食べたい、食べられたい
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ーーおまけ②(宮治side)ーー
●●ちゃんが「作りすぎたから食べに来て」言うて、家に招待してくれた。
それもわざわざ、俺の部活が休みの日を狙い澄まして。
本人は顔を少し赤うして、
「たまたま休みが重なっただけ!」
言い張っとるけど。
俺は知っとんねん。
先日、理石が作ったクッキーを食べた彼女が、険しい顔しとったことを。
これは、十中八九対抗心。
本当 素直やないというか、可愛いんやから。
「お邪魔しまーす」
「どうぞ。親はいないから気遣わなくていいからね」
玄関で靴を揃えとる時に聞いたその言葉に、一瞬だけ思考が止まる。
あえて言うとんのか、それとも無意識の天然か。
俺は、彼女の背中を追いながら階段を上がりつつ、様子をうかがった。
「今用意するから、適当に座って待ってて」
●●ちゃんは自室に俺を案内すると、そそくさと部屋から出ていった。
この様子やと、ほんまに他意はなさそうやな。
通された部屋を見渡すと、棚に並ぶ小物やらクッションの配色に彼女らしさが出てて、思わず口角が上がる。
「へぇ……こういうのが好きなんやな」
普段の学校生活では見られへん、彼女の生活の一部に触れとる感覚。
その優越感に浸っとったら、廊下からパタパタと足音が近付いてきた。
「お待たせ。はい、お茶」
お盆の上には、湯気を立てとるマグカップと、数種類のクッキーが盛られた皿。
「理石君みたいに、上手くできなかったけど……」
自信なさげに差し出された皿の上には、定番のボックスクッキーやら絞り出しクッキーに混じって、一際目立つ1枚があった。
「めっちゃ種類あるやん。……特にこれ、バレーボールのアイシング」
「あ、それは……たまたま、アイシングの材料があったから!」
「ふ〜ん。たまたま、ねぇ」
「何よ、その顔」
たまたま大量に焼いて、たまたま俺のオフの日に誘って、たまたまバレーボールの柄。
偶然が3つ重なったら、それはもう必然や。
「いや、なんでもなーい。いただきまーす!」
俺は迷わず、一番手間がかかっとるであろうバレーボールのクッキーを手に取った。
一口齧れば、バターの香りと優しい砂糖の甘さが口いっぱいに広がる。
「んまい!」
「本当!?よかった……」
その瞬間、彼女の顔にパッと花が咲いたみたいな笑顔が浮かぶ。
「本当 、本当 。これなら何枚でもいけるわ」
「ふふ、ありがとう」
言葉通り、あっという間にクッキーを平らげた。
「ご馳走さん」
「お粗末様でした」
……さて、この後の展開、彼女はどれくらい想定しとるんやろう。
親がおらん家。
2人きりの部屋。
腹が満たされたら、次に欲しなるもんは決まっとる。
「あ、おかわり淹れようか?」
皿を片付けようと身を乗り出した彼女を、俺は逃がさへん。
「なあ、次は俺のも食べて欲しいんやけど」
「ん?治君のも?……何か、持ってきてくれたの?」
小首を傾げて、純粋な疑問を浮かべる瞳。
何も分かっとらん。
その無垢さが、こっちの独占欲に火をつける。
……食うのは、クッキーだけやと思っとったん?
俺はニヤリと、獲物を追い詰めた獣みたいな笑みを浮かべた。
●●ちゃんが「作りすぎたから食べに来て」言うて、家に招待してくれた。
それもわざわざ、俺の部活が休みの日を狙い澄まして。
本人は顔を少し赤うして、
「たまたま休みが重なっただけ!」
言い張っとるけど。
俺は知っとんねん。
先日、理石が作ったクッキーを食べた彼女が、険しい顔しとったことを。
これは、十中八九対抗心。
「お邪魔しまーす」
「どうぞ。親はいないから気遣わなくていいからね」
玄関で靴を揃えとる時に聞いたその言葉に、一瞬だけ思考が止まる。
あえて言うとんのか、それとも無意識の天然か。
俺は、彼女の背中を追いながら階段を上がりつつ、様子をうかがった。
「今用意するから、適当に座って待ってて」
●●ちゃんは自室に俺を案内すると、そそくさと部屋から出ていった。
この様子やと、ほんまに他意はなさそうやな。
通された部屋を見渡すと、棚に並ぶ小物やらクッションの配色に彼女らしさが出てて、思わず口角が上がる。
「へぇ……こういうのが好きなんやな」
普段の学校生活では見られへん、彼女の生活の一部に触れとる感覚。
その優越感に浸っとったら、廊下からパタパタと足音が近付いてきた。
「お待たせ。はい、お茶」
お盆の上には、湯気を立てとるマグカップと、数種類のクッキーが盛られた皿。
「理石君みたいに、上手くできなかったけど……」
自信なさげに差し出された皿の上には、定番のボックスクッキーやら絞り出しクッキーに混じって、一際目立つ1枚があった。
「めっちゃ種類あるやん。……特にこれ、バレーボールのアイシング」
「あ、それは……たまたま、アイシングの材料があったから!」
「ふ〜ん。たまたま、ねぇ」
「何よ、その顔」
たまたま大量に焼いて、たまたま俺のオフの日に誘って、たまたまバレーボールの柄。
偶然が3つ重なったら、それはもう必然や。
「いや、なんでもなーい。いただきまーす!」
俺は迷わず、一番手間がかかっとるであろうバレーボールのクッキーを手に取った。
一口齧れば、バターの香りと優しい砂糖の甘さが口いっぱいに広がる。
「んまい!」
「本当!?よかった……」
その瞬間、彼女の顔にパッと花が咲いたみたいな笑顔が浮かぶ。
「
「ふふ、ありがとう」
言葉通り、あっという間にクッキーを平らげた。
「ご馳走さん」
「お粗末様でした」
……さて、この後の展開、彼女はどれくらい想定しとるんやろう。
親がおらん家。
2人きりの部屋。
腹が満たされたら、次に欲しなるもんは決まっとる。
「あ、おかわり淹れようか?」
皿を片付けようと身を乗り出した彼女を、俺は逃がさへん。
「なあ、次は俺のも食べて欲しいんやけど」
「ん?治君のも?……何か、持ってきてくれたの?」
小首を傾げて、純粋な疑問を浮かべる瞳。
何も分かっとらん。
その無垢さが、こっちの独占欲に火をつける。
……食うのは、クッキーだけやと思っとったん?
俺はニヤリと、獲物を追い詰めた獣みたいな笑みを浮かべた。
