食べたい、食べられたい
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「ここの教室空いてんで!誰もおらんでよかったな」
「そうだね」
ほら座って、と椅子を引いてくれた治君。
欲を言えば治君もいなければ落ち着いて食べられるのに。
こうなったらパッと食べて、サッと教室へ戻ろう。
鞄からお弁当箱を取り出すと、
「ちょっと待ちい!●●ちゃんに俺の作った弁当を食べてもらいたいんやけど」
「なんで?」
「俺が●●ちゃんの美味しそうに食べる顔が好きやから」
また、やたらむやみに“好き”って……。
勘違いするな。これはきっと、
「動物に餌やるときの感情?」
「ちゃうちゃう。そんなんやのうて、俺の性癖?」
ご飯を食べてる姿を見るのが性癖?
治君ってヤバい性格なのでは?
「ほんで、食べてくれへんの?●●ちゃんに食べてもらいとうて、一生懸命作ったのになー」
「うっ……」
そこまで言われて断るほど私も鬼ではない。
「分かったわよ」
満足そうに微笑んだ治君は保冷バッグからお弁当を取り出した。
「●●ちゃんのお弁当は俺が代わりに食べるから、はい、こっちね」
「え、足りる?」
小ぶりなお弁当。
女子の私でも少ないと思っているのに、男の子なら尚更。
「心配いらへんよ、自分用の弁当も持っとるで」
ああ、だから今日はいつもより大きな保冷バッグだったんだ。
弁当2つ分、正確には私のは0.5にも満たないかもしれないけれど、それなら安心だ。
治君から受け取ったお弁当はとても男子高生が作ったとは思えない品揃えだった。
「凄い美味しそう」
てっきり茶色一色だと思っていたのに。
「せやろ?さっ、食べてみい」
見た目通り味ももちろん美味しかった。
だけど、
「そんなに見られると食べづらいと言うか……あっち向いてて」
「なんでや、そないしたら食べとるところ見れへんやん」
だからそれが嫌だって言っているのに。
そんなことを思いつつもお弁当は美味しいわけで、私はしっかりと完食した。
「ご馳走様でした」
「お粗末様です」
「お弁当箱、洗って返すね」
「気にせんでええよ。明日も作ってくるし」
え、明日も……?
美味しかったけれど流石にそれは、
「悪いよ」
「俺がそうしたいから」
「それなら何か代わりにお礼を……」
治君はその言葉を待ってましたと言わんばかりにニヤリと笑った。
「せやったらハグさせてよ」
以前言っていたあれは本気だったのか。
抱き枕みたいで触り心地がいいからハグがしたい、と。
「……」
返事に詰まっていると、
「俺の弁当、美味かったやろ?」
「グッ……」
拒否権はないのか。
私、すっかり餌付けされていない?
「無言は肯定と捉えるからな。ほな、試しに今日から」
おそらく緊張でガチガチだ。
その様子を見て笑う治君。
「ははは、そない緊張せんでええよ。取って食おうなんてしぃひんから。今は」
今はって言った?
あっけにとられている間に、治君の大きな腕に包まれた。
「柔 らかいな」
「……っ」
階段から足を滑らせたときに助けてもらったアレとは比にならないくらいの密着。
「あらら、顔真っ赤やん」
「そ、そりゃ、そうなるよ」
むしろなんでそんなに平気そうなの?
その日からお昼は治君と食べるようになり、その後は決まって数秒だけハグをするようになった。
「そうだね」
ほら座って、と椅子を引いてくれた治君。
欲を言えば治君もいなければ落ち着いて食べられるのに。
こうなったらパッと食べて、サッと教室へ戻ろう。
鞄からお弁当箱を取り出すと、
「ちょっと待ちい!●●ちゃんに俺の作った弁当を食べてもらいたいんやけど」
「なんで?」
「俺が●●ちゃんの美味しそうに食べる顔が好きやから」
また、やたらむやみに“好き”って……。
勘違いするな。これはきっと、
「動物に餌やるときの感情?」
「ちゃうちゃう。そんなんやのうて、俺の性癖?」
ご飯を食べてる姿を見るのが性癖?
治君ってヤバい性格なのでは?
「ほんで、食べてくれへんの?●●ちゃんに食べてもらいとうて、一生懸命作ったのになー」
「うっ……」
そこまで言われて断るほど私も鬼ではない。
「分かったわよ」
満足そうに微笑んだ治君は保冷バッグからお弁当を取り出した。
「●●ちゃんのお弁当は俺が代わりに食べるから、はい、こっちね」
「え、足りる?」
小ぶりなお弁当。
女子の私でも少ないと思っているのに、男の子なら尚更。
「心配いらへんよ、自分用の弁当も持っとるで」
ああ、だから今日はいつもより大きな保冷バッグだったんだ。
弁当2つ分、正確には私のは0.5にも満たないかもしれないけれど、それなら安心だ。
治君から受け取ったお弁当はとても男子高生が作ったとは思えない品揃えだった。
「凄い美味しそう」
てっきり茶色一色だと思っていたのに。
「せやろ?さっ、食べてみい」
見た目通り味ももちろん美味しかった。
だけど、
「そんなに見られると食べづらいと言うか……あっち向いてて」
「なんでや、そないしたら食べとるところ見れへんやん」
だからそれが嫌だって言っているのに。
そんなことを思いつつもお弁当は美味しいわけで、私はしっかりと完食した。
「ご馳走様でした」
「お粗末様です」
「お弁当箱、洗って返すね」
「気にせんでええよ。明日も作ってくるし」
え、明日も……?
美味しかったけれど流石にそれは、
「悪いよ」
「俺がそうしたいから」
「それなら何か代わりにお礼を……」
治君はその言葉を待ってましたと言わんばかりにニヤリと笑った。
「せやったらハグさせてよ」
以前言っていたあれは本気だったのか。
抱き枕みたいで触り心地がいいからハグがしたい、と。
「……」
返事に詰まっていると、
「俺の弁当、美味かったやろ?」
「グッ……」
拒否権はないのか。
私、すっかり餌付けされていない?
「無言は肯定と捉えるからな。ほな、試しに今日から」
おそらく緊張でガチガチだ。
その様子を見て笑う治君。
「ははは、そない緊張せんでええよ。取って食おうなんてしぃひんから。今は」
今はって言った?
あっけにとられている間に、治君の大きな腕に包まれた。
「
「……っ」
階段から足を滑らせたときに助けてもらったアレとは比にならないくらいの密着。
「あらら、顔真っ赤やん」
「そ、そりゃ、そうなるよ」
むしろなんでそんなに平気そうなの?
その日からお昼は治君と食べるようになり、その後は決まって数秒だけハグをするようになった。