Interview with HERO
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取材5日目。
屋上へ続く重い扉を押し開けた瞬間、そこには先客が立っていた。
だけど、そのシルエットに赤い翼はない。
代わりに、漆黒の衣装を纏った人物が、私に気付いて静かに歩み寄ってきた。
「◯◯さんですか?」
「え、あ、はい。アナタは?」
「ホークスからアナタに言伝 を預かってきた」
「言伝?」
差し出されたのは、1枚の手紙。
彼はそれを受け取った私を確認すると、
「確かに渡した」
とだけ残し、黒い羽を広げて空へ溶けていった。
事務所のサイドキックか、それともヒーロー仲間だろうか。
私は震える手で、その手紙を広げた。
“ごめん、昨日の雨で風邪引いちゃった。今日は行けそうにないや”
殴り書きのような筆致。
読み終えた瞬間、こみ上げてきたのは呆れだった。
さっさと帰ればよかったのに。
寄り道なんかするから、風邪なんて引くのよ……。
「バカなんだから……」
口ではそう言ったけれど、なぜか胸がきゅっと苦しくなった。
昨日、庇の下で肩を並べていた時の、あの湿った空気と彼の体温が蘇る。
手紙をしまおうと鞄を開けると、1枚の写真が目に留まった。
昨晩、どうしても気になって現像してしまったもの。
雨に濡れた髪を掻き上げ、ほんの一瞬、遠くを見つめたホークスの姿。
初日のような無音動画を作る根気はもうなかったけれど、あの時の彼の表情だけは、どうしても形として残しておきたかったのだ。
マスコミに売るためじゃない。
誰かに自慢するためでもない。
ただ、私1人のためだけに現像した写真。
改めて指先でその表面をなぞり、まじまじと見つめる。
「……この写真の顔、好きかも」
不意に溢れた独り言。
雑誌やテレビで見るような、貼り付けられたヒーロースマイルじゃない。
どこか疲れていて、それでいてひどく人間臭い、これがホークスの素なんだと思わせる表情。
「……って、何を考えてるのよ私は!あ、あくまで自分の撮った写真の構図が最高ってだけで!」
誰もいない屋上で、私は自分自身に向かって必死に弁解する。
「そうよ、ホークスのことが好きなワケじゃない。ただの被写体としての興味……そう、それだけ……」
言い聞かせるほど、言葉は虚しく響いた。
彼がいない屋上は、いつもよりずっと広く、冷たい風が吹き抜ける。
「……明日は、来るといいな」
写真を鞄へしまい直し、私は1人でビルの階段を下りた。
屋上へ続く重い扉を押し開けた瞬間、そこには先客が立っていた。
だけど、そのシルエットに赤い翼はない。
代わりに、漆黒の衣装を纏った人物が、私に気付いて静かに歩み寄ってきた。
「◯◯さんですか?」
「え、あ、はい。アナタは?」
「ホークスからアナタに
「言伝?」
差し出されたのは、1枚の手紙。
彼はそれを受け取った私を確認すると、
「確かに渡した」
とだけ残し、黒い羽を広げて空へ溶けていった。
事務所のサイドキックか、それともヒーロー仲間だろうか。
私は震える手で、その手紙を広げた。
“ごめん、昨日の雨で風邪引いちゃった。今日は行けそうにないや”
殴り書きのような筆致。
読み終えた瞬間、こみ上げてきたのは呆れだった。
さっさと帰ればよかったのに。
寄り道なんかするから、風邪なんて引くのよ……。
「バカなんだから……」
口ではそう言ったけれど、なぜか胸がきゅっと苦しくなった。
昨日、庇の下で肩を並べていた時の、あの湿った空気と彼の体温が蘇る。
手紙をしまおうと鞄を開けると、1枚の写真が目に留まった。
昨晩、どうしても気になって現像してしまったもの。
雨に濡れた髪を掻き上げ、ほんの一瞬、遠くを見つめたホークスの姿。
初日のような無音動画を作る根気はもうなかったけれど、あの時の彼の表情だけは、どうしても形として残しておきたかったのだ。
マスコミに売るためじゃない。
誰かに自慢するためでもない。
ただ、私1人のためだけに現像した写真。
改めて指先でその表面をなぞり、まじまじと見つめる。
「……この写真の顔、好きかも」
不意に溢れた独り言。
雑誌やテレビで見るような、貼り付けられたヒーロースマイルじゃない。
どこか疲れていて、それでいてひどく人間臭い、これがホークスの素なんだと思わせる表情。
「……って、何を考えてるのよ私は!あ、あくまで自分の撮った写真の構図が最高ってだけで!」
誰もいない屋上で、私は自分自身に向かって必死に弁解する。
「そうよ、ホークスのことが好きなワケじゃない。ただの被写体としての興味……そう、それだけ……」
言い聞かせるほど、言葉は虚しく響いた。
彼がいない屋上は、いつもよりずっと広く、冷たい風が吹き抜ける。
「……明日は、来るといいな」
写真を鞄へしまい直し、私は1人でビルの階段を下りた。
