胃袋を掴まれたら最後
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ーーおまけ(宮治side)ーー
「治、お前ももっと飲めや!いつも作る側やで、今日はたくさん食べな」
「おおきに」
「てか、侑はどうしたん?」
「ああ、ツムは遠征で来れん言うてた」
「そら、残念やな!」
ビール瓶を片手にした同級生が、上機嫌で俺の肩を叩く。
居酒屋の座敷では、あちこちで笑い声が弾み、数年ぶりに再会した連中は、お互いの近況報告に花を咲かせていた。
話題が仕事からプライベートへと移り変わった頃、1人がニヤニヤしながら俺に顔を寄せた。
「そう言えば、結婚生活はどうよ。嫁さん、飯は作ってくれるんか?さすがに仕事でも家でも作るのは大変やろ」
その問いに、俺は手元のグラスを揺らしながら、迷わず答える。
「いや、飯は俺が作っとるで」
「はぁ?!なんでや!」
予想通りの反応が返ってきた。
「嫁さん、料理下手やねん」
俺が平然と言うと、周りの連中は一斉に爆笑した。
「そら災難やな!」
「一生、嫁が逃がしてくれんとちゃう?」
「治、お前苦労しとるんやなぁ」
同級生たちは同情の眼差しを向けてくるが、俺は心中で静かに鼻で笑った。
災難?逃がしてくれない?苦労?
……アホか。逆や、逆。
俺なしで生きられんよう、胃袋を掴んで、彼女を逃がさへんよう仕向けとるんは、俺の方や。
だから、今日は●●を家に残して来たのが、気が気やなかった。
今頃、何食うとるんやろう……。
外食や惣菜で済ませるならいい。
だけど、万が一にでも料理をしようものなら、包丁で手を切るかもしれない。
コンロの火を点けっぱなしで、焦がすならまだしも、火事にでもなったら……。
“私のことは心配しないで、楽しんできてね”
そう、明るく送り出してくれたけれど、彼女の不器用っぷりを知っている身からしては、心配でしかなかった。
時計を見れば、宴も中盤。
周りは酔いが回り、盛り上がってきた頃。
「治、グラス空やん!次、何飲む?」
目の前に差し出されたメニュー表を、俺は静かに断った。
「……悪い、俺、今日はここまでにするわ」
「えー!これからやん!」
「すまん、どうしても外せへん用事思い出してん」
半分呆れられ、半分感心されながら、俺は足早に店を後にした。
タクシーを拾うまでの数分がもどかしい。
お腹空かせて泣きそうな顔しとらんか。
それとも、変なもん食って腹壊しとらんか……。
酒のせいで思考が鈍くなっているはずなのに、頭で考えるのは、●●の胃袋のことばかり。
もし暗いリビングで1人、ひもじい思いをしとったら。
「……急いでください」
運転手さんにそう告げて、俺は逸る気持ちを抑えながら、●●が待つ家へと急いだ。
「治、お前ももっと飲めや!いつも作る側やで、今日はたくさん食べな」
「おおきに」
「てか、侑はどうしたん?」
「ああ、ツムは遠征で来れん言うてた」
「そら、残念やな!」
ビール瓶を片手にした同級生が、上機嫌で俺の肩を叩く。
居酒屋の座敷では、あちこちで笑い声が弾み、数年ぶりに再会した連中は、お互いの近況報告に花を咲かせていた。
話題が仕事からプライベートへと移り変わった頃、1人がニヤニヤしながら俺に顔を寄せた。
「そう言えば、結婚生活はどうよ。嫁さん、飯は作ってくれるんか?さすがに仕事でも家でも作るのは大変やろ」
その問いに、俺は手元のグラスを揺らしながら、迷わず答える。
「いや、飯は俺が作っとるで」
「はぁ?!なんでや!」
予想通りの反応が返ってきた。
「嫁さん、料理下手やねん」
俺が平然と言うと、周りの連中は一斉に爆笑した。
「そら災難やな!」
「一生、嫁が逃がしてくれんとちゃう?」
「治、お前苦労しとるんやなぁ」
同級生たちは同情の眼差しを向けてくるが、俺は心中で静かに鼻で笑った。
災難?逃がしてくれない?苦労?
……アホか。逆や、逆。
俺なしで生きられんよう、胃袋を掴んで、彼女を逃がさへんよう仕向けとるんは、俺の方や。
だから、今日は●●を家に残して来たのが、気が気やなかった。
今頃、何食うとるんやろう……。
外食や惣菜で済ませるならいい。
だけど、万が一にでも料理をしようものなら、包丁で手を切るかもしれない。
コンロの火を点けっぱなしで、焦がすならまだしも、火事にでもなったら……。
“私のことは心配しないで、楽しんできてね”
そう、明るく送り出してくれたけれど、彼女の不器用っぷりを知っている身からしては、心配でしかなかった。
時計を見れば、宴も中盤。
周りは酔いが回り、盛り上がってきた頃。
「治、グラス空やん!次、何飲む?」
目の前に差し出されたメニュー表を、俺は静かに断った。
「……悪い、俺、今日はここまでにするわ」
「えー!これからやん!」
「すまん、どうしても外せへん用事思い出してん」
半分呆れられ、半分感心されながら、俺は足早に店を後にした。
タクシーを拾うまでの数分がもどかしい。
お腹空かせて泣きそうな顔しとらんか。
それとも、変なもん食って腹壊しとらんか……。
酒のせいで思考が鈍くなっているはずなのに、頭で考えるのは、●●の胃袋のことばかり。
もし暗いリビングで1人、ひもじい思いをしとったら。
「……急いでください」
運転手さんにそう告げて、俺は逸る気持ちを抑えながら、●●が待つ家へと急いだ。
2/2ページ
