寝ても覚めても
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午後の授業が始まる予鈴が鳴った。
いつもよりお腹がはち切れそうだった。
だって、治君がプリンだけでなく、シュークリームも奢ってくれたから。
それに加え、持ってきたお弁当を食べれば、自ずと……。
お腹を擦っていると、先生が教室に入ってきた。
「席に着けー」
黒板の前に立つ。
いつもならそのまますんなり授業が始まるはずなのに、今日はどこか様子が違った。
「あれ……?おかしいな……」
先生はブツブツ呟きながら机の上をあちこち探し始め、慌ただしくファイルを開けたり閉めたりする。
そして、ついに、
「すまん、みんな。今日配ろう思ってたプリント、職員室に忘れてきてもうたわ。すぐ取ってくるから、その間大人しくしといてー」
そう言い残し、先生は軽く手を振りながら教室を出て行く。
扉が閉まって先生の足音が遠ざかると、張り詰めていた教室の空気が、ふっと緩んだ。
その瞬間、あちこちでざわざわとお喋りが始まった。
「先生、珍しくない?」
「なあ、さっきの続き聞かせてや」
「昨日のドラマ見た?」
教室はたちまち、昼休みのような賑やかさになった。
机同士を寄せてスマホを覗き込む子、こっそりゲームを始める子。
みんな、それぞれ好きなことを始めて、誰も先生が言った大人しくするように、なんて守る気配はない。
私はと言うと、窓の外をぼーっと眺めることにした。
風に揺れる木々の音が微かに聞こえた気がする。
次に治君を見ると、彼はやっぱり寝ていた。
最近の治君は、授業が始まるとすぐに机に突っ伏して寝るのが当たり前になっている。
「もうすぐ先生戻ってくるよー」
彼の耳にそっと囁きかけた、その瞬間。
不意に、自分の唇に柔らかい感触が触れた。
「っっ!?」
顔を上げると、それは間違いなく治君の唇。
私からじゃない。
どう考えても治君が顔を動かしてきたことになる。
ずっと寝ていると思っていた治君が、いつの間にかぱっちりと目を開けていて、私のことを見つめていた。
驚きで、頭が真っ白になる。
「治……君……今までも……寝たフリを……?」
「……やっと気付いたん?」
今までの、あの不自然だった行動や眠り方。
全部フリだったんだ。
全てが繋がった気がした。
「……ズルい」
思わずそう呟くと、治君はイタズラが成功したときみたいにニヤリと笑った。
「◯◯さん。今度は寝とるときやなくて、起きとるときの俺も、ちゃんと見てな?」
「!?」
その言葉に、胸の奥がドキンとした。
顔を真っ赤にしたまま私は机に突っ伏してしまう。
しばらくして、先生がプリントを抱えて教室に戻ってきても、私はずっと顔を上げられないままでいた。
ーーFinーー
いつもよりお腹がはち切れそうだった。
だって、治君がプリンだけでなく、シュークリームも奢ってくれたから。
それに加え、持ってきたお弁当を食べれば、自ずと……。
お腹を擦っていると、先生が教室に入ってきた。
「席に着けー」
黒板の前に立つ。
いつもならそのまますんなり授業が始まるはずなのに、今日はどこか様子が違った。
「あれ……?おかしいな……」
先生はブツブツ呟きながら机の上をあちこち探し始め、慌ただしくファイルを開けたり閉めたりする。
そして、ついに、
「すまん、みんな。今日配ろう思ってたプリント、職員室に忘れてきてもうたわ。すぐ取ってくるから、その間大人しくしといてー」
そう言い残し、先生は軽く手を振りながら教室を出て行く。
扉が閉まって先生の足音が遠ざかると、張り詰めていた教室の空気が、ふっと緩んだ。
その瞬間、あちこちでざわざわとお喋りが始まった。
「先生、珍しくない?」
「なあ、さっきの続き聞かせてや」
「昨日のドラマ見た?」
教室はたちまち、昼休みのような賑やかさになった。
机同士を寄せてスマホを覗き込む子、こっそりゲームを始める子。
みんな、それぞれ好きなことを始めて、誰も先生が言った大人しくするように、なんて守る気配はない。
私はと言うと、窓の外をぼーっと眺めることにした。
風に揺れる木々の音が微かに聞こえた気がする。
次に治君を見ると、彼はやっぱり寝ていた。
最近の治君は、授業が始まるとすぐに机に突っ伏して寝るのが当たり前になっている。
「もうすぐ先生戻ってくるよー」
彼の耳にそっと囁きかけた、その瞬間。
不意に、自分の唇に柔らかい感触が触れた。
「っっ!?」
顔を上げると、それは間違いなく治君の唇。
私からじゃない。
どう考えても治君が顔を動かしてきたことになる。
ずっと寝ていると思っていた治君が、いつの間にかぱっちりと目を開けていて、私のことを見つめていた。
驚きで、頭が真っ白になる。
「治……君……今までも……寝たフリを……?」
「……やっと気付いたん?」
今までの、あの不自然だった行動や眠り方。
全部フリだったんだ。
全てが繋がった気がした。
「……ズルい」
思わずそう呟くと、治君はイタズラが成功したときみたいにニヤリと笑った。
「◯◯さん。今度は寝とるときやなくて、起きとるときの俺も、ちゃんと見てな?」
「!?」
その言葉に、胸の奥がドキンとした。
顔を真っ赤にしたまま私は机に突っ伏してしまう。
しばらくして、先生がプリントを抱えて教室に戻ってきても、私はずっと顔を上げられないままでいた。
ーーFinーー
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