食べたい、食べられたい
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吊り橋効果とは言え、治君に助けてもらった日以来、彼のことが気になって仕方がない。
だから、見ないように教科書に視線を落とす。
それなのに、教室の対角線上にいる治君の方から、時折チクチクと刺すような視線を感じる。
きっと、予想以上に重たい女子、と思われているに違いない。
そして、最も残酷な時間がやってくる。
昼休みだ。
お弁当を広げたけれど、喉を通らない。
ふっと横を向くと、クラスメイトの北村君が、治君の席の近くで騒いでいるのが聞こえてきた。
「ところで治ってさー!好きなタイプってどんなんなん?」
心臓がドクリと跳ねた。
聞いてはいけないと分かっているのに、北村君の声量のせいで、嫌でも耳に入ってくる。
「なんや、急に……。でも、せやなー……ツムに似てへん人かな」
治君の声は、いつも通り低くて淡々としている。
ツム……それは双子の侑君。
つまり、治君の好みは、長身イケメンなお調子者ではない子、と言うことになる。
「おもんな!それ、ただの身内アンチやんけ!」
北村君のツッコミに、周りから小さな笑いが漏れる。
だけど、北村君はさらに踏み込んだ。
「せやけどさ、ぶっちゃけデブは嫌やろ?」
その瞬間、教室の喧騒が遠のいた気がした。
私の背中に冷たい汗が流れる。
「まあー……」
治君の口から漏れたのは、否定ではなかったけれど、肯定とも取れる、曖昧な相槌だった。
やっぱり、デブは嫌だよね……。
強ち“ツムに似ていない人”と言うのも、間違いではないのかもしれない。
私は、一口もつけていないお弁当の蓋をそっと閉じた。
1食、食べなかったところで、体重に影響はないだろう。
ただ単に、胃の奥がギュッと収縮して食欲がなくなっただけだ。
保冷バッグに弁当を押し込む手は、情けないほど震えていた。
ーーーー
帰宅した私は、母に弁当箱を差し出した。
「あら、お弁当……残したの?」
母の怪訝そうな声に、胸がチクリと痛む。
「うん、ごめん……」
「体調でも悪かった?どこか痛い?」
「そんなんじゃないけど……。お母さん、明日から半分の量でいいから」
「半分?アンタ、やっぱりどこか悪いんじゃ……」
「本当に大丈夫だからっ!」
母の言葉を遮るように、私は自室へ逃げ込んだ。
鏡を見ると、そこには醜い自分が映っていた。
「痩せないと……」
私はダイエットを決心した。
だから、見ないように教科書に視線を落とす。
それなのに、教室の対角線上にいる治君の方から、時折チクチクと刺すような視線を感じる。
きっと、予想以上に重たい女子、と思われているに違いない。
そして、最も残酷な時間がやってくる。
昼休みだ。
お弁当を広げたけれど、喉を通らない。
ふっと横を向くと、クラスメイトの北村君が、治君の席の近くで騒いでいるのが聞こえてきた。
「ところで治ってさー!好きなタイプってどんなんなん?」
心臓がドクリと跳ねた。
聞いてはいけないと分かっているのに、北村君の声量のせいで、嫌でも耳に入ってくる。
「なんや、急に……。でも、せやなー……ツムに似てへん人かな」
治君の声は、いつも通り低くて淡々としている。
ツム……それは双子の侑君。
つまり、治君の好みは、長身イケメンなお調子者ではない子、と言うことになる。
「おもんな!それ、ただの身内アンチやんけ!」
北村君のツッコミに、周りから小さな笑いが漏れる。
だけど、北村君はさらに踏み込んだ。
「せやけどさ、ぶっちゃけデブは嫌やろ?」
その瞬間、教室の喧騒が遠のいた気がした。
私の背中に冷たい汗が流れる。
「まあー……」
治君の口から漏れたのは、否定ではなかったけれど、肯定とも取れる、曖昧な相槌だった。
やっぱり、デブは嫌だよね……。
強ち“ツムに似ていない人”と言うのも、間違いではないのかもしれない。
私は、一口もつけていないお弁当の蓋をそっと閉じた。
1食、食べなかったところで、体重に影響はないだろう。
ただ単に、胃の奥がギュッと収縮して食欲がなくなっただけだ。
保冷バッグに弁当を押し込む手は、情けないほど震えていた。
ーーーー
帰宅した私は、母に弁当箱を差し出した。
「あら、お弁当……残したの?」
母の怪訝そうな声に、胸がチクリと痛む。
「うん、ごめん……」
「体調でも悪かった?どこか痛い?」
「そんなんじゃないけど……。お母さん、明日から半分の量でいいから」
「半分?アンタ、やっぱりどこか悪いんじゃ……」
「本当に大丈夫だからっ!」
母の言葉を遮るように、私は自室へ逃げ込んだ。
鏡を見ると、そこには醜い自分が映っていた。
「痩せないと……」
私はダイエットを決心した。
