Interview with HERO
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取材3日目。
「今日は、ほぼ時間通りね」
屋上のフェンスに背を預け、私はやってきた赤い翼の持ち主に、少しだけ刺のある声を投げた。
「アハハ、昨日はごめんね」
悪びれる様子もなく、ホークスはひらりと私の隣に着地する。
昨日、彼にスリの情報を提供した後、私は彼が戻ってくるのを1時間以上もこの場所で待機していた。
結局彼は現れず、夕焼けの風に吹かれて冷えた体を引きずって帰宅したのだ。
忙しいのは分かっているけれど、せめて「先に帰ってて」くらい言ってほしかった。
いや、それも利用されるだけ利用されて放り出されたみたいで、なんだか癪だ。
「……まあ、いいですけど」
「アハハ、全然いいと思ってない顔してるよ、それ」
図星を指され、私はムッとして視線を逸らした。
「そんなに怖い顔しないで。ほら、今日も楽しくお喋りしようよ。今日は何を聞きたい?」
「……そんな気分じゃないんですけど。……あ、そうだ」
私はふと思い出し、昨日の事件の結末を尋ねた。
「昨日のスリ、捕まえられたの?」
「ああ、お陰様でね。あの後すぐに確保できたよ。昨日は待ち合わせ時間の数分前に仕事に駆り出されちゃってさ。あの火災現場で逃げ遅れた人たちの救助に手一杯だったんだ」
そう言って笑う彼の背中を、私は改めて見つめる。
そこには、いつもより一回りほど小さく、まばらになっている赤い翼があった。
たかがボヤだと思っていたけれど、あんな羽になるまで、必死に飛び回っていたのね……。
「やっと救助が終わったー、と思ったら今度はスリ被害でしょ?弱ったなと思って屋上を見上げたら、●●さんがいたからさ。もしかして見てないかなーって寄ってみたら、ビンゴ。本当に助かったよ、ありがとう」
「ふ、ふーん……。まあ、お礼を言われるようなことじゃ……」
面と向かって真っ直ぐに感謝を伝えられると、気恥ずかしくなってしまう。
いつまでもふて腐れているのが馬鹿らしくなって、固く結んでいた口元が、自分でも気付かないうちに緩んでいくのが分かった。
「……別に、ホークスの為に教えたんじゃないから。被害者の為よ」
「分かっていますよ。そういうところは、信用していますから」
ホークスは穏やかな笑みを浮かべながら、意味深なことを言った。
……そういうところは、ね。
彼が信用していないもの。
それは、私が握っているスクープ写真を本当に消すかどうか、だろう。
私にとって、あのデータは彼との交渉を有利に進めるための、いわば人質だ。
そう簡単に手放すつもりはない。
そして、彼がまだ気付いていないことがもう1つ。
今この瞬間も、私の眼は彼の横顔を撮影し続けているということ。
彼が私の撮影手法を知らない限り、この個性は切り札になる。
「……じゃあ、今日のお喋りを始めましょうか。時間は限られてるんだから」
私は次の一手を考え始めた。
「今日は、ほぼ時間通りね」
屋上のフェンスに背を預け、私はやってきた赤い翼の持ち主に、少しだけ刺のある声を投げた。
「アハハ、昨日はごめんね」
悪びれる様子もなく、ホークスはひらりと私の隣に着地する。
昨日、彼にスリの情報を提供した後、私は彼が戻ってくるのを1時間以上もこの場所で待機していた。
結局彼は現れず、夕焼けの風に吹かれて冷えた体を引きずって帰宅したのだ。
忙しいのは分かっているけれど、せめて「先に帰ってて」くらい言ってほしかった。
いや、それも利用されるだけ利用されて放り出されたみたいで、なんだか癪だ。
「……まあ、いいですけど」
「アハハ、全然いいと思ってない顔してるよ、それ」
図星を指され、私はムッとして視線を逸らした。
「そんなに怖い顔しないで。ほら、今日も楽しくお喋りしようよ。今日は何を聞きたい?」
「……そんな気分じゃないんですけど。……あ、そうだ」
私はふと思い出し、昨日の事件の結末を尋ねた。
「昨日のスリ、捕まえられたの?」
「ああ、お陰様でね。あの後すぐに確保できたよ。昨日は待ち合わせ時間の数分前に仕事に駆り出されちゃってさ。あの火災現場で逃げ遅れた人たちの救助に手一杯だったんだ」
そう言って笑う彼の背中を、私は改めて見つめる。
そこには、いつもより一回りほど小さく、まばらになっている赤い翼があった。
たかがボヤだと思っていたけれど、あんな羽になるまで、必死に飛び回っていたのね……。
「やっと救助が終わったー、と思ったら今度はスリ被害でしょ?弱ったなと思って屋上を見上げたら、●●さんがいたからさ。もしかして見てないかなーって寄ってみたら、ビンゴ。本当に助かったよ、ありがとう」
「ふ、ふーん……。まあ、お礼を言われるようなことじゃ……」
面と向かって真っ直ぐに感謝を伝えられると、気恥ずかしくなってしまう。
いつまでもふて腐れているのが馬鹿らしくなって、固く結んでいた口元が、自分でも気付かないうちに緩んでいくのが分かった。
「……別に、ホークスの為に教えたんじゃないから。被害者の為よ」
「分かっていますよ。そういうところは、信用していますから」
ホークスは穏やかな笑みを浮かべながら、意味深なことを言った。
……そういうところは、ね。
彼が信用していないもの。
それは、私が握っているスクープ写真を本当に消すかどうか、だろう。
私にとって、あのデータは彼との交渉を有利に進めるための、いわば人質だ。
そう簡単に手放すつもりはない。
そして、彼がまだ気付いていないことがもう1つ。
今この瞬間も、私の眼は彼の横顔を撮影し続けているということ。
彼が私の撮影手法を知らない限り、この個性は切り札になる。
「……じゃあ、今日のお喋りを始めましょうか。時間は限られてるんだから」
私は次の一手を考え始めた。
