魔法のおにぎり
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おにぎりが無性に食べたい。
「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」
気が付いたときには、おにぎり宮の扉をくぐっていた。
今日はチラホラ他のお客さんがいる。
「お嬢ちゃん、見ない顔だな」
「はあ」
常連らしきおじちゃんに話しかけられた。
少し離れた席に座ろうかな、そんなことを考えていたら、
「2回目やんな」
思わず声の方を見ると、店主さんとバッチリ目が合ってしまった。
「覚えてたんですか」
「うちみたいな小さい店は初見さん以外はみんな常連さんなんや。それに、この間の質問も答えてへんし」
あんな独り言のような質問、忘れてよかったのに。
「なんだ、なんだ。彼女の有無でも聞かれたんか?」
「ゲンさん、そんなんちゃうわ」
ゲンさんと呼ばれた常連さんは店主さんを茶化すようにガハハと笑った。
「治ちゃんはな、彼女も嫁さんもおらんよ」
「余計なことを」
聞いてもいないことをペラペラと話す常連さん。
治ちゃんと言うのは店主さんのことかな?
「ごめんな、今日は何食べていく?」
二人のやり取りを聞いていたため注文を決めていなかった。
慌ててメニュー表を見る。
「高菜と昆布で」
「味噌汁は?」
「お願いします」
店主さんは慣れた手付きでおにぎりを握っていく。
相変わらず綺麗な三角。
「いただきます」
うん、美味しい。
「俺、食べることが好きだったんだ」
この間の質問の答えだろう。
「でも、お店開いてから美味しそうに食べてくれるお客さんの顔を見たら、作る喜びが勝ってきてな。今は6:4で作る方が好き。お客さんの顔が見れるカウンター席あってこその特権やけどな」
「くぅー嬉しいこと言うね!じゃあ、お土産に筋子と鮭貰おうかな」
「おおきに」
常連さんは店主さんから持ち帰りのおにぎりを受け取ると、上機嫌で帰っていった。
静かになった店内で、私はおにぎりを頬張りながら店主さんの答えを心の中で反復した。
お客さんの顔を見たら、か。それなら尚更、
「答えを聞いて、私は食べる方が好きだと思いました」
確かにお店を持てばそう言う考えになるとは思う。
逆に言えば学生生活の間は作る方が好きになるなんて難しいと思った。
「店主さんは…」
「治。常連さんは皆そう呼んでる」
「でも、私は」
「お嬢ちゃんはもう常連さんやろ?」
2回目なのに常連扱いをしてくれるのが、少しくすぐったく感じた。
「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」
気が付いたときには、おにぎり宮の扉をくぐっていた。
今日はチラホラ他のお客さんがいる。
「お嬢ちゃん、見ない顔だな」
「はあ」
常連らしきおじちゃんに話しかけられた。
少し離れた席に座ろうかな、そんなことを考えていたら、
「2回目やんな」
思わず声の方を見ると、店主さんとバッチリ目が合ってしまった。
「覚えてたんですか」
「うちみたいな小さい店は初見さん以外はみんな常連さんなんや。それに、この間の質問も答えてへんし」
あんな独り言のような質問、忘れてよかったのに。
「なんだ、なんだ。彼女の有無でも聞かれたんか?」
「ゲンさん、そんなんちゃうわ」
ゲンさんと呼ばれた常連さんは店主さんを茶化すようにガハハと笑った。
「治ちゃんはな、彼女も嫁さんもおらんよ」
「余計なことを」
聞いてもいないことをペラペラと話す常連さん。
治ちゃんと言うのは店主さんのことかな?
「ごめんな、今日は何食べていく?」
二人のやり取りを聞いていたため注文を決めていなかった。
慌ててメニュー表を見る。
「高菜と昆布で」
「味噌汁は?」
「お願いします」
店主さんは慣れた手付きでおにぎりを握っていく。
相変わらず綺麗な三角。
「いただきます」
うん、美味しい。
「俺、食べることが好きだったんだ」
この間の質問の答えだろう。
「でも、お店開いてから美味しそうに食べてくれるお客さんの顔を見たら、作る喜びが勝ってきてな。今は6:4で作る方が好き。お客さんの顔が見れるカウンター席あってこその特権やけどな」
「くぅー嬉しいこと言うね!じゃあ、お土産に筋子と鮭貰おうかな」
「おおきに」
常連さんは店主さんから持ち帰りのおにぎりを受け取ると、上機嫌で帰っていった。
静かになった店内で、私はおにぎりを頬張りながら店主さんの答えを心の中で反復した。
お客さんの顔を見たら、か。それなら尚更、
「答えを聞いて、私は食べる方が好きだと思いました」
確かにお店を持てばそう言う考えになるとは思う。
逆に言えば学生生活の間は作る方が好きになるなんて難しいと思った。
「店主さんは…」
「治。常連さんは皆そう呼んでる」
「でも、私は」
「お嬢ちゃんはもう常連さんやろ?」
2回目なのに常連扱いをしてくれるのが、少しくすぐったく感じた。