支度に取り掛かった。
ーーーー
その日の夜。
仕事から帰宅した私は、まだ誰もいないキッチンで鼻歌混じりに鍋を火にかけていた。
食材が煮え、香りが立ち始めた頃。
「ただいま〜……。ああ、ええ匂いや……」
玄関のドアが開く音。
私はコンロの火を止め、エプロンを整えてお迎えに走った。
「おかえりなさ……い……え?」
そこに立っていた人物を見て、私は言葉を失った。
一回り、いや二回り以上も細くなった、太志郎さんの面影を持つ男性。
金髪の癖っ毛も、声も、着ている服も彼なのに、その体格だけが彼とは似ても似つかない。
「……太志郎さん、なの?」
まさか本当に、破裂しちゃった……?
私は半信半疑のまま、彼のお腹をペタペタと触りまくった。
「な、何してるん?こしょばいって!」
「……お腹に、穴が空いていないかの確認」
どこにも裂け目も、空気の抜けた穴もない。
ただ、あの柔らかいマシュマロのような質感が、今は硬い筋肉の塊に変わっている。
「ぷはははっ!そうか、●●ちゃんはこの姿を見るの、初めてやったな!」
頭上から降ってきたのは、聞き慣れた豪快な笑い声。
「これはローファット言うてな。今日の戦いで、脂肪を全部消耗しきってもうたんや」
「元に、戻るの……?」
「当たり前や!2、3日もあれば、元通りぷよぷよになれるから心配せんでええよ」
「……よかったー!」
私は思わず、その細くなった腰に抱きついた。
確かに今の彼も驚くほど格好良いけれど、腕が背中で簡単に組めてしまう細さは、どこか落ち着かない。
「せやけど、痩せてもうた分、また●●ちゃんのご飯で幸せを貯め直さなあかんな!」
「もー!太志郎さんったら……!」
姿は変わっても、食いしん坊なのはいつもの太志郎さんのまま。
私はキッチンへ戻り、火を止めていた鍋に再び火を入れた。
「よし!腕によりをかけて、振る舞っちゃうんだから!」
私は気合を入れるために、腕捲くりをした。
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