見た目じゃない
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治が持たせてくれた竹皮の包みには、ずっしりと重みを感じるほどのおにぎりが詰まっていた。
その数、全部で8個。
……朝昼どころか、晩ご飯まで賄える。
朝食に3つ、残りの5つを会社へ持っていくことにした。
あいにく、おにぎり5つが収まるような可愛げのあるお弁当箱は持っていなくて、結局、誰が見ても中身が丸わかりなおにぎりの包みを鞄に忍ばせることになった。
お昼休憩。
いつものようにデスクでこっそり食べようとしたけれど、普段とは違うお昼ご飯に、例の彼が吸い寄せられてきた。
「◯◯さん、今日はお弁当箱じゃなくておにぎりなんだね」
案の定、目ざとい木村君が声をかけてきた。
「あーうん。よかったら食べる?」
「いいの?ありがとう、いただきます!」
夜まで持ち越して傷ませるよりはいい。
そう思って差し出すと、木村君は嬉しそうに1つ手に取り、大きく頬張った。
「……っ、んまい!なにこれ、お米の固さも塩の塩梅も最高。冷めてるのに、こんなに旨いおにぎり初めて食べたかも」
「あ、……そう。……ありがとう」
私が作ったワケじゃないけれど、自分のことのように誇らしくなった。
今度治に会ったら伝えよう。
職場でもアンタのおにぎりは大好評だったよ、って。
「ご馳走さまでした!」
木村君は、あっという間に3つのおにぎりを平らげてしまった。
「おにぎりのお礼、させてよ。そうだなあ……今度の休み、水族館行かない?」
「えっ、そんなの悪いよ」
「なんて言うのは建前。本当は、俺が◯◯さんとデートしたいだけなんだけど。……ダメかな?」
真っ直ぐに私を見つめて、木村君が笑う。
そんな風にストレートに好意を伝えられたら、断る理由が見つからない。
「でも、おにぎりと水族館は釣り合わないよ……」
「それなら、お弁当作って来てよ。これだけ美味しいおにぎりを作れる◯◯さんのお弁当、ちゃんと食べてみたい」
「……分かった」
今さら「これは私が握ったんじゃないんです」なんて言えず、私は引き攣った笑顔で頷いてしまった。
だけど、ここまで好意的に接してくれる彼なら、きっと私が作る本当のお弁当を見ても引いたりはしないはず。
……治だって、見た目はアレだけど味は美味しいって、いつも言ってくれたし。
そう自分に言い聞かせながらも、胸の奥では、嘘を吐いているような後ろめたさと、木村君の期待に応えられるかという不安で揺れていた。
その数、全部で8個。
……朝昼どころか、晩ご飯まで賄える。
朝食に3つ、残りの5つを会社へ持っていくことにした。
あいにく、おにぎり5つが収まるような可愛げのあるお弁当箱は持っていなくて、結局、誰が見ても中身が丸わかりなおにぎりの包みを鞄に忍ばせることになった。
お昼休憩。
いつものようにデスクでこっそり食べようとしたけれど、普段とは違うお昼ご飯に、例の彼が吸い寄せられてきた。
「◯◯さん、今日はお弁当箱じゃなくておにぎりなんだね」
案の定、目ざとい木村君が声をかけてきた。
「あーうん。よかったら食べる?」
「いいの?ありがとう、いただきます!」
夜まで持ち越して傷ませるよりはいい。
そう思って差し出すと、木村君は嬉しそうに1つ手に取り、大きく頬張った。
「……っ、んまい!なにこれ、お米の固さも塩の塩梅も最高。冷めてるのに、こんなに旨いおにぎり初めて食べたかも」
「あ、……そう。……ありがとう」
私が作ったワケじゃないけれど、自分のことのように誇らしくなった。
今度治に会ったら伝えよう。
職場でもアンタのおにぎりは大好評だったよ、って。
「ご馳走さまでした!」
木村君は、あっという間に3つのおにぎりを平らげてしまった。
「おにぎりのお礼、させてよ。そうだなあ……今度の休み、水族館行かない?」
「えっ、そんなの悪いよ」
「なんて言うのは建前。本当は、俺が◯◯さんとデートしたいだけなんだけど。……ダメかな?」
真っ直ぐに私を見つめて、木村君が笑う。
そんな風にストレートに好意を伝えられたら、断る理由が見つからない。
「でも、おにぎりと水族館は釣り合わないよ……」
「それなら、お弁当作って来てよ。これだけ美味しいおにぎりを作れる◯◯さんのお弁当、ちゃんと食べてみたい」
「……分かった」
今さら「これは私が握ったんじゃないんです」なんて言えず、私は引き攣った笑顔で頷いてしまった。
だけど、ここまで好意的に接してくれる彼なら、きっと私が作る本当のお弁当を見ても引いたりはしないはず。
……治だって、見た目はアレだけど味は美味しいって、いつも言ってくれたし。
そう自分に言い聞かせながらも、胸の奥では、嘘を吐いているような後ろめたさと、木村君の期待に応えられるかという不安で揺れていた。
