見た目じゃない
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~見た目じゃない~
朝起きて、朝食の用意を始めていると、決まって現れるヤツがいる。
「なんで毎朝うちに来るかな~」
慣れた手つきで茶碗に白米をよそっているこの男は、宮治。
彼は私の抗議など平然と聞き流し、当然のように席に着いた。
「ええやん、1人分も2人分も大して変わらへんやろ」
「そういう問題じゃ……」
呆れてため息が出る。
そんなことに気にも止めない治は、
「いただきます」
とマイペースに呟いて、箸を動かし始める。
彼とは、結婚しているワケでも、付き合っているワケでもない。
ただの高校の同級生。
それも、卒業して数年が経った元同級生だ。
社会人になり、疎遠になる友人が増えていく中で、こうして縁が続いているのは本来ありがたいことなのだろう。
だけど、ここまで図々しくされるのは予想外だ。
「それにしても、何この飯。茶色いな~」
「昨日の夜の残りだし。嫌なら食べなくて結構です」
白いご飯、味噌汁、揚げ物の残り。
1人暮らしの朝なんて、丁寧に彩りを考えている余裕はない。
なんなら、私はこれらをお弁当箱に詰めて昼も食べるつもりだ。
ときには、三色同じメニューのときだってある。
「治だってお店の余り物とか残りとかあるんじゃないの?そっちを食べればいいのに」
治は、若くして自分の店を構える職人だ。
おにぎり専門店“おにぎり宮”。
食のプロが、わざわざ私の適当な手料理を食べに来る必要なんてどこにもないはずなのに。
「見た目はアレでも味は旨いからな、●●の飯は」
治は揚げ物を口に運び、咀嚼しながらぼそりと呟いた。
「はいはい、そろそろ仕事行かないといけないから、早く食べちゃってよ」
なんだかんだ、彼は毎回「旨い」と言って平らげてくれる。
その食べっぷりの良さを見ていると、結局「まあ、明日もいいか」と許してしまう自分がいた。
「ご馳走さまでした」
「お粗末様です」
カチャカチャと食器を片付け、シンクで水を流す。
洗剤の泡を手に広げていると、後ろから彼の低い声が聞こえてきた。
「●●もたまには俺の店で飯食べてってぇや。奢るで」
振り返ると、彼はすでに玄関へ向かっていた。
扉が閉まる間際、ひらひらと手が振られる。
本当に自由人なんだから……。
嵐のように去っていくその後ろ姿を見送ってから、ふと壁の時計に目をやった。
「……やばっ、時間っ!」
今日もまた、騒がしくて少しだけ温かい1日が、バタバタと幕を開けた。
~見た目じゃない~
朝起きて、朝食の用意を始めていると、決まって現れるヤツがいる。
「なんで毎朝うちに来るかな~」
慣れた手つきで茶碗に白米をよそっているこの男は、宮治。
彼は私の抗議など平然と聞き流し、当然のように席に着いた。
「ええやん、1人分も2人分も大して変わらへんやろ」
「そういう問題じゃ……」
呆れてため息が出る。
そんなことに気にも止めない治は、
「いただきます」
とマイペースに呟いて、箸を動かし始める。
彼とは、結婚しているワケでも、付き合っているワケでもない。
ただの高校の同級生。
それも、卒業して数年が経った元同級生だ。
社会人になり、疎遠になる友人が増えていく中で、こうして縁が続いているのは本来ありがたいことなのだろう。
だけど、ここまで図々しくされるのは予想外だ。
「それにしても、何この飯。茶色いな~」
「昨日の夜の残りだし。嫌なら食べなくて結構です」
白いご飯、味噌汁、揚げ物の残り。
1人暮らしの朝なんて、丁寧に彩りを考えている余裕はない。
なんなら、私はこれらをお弁当箱に詰めて昼も食べるつもりだ。
ときには、三色同じメニューのときだってある。
「治だってお店の余り物とか残りとかあるんじゃないの?そっちを食べればいいのに」
治は、若くして自分の店を構える職人だ。
おにぎり専門店“おにぎり宮”。
食のプロが、わざわざ私の適当な手料理を食べに来る必要なんてどこにもないはずなのに。
「見た目はアレでも味は旨いからな、●●の飯は」
治は揚げ物を口に運び、咀嚼しながらぼそりと呟いた。
「はいはい、そろそろ仕事行かないといけないから、早く食べちゃってよ」
なんだかんだ、彼は毎回「旨い」と言って平らげてくれる。
その食べっぷりの良さを見ていると、結局「まあ、明日もいいか」と許してしまう自分がいた。
「ご馳走さまでした」
「お粗末様です」
カチャカチャと食器を片付け、シンクで水を流す。
洗剤の泡を手に広げていると、後ろから彼の低い声が聞こえてきた。
「●●もたまには俺の店で飯食べてってぇや。奢るで」
振り返ると、彼はすでに玄関へ向かっていた。
扉が閉まる間際、ひらひらと手が振られる。
本当に自由人なんだから……。
嵐のように去っていくその後ろ姿を見送ってから、ふと壁の時計に目をやった。
「……やばっ、時間っ!」
今日もまた、騒がしくて少しだけ温かい1日が、バタバタと幕を開けた。
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