遮るものは何もない
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貰った屋台のご飯を食べ終わる頃には、花火の時間が近付いていた。
「この先に花火が綺麗に見られる場所があるから、行ってみようか」
「え、それって……」
「混雑して、もしかしたら乱闘が起きるかもしれないからね」
「あ……はい」
てっきり穴場スポットだから連れて行ってくれると思ったのに……。
そうだよね。
ホークスは仕事できているんだもの。
忘れていた。
「じゃあ、行こうか」
恋人ならはぐれないように手を繋いでくれるんだろうけど、私たちはそんな関係ではない。
人の波に流されながら、必死にホークスの後を追いかけた。
そんなとき、ポロリとイヤリングが外れた。
「あっ……!」
コロコロと転がるイヤリング。
しゃがんで探しているうちに、気が付けば人混みでホークスの背中が見えなくなっていた。
連絡しないと……。
人混みから外れて、今いるところを連絡しようとスマホを取り出す。
"りんご飴の屋台の側にいます"
そこまでメッセージを打ってから気が付いた。
4件隣にも別のりんご飴屋さんがあることに。
似たような看板が並び、これでは目印にならない。
「どうしよう……」
しばらく立ち尽くしていると、祭りを彩る太鼓の音に紛れて、ドーンッと大きな音が鳴り響いた。
その音は夜空に大輪の花を咲かせる。
ああ、花火が始まっちゃった。
それに、結局迷惑をかけてしまった。
このまま別行動を取った方がいいかな。
でも、それこそホークスに迷惑をかけてしまう。
手には先ほど拾った鈴のイヤリング。
「……」
私はそれを軽く振った。
チリーン…… チリーン……
音が消えるより早く、頭上で巻き起こる風。
赤い翼が視界をよぎる。
瞬間、ホークスがふわりと降りてきた。
「鈴、鳴らしてくれてありがとう」
「ホークス?!」
思わず大きな声が出た。
安心と嬉しさが一気に押し寄せて胸がいっぱいになる。
本当に来てくれた。
本当にすぐに見つけてくれた。
「ごめんなさい、はぐれちゃって……。イヤリング拾ってたら……」
俯きながらイヤリングを見せる。
「でも、見つけられてよかった」
その表情は怒っているようには見えなかった。
優しい、ヒーローの顔。
見つめていると、再度花火が鳴り響き、夜空を鮮やかな光で照らす。
「花火……始まっちゃいましたね」
私のせいで折り返させてしまって、今からこの人混みを掻き分けながら穴場スポットへ向かうのは難しいだろう。
そう思っていると、彼は少しいたずらっぽく微笑んだ。
「職権乱用だけど……」
その言葉の後、ふいに腕を回され、宙へ持ち上げられる。
ふわっと体が軽くなり、あっという間に夜空の高みへ。
ホークスに抱かれて空を飛ぶのは今回で2回目。
遥か下の人混みも、屋台の列も、もう届かない場所。
2人だけの空に、色とりどりの花火が開く。
「うわぁ……凄い……」
「ほら、ここなら遮るものは何もない。もちろん、俺たちを遮るものもね」
「ホークス……」
アナタがどういうつもりで言っているのか分からないけれど、そんな言われ方をされたら勘違いしてしまう。
だけど、彼の言う通り、この広い夜空には私たちだけ。
だから、もう少しこのまま、アナタをひとり占めさせて。
ふとホークスの顔を見ると、彼の瞳には花々が映っていた。
ーーFinーー
「この先に花火が綺麗に見られる場所があるから、行ってみようか」
「え、それって……」
「混雑して、もしかしたら乱闘が起きるかもしれないからね」
「あ……はい」
てっきり穴場スポットだから連れて行ってくれると思ったのに……。
そうだよね。
ホークスは仕事できているんだもの。
忘れていた。
「じゃあ、行こうか」
恋人ならはぐれないように手を繋いでくれるんだろうけど、私たちはそんな関係ではない。
人の波に流されながら、必死にホークスの後を追いかけた。
そんなとき、ポロリとイヤリングが外れた。
「あっ……!」
コロコロと転がるイヤリング。
しゃがんで探しているうちに、気が付けば人混みでホークスの背中が見えなくなっていた。
連絡しないと……。
人混みから外れて、今いるところを連絡しようとスマホを取り出す。
"りんご飴の屋台の側にいます"
そこまでメッセージを打ってから気が付いた。
4件隣にも別のりんご飴屋さんがあることに。
似たような看板が並び、これでは目印にならない。
「どうしよう……」
しばらく立ち尽くしていると、祭りを彩る太鼓の音に紛れて、ドーンッと大きな音が鳴り響いた。
その音は夜空に大輪の花を咲かせる。
ああ、花火が始まっちゃった。
それに、結局迷惑をかけてしまった。
このまま別行動を取った方がいいかな。
でも、それこそホークスに迷惑をかけてしまう。
手には先ほど拾った鈴のイヤリング。
「……」
私はそれを軽く振った。
チリーン…… チリーン……
音が消えるより早く、頭上で巻き起こる風。
赤い翼が視界をよぎる。
瞬間、ホークスがふわりと降りてきた。
「鈴、鳴らしてくれてありがとう」
「ホークス?!」
思わず大きな声が出た。
安心と嬉しさが一気に押し寄せて胸がいっぱいになる。
本当に来てくれた。
本当にすぐに見つけてくれた。
「ごめんなさい、はぐれちゃって……。イヤリング拾ってたら……」
俯きながらイヤリングを見せる。
「でも、見つけられてよかった」
その表情は怒っているようには見えなかった。
優しい、ヒーローの顔。
見つめていると、再度花火が鳴り響き、夜空を鮮やかな光で照らす。
「花火……始まっちゃいましたね」
私のせいで折り返させてしまって、今からこの人混みを掻き分けながら穴場スポットへ向かうのは難しいだろう。
そう思っていると、彼は少しいたずらっぽく微笑んだ。
「職権乱用だけど……」
その言葉の後、ふいに腕を回され、宙へ持ち上げられる。
ふわっと体が軽くなり、あっという間に夜空の高みへ。
ホークスに抱かれて空を飛ぶのは今回で2回目。
遥か下の人混みも、屋台の列も、もう届かない場所。
2人だけの空に、色とりどりの花火が開く。
「うわぁ……凄い……」
「ほら、ここなら遮るものは何もない。もちろん、俺たちを遮るものもね」
「ホークス……」
アナタがどういうつもりで言っているのか分からないけれど、そんな言われ方をされたら勘違いしてしまう。
だけど、彼の言う通り、この広い夜空には私たちだけ。
だから、もう少しこのまま、アナタをひとり占めさせて。
ふとホークスの顔を見ると、彼の瞳には花々が映っていた。
ーーFinーー
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