見た目じゃない
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気付けば、私は無意識に馴染みの場所へと足を向けていた。
おにぎり宮の引き戸を開けると、店内に広がる出汁の香りに、張り詰めていた心の糸がぷつりと切れた。
「すんまへん、昼の営業はもう終わって……って、●●?」
厨房で夜の仕込みをしていた治が、顔を上げた。
「治……」
「どないしたん、●●!今日はデートや言うてへんかったか?」
ボロボロの私の様子を見て、彼は即座に包丁を置いた。
忙しいはずなのに、手を洗ってすぐに私の隣の席に座り、大きな手で肩を支えてくれる。
「ブタの餌って言われた……」
消え入りそうな声で、私は鞄から例のお弁当箱を取り出した。
「はぁ?」
「お弁当、ふざけてるのかって。騙された、時間の無駄だって……」
「……なんやそいつ!今すぐこの場に呼び出せや!ど突いたるわ!」
怒りに任せて治がカウンターを拳で叩く。
「やめて!……それに、私も悪いの。治に握ってもらったおにぎりを、さも自分が作ったみたいに振る舞ったから。……きっと、嘘を吐いた罰が当たったんだよ」
俯く私の視界に、治の手が伸びてきた。
彼は迷うことなくお弁当の蓋を開け、箸も使わずに、冷めた唐揚げをひょいと口に放り込んだ。
「……俺、●●の汚い飯、好きやで」
「……ちょっと、言い方」
思わずツッコミを入れた私を見て、治は少しだけ安心したように口角を上げた。
「本当 やもん。見た目が悪い?結構やんけ。見た目で判断して中身も食わんようなヤツなんか、こっちから願い下げや。……なあ、もうそんなヤツやめて、俺でええやん」
「……え?」
「俺やったら、●●の作る不格好な飯ごと愛してやれる。……俺にしとき」
真剣な眼差しが、私の瞳を射抜く。
いつもふざけ合っていた男とは思えない、熱を帯びた声だった。
「治……」
「●●、好きやで」
あまりにも直球な言葉に、心臓が跳ね上がる。
だけど、木村君とあんな別れ方をした直後で、私の頭はまだ追いついていなかった。
「あ、その……でも。治のことは今までそんな風に見たことなかったから、急に言われてびっくりしてるというか、戸惑ってるというか……」
「嫌やったか?」
「嫌なんかじゃないよ!むしろ、嬉しかった……」
そこまで言って、顔が火を吹くように熱くなる。
治はそれを見て、満足げに、でもどこか挑戦的な笑みを浮かべた。
「分かった。今日はそれでええわ。……せやけど、もう遠慮なんかしぃひんからな? ●●も覚悟しとき」
そう笑った治の表情は、今まで見たことがないくらい精悍で、男らしかった。
ーーFinーー
おにぎり宮の引き戸を開けると、店内に広がる出汁の香りに、張り詰めていた心の糸がぷつりと切れた。
「すんまへん、昼の営業はもう終わって……って、●●?」
厨房で夜の仕込みをしていた治が、顔を上げた。
「治……」
「どないしたん、●●!今日はデートや言うてへんかったか?」
ボロボロの私の様子を見て、彼は即座に包丁を置いた。
忙しいはずなのに、手を洗ってすぐに私の隣の席に座り、大きな手で肩を支えてくれる。
「ブタの餌って言われた……」
消え入りそうな声で、私は鞄から例のお弁当箱を取り出した。
「はぁ?」
「お弁当、ふざけてるのかって。騙された、時間の無駄だって……」
「……なんやそいつ!今すぐこの場に呼び出せや!ど突いたるわ!」
怒りに任せて治がカウンターを拳で叩く。
「やめて!……それに、私も悪いの。治に握ってもらったおにぎりを、さも自分が作ったみたいに振る舞ったから。……きっと、嘘を吐いた罰が当たったんだよ」
俯く私の視界に、治の手が伸びてきた。
彼は迷うことなくお弁当の蓋を開け、箸も使わずに、冷めた唐揚げをひょいと口に放り込んだ。
「……俺、●●の汚い飯、好きやで」
「……ちょっと、言い方」
思わずツッコミを入れた私を見て、治は少しだけ安心したように口角を上げた。
「
「……え?」
「俺やったら、●●の作る不格好な飯ごと愛してやれる。……俺にしとき」
真剣な眼差しが、私の瞳を射抜く。
いつもふざけ合っていた男とは思えない、熱を帯びた声だった。
「治……」
「●●、好きやで」
あまりにも直球な言葉に、心臓が跳ね上がる。
だけど、木村君とあんな別れ方をした直後で、私の頭はまだ追いついていなかった。
「あ、その……でも。治のことは今までそんな風に見たことなかったから、急に言われてびっくりしてるというか、戸惑ってるというか……」
「嫌やったか?」
「嫌なんかじゃないよ!むしろ、嬉しかった……」
そこまで言って、顔が火を吹くように熱くなる。
治はそれを見て、満足げに、でもどこか挑戦的な笑みを浮かべた。
「分かった。今日はそれでええわ。……せやけど、もう遠慮なんかしぃひんからな? ●●も覚悟しとき」
そう笑った治の表情は、今まで見たことがないくらい精悍で、男らしかった。
ーーFinーー
