真面目ちゃんと不良君
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ーーおまけーー
結局、あの日は彼が起きるのを待つどころか2人して睡魔に負けてしまった。
目が覚めた時にはお昼休みギリギリで、文化祭に誘うどころではなかった。
その後、お昼休みを返上して文化祭の準備をすることになり、あの時の決意は口に出せないまま当日を迎えた。
「……やっぱり、騒がしいのは苦手だな」
廊下に溢れる活気と、甘いポップコーンと甘じょっぱいソースの匂い。
クラスのシフトを終えた私は、他クラスの催し物を楽しむワケでもなく、逃げるようにして校舎の端にある階段を上った。
ここなら、誰も来ない。
そう思って踊り場を曲がった、その時だった。
「……あ」
「……お前、何してんだよ」
最上階、屋上へと続く扉の前。
閉ざされた扉に背を預け、床に直接座り込んでいたのは、見間違えるはずもない金髪の頭だった。
「京谷君……。ここにいたんだ」
「まあな。……お前もサボりか?」
「サボりじゃないよ。ちょうどシフトが終わったの。でも、1人で回る気にもなれなくて……」
苦笑いしながら隣に立つと、彼は無造作に自分の隣のスペースを空けた。
中庭の芝生の上と同じ、あの日と同じ誘い方。
私は吸い寄せられるように、冷たい床に腰を下ろした。
「誘えなかったのに……」
こうして、2人揃ってしまったことが嬉しくて、私は自然と口角が上がっていた。
「あ?」
「ううん、こっちの話。……京谷君、お昼食べた?お腹空いてない?」
ビニールの袋から取り出したのは、自分のクラスの出し物で買った、少し冷めた焼きそばのパック。
それを差し出すと、彼は一瞬驚いたような顔をしてから、ぶっきらぼうに受け取った。
「……サンキュ」
彼は割り箸を割ると、勢いよく麺を啜り始めた。
中庭の時と同じ、見ているこちらが気持ちよくなるような食べっぷり。
少しだけ心細かった文化祭の空気も、彼の隣にいるだけでいつもの日常に変わっていく。
「……あのさ、京谷君」
「ん」
「あの日、中庭で寝ちゃった時。……起きたら誘おうと思ってたんだ。文化祭、一緒に回らない?って」
ようやく口にできた言葉。
今さら言ってたところで、もう文化祭は終わりに差し掛かっている。
それでも、伝えないまま後悔するのが嫌だった。
京谷君は食べる手を止め、麺を飲み込むと、横目でじっと私を見た。
「……知ってる」
「え?」
「お前、寝言で言ってたぞ。文化祭、行こうって」
「……っ!!」
顔から火が出る、とはこのことだ。
私は両手で顔を覆い、膝の間に頭を埋めた。
そんなの、聞いてない。
知らない、恥ずかしすぎる。
「忘れて!今のは無し!お願い!」
「断る。……言っとくけど、俺も誘おうと思ってた」
低い声が、静かな階段の踊り場に響いた。
顔を上げると、彼は気まずそうに視線を逸らし、首の後ろをガシガシと掻いていた。
「……でも、お前があんまり気持ち良さそうに寝てたから。起こすの面倒になっただけだ」
「……それ、嘘でしょ?」
「……嘘じゃねぇ」
耳まで赤くして言い張る彼を見て、つられて私まで赤くなる。
結局、私たちは2人揃って意気地なしで、2人揃って同じ場所を逃げ場に選んでいた。
約束なんてしなくても、こうして出会えてしまうくらいには。
「ねえ、京谷君。焼きそば食べ終わったら、残りの時間、少しだけ一緒に回らない……?」
「……まあ、いいけど。これだけじゃ、まだ食い足りねぇし」
「ふふ、ありがとう」
階段の下からは、賑やかな声が聞こえてくる。
この後、私たちも騒動の一因になるのかと思うと、少しだけ心が躍った。
結局、あの日は彼が起きるのを待つどころか2人して睡魔に負けてしまった。
目が覚めた時にはお昼休みギリギリで、文化祭に誘うどころではなかった。
その後、お昼休みを返上して文化祭の準備をすることになり、あの時の決意は口に出せないまま当日を迎えた。
「……やっぱり、騒がしいのは苦手だな」
廊下に溢れる活気と、甘いポップコーンと甘じょっぱいソースの匂い。
クラスのシフトを終えた私は、他クラスの催し物を楽しむワケでもなく、逃げるようにして校舎の端にある階段を上った。
ここなら、誰も来ない。
そう思って踊り場を曲がった、その時だった。
「……あ」
「……お前、何してんだよ」
最上階、屋上へと続く扉の前。
閉ざされた扉に背を預け、床に直接座り込んでいたのは、見間違えるはずもない金髪の頭だった。
「京谷君……。ここにいたんだ」
「まあな。……お前もサボりか?」
「サボりじゃないよ。ちょうどシフトが終わったの。でも、1人で回る気にもなれなくて……」
苦笑いしながら隣に立つと、彼は無造作に自分の隣のスペースを空けた。
中庭の芝生の上と同じ、あの日と同じ誘い方。
私は吸い寄せられるように、冷たい床に腰を下ろした。
「誘えなかったのに……」
こうして、2人揃ってしまったことが嬉しくて、私は自然と口角が上がっていた。
「あ?」
「ううん、こっちの話。……京谷君、お昼食べた?お腹空いてない?」
ビニールの袋から取り出したのは、自分のクラスの出し物で買った、少し冷めた焼きそばのパック。
それを差し出すと、彼は一瞬驚いたような顔をしてから、ぶっきらぼうに受け取った。
「……サンキュ」
彼は割り箸を割ると、勢いよく麺を啜り始めた。
中庭の時と同じ、見ているこちらが気持ちよくなるような食べっぷり。
少しだけ心細かった文化祭の空気も、彼の隣にいるだけでいつもの日常に変わっていく。
「……あのさ、京谷君」
「ん」
「あの日、中庭で寝ちゃった時。……起きたら誘おうと思ってたんだ。文化祭、一緒に回らない?って」
ようやく口にできた言葉。
今さら言ってたところで、もう文化祭は終わりに差し掛かっている。
それでも、伝えないまま後悔するのが嫌だった。
京谷君は食べる手を止め、麺を飲み込むと、横目でじっと私を見た。
「……知ってる」
「え?」
「お前、寝言で言ってたぞ。文化祭、行こうって」
「……っ!!」
顔から火が出る、とはこのことだ。
私は両手で顔を覆い、膝の間に頭を埋めた。
そんなの、聞いてない。
知らない、恥ずかしすぎる。
「忘れて!今のは無し!お願い!」
「断る。……言っとくけど、俺も誘おうと思ってた」
低い声が、静かな階段の踊り場に響いた。
顔を上げると、彼は気まずそうに視線を逸らし、首の後ろをガシガシと掻いていた。
「……でも、お前があんまり気持ち良さそうに寝てたから。起こすの面倒になっただけだ」
「……それ、嘘でしょ?」
「……嘘じゃねぇ」
耳まで赤くして言い張る彼を見て、つられて私まで赤くなる。
結局、私たちは2人揃って意気地なしで、2人揃って同じ場所を逃げ場に選んでいた。
約束なんてしなくても、こうして出会えてしまうくらいには。
「ねえ、京谷君。焼きそば食べ終わったら、残りの時間、少しだけ一緒に回らない……?」
「……まあ、いいけど。これだけじゃ、まだ食い足りねぇし」
「ふふ、ありがとう」
階段の下からは、賑やかな声が聞こえてくる。
この後、私たちも騒動の一因になるのかと思うと、少しだけ心が躍った。
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