敵わない人
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「チカー、移動教室行こうよ!」
「ちょっとこのプリントやりたいから先に行ってて」
「仕方ないなー」
チカを置いて一人で移動教室へ向かった。
最近ではこの移動中に京谷君に会うことも。
1年生と3年生の教室は階が違うため、会おうと思わなければ滅多に会えない。
それなのに会う、と言うことは私を探してくれているに違いない。
……なんちゃって。
もちろん、私もたまの用事で1年生の教室がある階に行くときは、あえて京谷君のクラスの前を通って探すようにしている。
ほら噂をすれば、
「あ、京谷君!」
「っぅす」
廊下でばったり京谷君に会った。
「この階にいるの珍しいね」
「部活の顧問に用があって」
「そう言えば溝口先生ってバレー部の顧問だっけ」
「ああ」
「なんだー、私に会いに来てくれたワケじゃないのか」
面白くなくて、意地悪なことを言ってみた。
困った顔の京谷君。
「……会えたらいいとは思ってた」
「え?」
「なんでもねぇ。もう行くから」
「あ、うん」
驚いて聞き返しちゃったけれど、ちゃんと聞こえていた。
“会えたらいいとは思ってた”
てっきり自意識過剰かよってツッコまれると思っていたのに。
京谷君が去ってからも、私はその言葉を頭の中で復唱した。
すると、後ろからチカに話しかけられた。
「●●、何ぼーっとしてるの?先に行ったんじゃなかったの?」
「後輩と喋っててね」
「あー、さっきすれ違った柄の悪い子ね」
「見た目はあれだけど、良い子だよ」
「ふーん」
本当かな、と疑うような顔をしたチカ。
京谷君って見た目で損しているけれど、裏を返せば私だけが京谷君の良さを分かっている気がして、嬉しくなった。
「ほらほら、急がないと授業始まるよー」
「待ってよー」
私だけが知っていればいい。
私だけが……。
「ちょっとこのプリントやりたいから先に行ってて」
「仕方ないなー」
チカを置いて一人で移動教室へ向かった。
最近ではこの移動中に京谷君に会うことも。
1年生と3年生の教室は階が違うため、会おうと思わなければ滅多に会えない。
それなのに会う、と言うことは私を探してくれているに違いない。
……なんちゃって。
もちろん、私もたまの用事で1年生の教室がある階に行くときは、あえて京谷君のクラスの前を通って探すようにしている。
ほら噂をすれば、
「あ、京谷君!」
「っぅす」
廊下でばったり京谷君に会った。
「この階にいるの珍しいね」
「部活の顧問に用があって」
「そう言えば溝口先生ってバレー部の顧問だっけ」
「ああ」
「なんだー、私に会いに来てくれたワケじゃないのか」
面白くなくて、意地悪なことを言ってみた。
困った顔の京谷君。
「……会えたらいいとは思ってた」
「え?」
「なんでもねぇ。もう行くから」
「あ、うん」
驚いて聞き返しちゃったけれど、ちゃんと聞こえていた。
“会えたらいいとは思ってた”
てっきり自意識過剰かよってツッコまれると思っていたのに。
京谷君が去ってからも、私はその言葉を頭の中で復唱した。
すると、後ろからチカに話しかけられた。
「●●、何ぼーっとしてるの?先に行ったんじゃなかったの?」
「後輩と喋っててね」
「あー、さっきすれ違った柄の悪い子ね」
「見た目はあれだけど、良い子だよ」
「ふーん」
本当かな、と疑うような顔をしたチカ。
京谷君って見た目で損しているけれど、裏を返せば私だけが京谷君の良さを分かっている気がして、嬉しくなった。
「ほらほら、急がないと授業始まるよー」
「待ってよー」
私だけが知っていればいい。
私だけが……。