見た目じゃない
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ーー宮治sideーー
“──そういうワケで、この間相談した人と次の休みデートすることになったから。朝ご飯、自分でなんとかしてね”
夜中に電話がかかってきたと思えば、これや。
スマホから聞こえる●●の浮かれたような声に、奥歯を噛み締める。
こうなると分かっとったんなら、「脈ないから思わせぶりな態度とるな」とか、「職場は恋愛する場所やあらへん」とか、もっと強めに言うとくべきやった。
後悔するくらいなら、最初から告白しとけや……。
情けない……。
暗い部屋で1人、自分の不甲斐なさに凹む。
どうにかして今からでもデートをキャンセルさせられへんか。
嫌われる覚悟で、何か適当な嘘でも吐くか。
いや、それよりは……。
「……なあ、弁当作る約束しとるんやろ?俺、代わりに作ったろか?」
とびきり、見た目も味も最悪な弁当を。
●●には悪いけど、それを食わせて「飯がマズい女」やと思わせれば、その木村とかいう男も早々に諦めるはずや。
“え、いいの!?”
「おん」
“あ、でも……。気持ちは嬉しいけど……木村君優しいから、私の料理でも大丈夫だと思う。だから、頑張って作ってみるよ!”
「……そ、か。残念やな」
提案はあっさり却下。
確かに●●の作る料理は、見た目だけなら食欲をそそるもんやない。
正直、俺も最初に見た時は「これ食えるんか?」と驚いた。
せやけど、惚れた弱みというか、自棄になって食べてみたら、意外にも旨かった。
今ではその残念な茶色さも、飾らんアイツらしくて愛嬌さえ感じる。
毎朝、欠かさず家に行くようになったんは……まあ、ただ単にアイツの顔が見たいってのが大半を占めとるけど。
せやから、最初の一口のハードルさえ超えてしまえば、木村とやらも●●の魅力に気付いてしまうはずや。
もしそうなったら……見た目だけで判断せぇへん木村を、男として認めざるを得んくなる。
それが一番、面白うない。
「次の休みか……」
店は休みやない。
アイツがどこぞの馬の骨と楽しそうに水族館デートをしとる間、俺は1人、カウンターの中でソワソワしながらおにぎりを握ることになりそうや。
気が付くと、スマホを握る手に力がこもっていた。
“──そういうワケで、この間相談した人と次の休みデートすることになったから。朝ご飯、自分でなんとかしてね”
夜中に電話がかかってきたと思えば、これや。
スマホから聞こえる●●の浮かれたような声に、奥歯を噛み締める。
こうなると分かっとったんなら、「脈ないから思わせぶりな態度とるな」とか、「職場は恋愛する場所やあらへん」とか、もっと強めに言うとくべきやった。
後悔するくらいなら、最初から告白しとけや……。
情けない……。
暗い部屋で1人、自分の不甲斐なさに凹む。
どうにかして今からでもデートをキャンセルさせられへんか。
嫌われる覚悟で、何か適当な嘘でも吐くか。
いや、それよりは……。
「……なあ、弁当作る約束しとるんやろ?俺、代わりに作ったろか?」
とびきり、見た目も味も最悪な弁当を。
●●には悪いけど、それを食わせて「飯がマズい女」やと思わせれば、その木村とかいう男も早々に諦めるはずや。
“え、いいの!?”
「おん」
“あ、でも……。気持ちは嬉しいけど……木村君優しいから、私の料理でも大丈夫だと思う。だから、頑張って作ってみるよ!”
「……そ、か。残念やな」
提案はあっさり却下。
確かに●●の作る料理は、見た目だけなら食欲をそそるもんやない。
正直、俺も最初に見た時は「これ食えるんか?」と驚いた。
せやけど、惚れた弱みというか、自棄になって食べてみたら、意外にも旨かった。
今ではその残念な茶色さも、飾らんアイツらしくて愛嬌さえ感じる。
毎朝、欠かさず家に行くようになったんは……まあ、ただ単にアイツの顔が見たいってのが大半を占めとるけど。
せやから、最初の一口のハードルさえ超えてしまえば、木村とやらも●●の魅力に気付いてしまうはずや。
もしそうなったら……見た目だけで判断せぇへん木村を、男として認めざるを得んくなる。
それが一番、面白うない。
「次の休みか……」
店は休みやない。
アイツがどこぞの馬の骨と楽しそうに水族館デートをしとる間、俺は1人、カウンターの中でソワソワしながらおにぎりを握ることになりそうや。
気が付くと、スマホを握る手に力がこもっていた。
