ほんのチョコっとだけ
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~ほんのチョコっとだけ~
スマホのカレンダーを見ると明日から2月に入る。
この月はどうも苦手だ。
友チョコ、義理チョコ、自分チョコ、そして本命。
頭の中がチョコに占領されてしまうから。
別にチョコ自体が嫌いな訳ではない。
むしろ好きな方だ。
ただ、バレンタインの空気が嫌いなだけ。
チョコが欲しい男子生徒は普段しないアピールを女子生徒にしたり、女子生徒も義理チョコと偽って本命を密かに忍ばせる駆け引きをしたり。
そんなソワソワした空気。
もちろん私だって恋する高校生。
好きな人はいるし、できるものならバレンタインにあやかって告白したい。
だけど、渡したところで私の好きな人には思いが伝わらないと思う。
たくさん貰うチョコの中の1つになってしまうから。
ーーーー
教室の扉を開けると、案の定男子生徒はソワソワしているし、女子生徒はお菓子のレシピ本を広げて見ていた。
「はぁ〜」
あと2週間はこの空気なのか。
うんざりする。
席に着き、教材を机の中にしまっていると、
「●●ー!おはよう、待っていたよ!」
「おはよう、元気だね」
朝から絡んで来たこの子は友達のミソラ。
ミソラは空席だった私の前の席に座り、体ごとこちらへ向けた。
「今年は●●も一緒に本命チョコ作ろうよ!これとかどう?」
そう言いながら、スマホの画面を見せてきた。
そこに書かれていた内容とは、
「材料はたった3つ。絶対に失敗しない生チョコレシピ……」
ミソラは盛大に勘違いをしている。
去年も同じ誘いを断ったから、私がお菓子作りを下手だと思っているんだ。
そこまで不器用じゃないし。
だけど、訂正するのも面倒だから即答で断る。
「パス」
「えー!なんでー!だって好きな人いるんでしょ?!」
「イベントに便乗して付き合えたところで、どうせすぐに別れるよ」
中学高校とそういう子たちを見てきた。
ホワイトデーを過ぎたら急に別れだすカップルを。
「だとしても、何もしないのもつまらないじゃん」
「嫌なものは嫌」
「なら、本命じゃなくて友チョコはどう?私も●●と交換したいし、部活の子とか……あとは宮兄弟!確か幼馴染なんでしょ?」
「……」
その幼馴染の片割れ、宮治が私の本命何だけど、とは口が裂けても言えなかった。
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