Interview with HERO
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〜interview with HERO〜
私の仕事はフリーのカメラマン。
趣味のバードウォッチングならぬヒーローウォッチングを兼ねて、今日も出かける。
観察場所は鳥がいそうな大自然や山々ではなく、事件が起こりそうな街。
特に高層ビルの屋上なんかは最適。
以前から目星を付けていた高層ビルの屋上に椅子を設置して、双眼鏡を片手にヒーローウォッチングを始めた。
今日はどんなヒーローが飛んでいるのか、はたまたどんな事件が見られるのか。
ちなみに、カメラマンなのに双眼鏡しか持っていないのは私の個性『瞬間記憶』があるから。
これによって目に映った物は逃さない。
特注の受信機をパソコンに付けることによって、私の脳内の記憶を送信することもできる。
欠点としては、瞬間記憶したものは一日経てば忘れてしまうため、保存したいデータは忘れずにその日のうちに送信しなければいけない。
もし永久に記憶できるとしたら、脳みそがパンクしてしまうからね。
それから視力に限ったことなので、音声とか他の記憶力は人並である。
こうしたデータをマスコミに売って商売しているのが私の仕事でもある。
ちなみに、先週の週刊誌に載った“お忍びでスカイヒーローがお空のデート?!”の記事の写真は私が撮った物。
そうこうしているうちに、風と共に空中を凄まじい速さで通り抜けた物体。
急いで個性を使って確認すると、女子高生をお姫様抱っこしているウィングヒーローのホークスの姿が。
「これはスクープだ!」
今日はついている!
見出しはそうだな……“速すぎる男ホークス、ついにJKに手を出す?!”
もうここで粘っていてもこれ以上のものは撮れない。
早速帰ってコマ送りして一番良い画像をマスコミに送らないと。
帰り支度をしていると、いつの間にか目の前にホークスが降り立った。
「えっ……ホークス……」
「ねえ、聞きたいんだけど」
「は、はい。何でしょうか」
ひょっとしてさっきの姿を見たことを問い詰めようとしている?
だけど、私の手元にはカメラなんてない。
いくらだって誤魔化せる。
そう思っていたのに、
「お姉さん、フリーのカメラマンの◯◯●●さんでしょ」
「……」
どうやら私の素性がバレているらしく、隠すのは無理らしい。
「単刀直入に言うけど、写真消してくれない?」
「ぐっ……」
こうなれば私も開き直るしかない。
「逆に聞きますけど、女子高生を抱き抱えていたのは後ろめたいことがあったからですか?」
ホークスは髪の毛をくしゃっと掻き、ため息を吐いた。
「あの子は怪我をしていたから病院まで運んだだけ」
「それなら何故消せなんて……」
「俺がいくら真実を話そうが、お姉さんがあることないこと言ってマスコミに渡したら、それが真実になる。だから、根源から絶とうと」
なるほどね。
だけど、
「消すことによって、私に何か得がありますか?こっちも生活がかかっているので」
「うーん……」
そう、こっちだって必死なんだ。
お遊びではない。
ホークスはしばらく悩んだ末、ある提案をした。
「それなら、お姉さんに代わりの情報を渡すよ」
「例えば?」
「それはカメラマンの腕を見せてよ」
「?」
言っている意味が分からない。
「明日から一週間、この場所で今くらいの時間に15分だけ寄ることにするよ。それで俺とお喋りをしよう」
「はあ」
「だから、その会話で俺の情報を引き出せばいい」
確かに悪くない話だ。
おそらく、ホークスは私がカメラマンだと言うことは知っているけれど、どうやって撮影しているかまでは知らないはず。
ひとまず今日のスクープ画像はパソコンに保存しておいて、有益な情報が得られなければそれを売れば良い。
良心が痛まないと言ったら嘘になるけれど、それはリスクを考えられないホークスの方に非がある。
「分かった。明日、この時間にね」
「交渉成立」
ホークスはそう言って飛び立った。
一瞬の出来事。
彼の姿はもう見えなかった。
「速っ……」
明日に備えてボイスレコーダーでも用意しようかな。
私もビルを後にした。
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