真面目ちゃんと不良君
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青空の下。
私たちはいつものように中庭の芝生の上で、並んでお弁当を広げている。
「本当に凄かった!格好良かった!こう、スパーンって鞭みたいに腕がしなって」
私は立ち上がらんばかりの勢いで、先日見た彼のスパイクを見よう見まねで再現してみせる。
「お前、またその話かよ……」
京谷君は呆れたように、視線を逸らしてハミチキを頬張った。
「だって、本当に凄かったんだもん!ずっと見ていたかったくらい」
社会人チームの練習を見学させてもらってから数日が経つのに、私の熱は一向に冷める気配がない。
あんなに凄いものを見せられて、黙っていられるはずがなかった。
強豪と言われるうちのバレー部でも、彼ならきっと中心になれるはずなのに。
彼に一体何があって部活に行かないのか、まだ分からないまま。
ふと、彼の横顔を覗き込む。
なんだか今日は、いつになく疲れているように見えた。
「京谷君、なんか疲れてない?練習、きつかったの?」
「練習じゃねぇ。……文化祭の準備がだりぃんだよ。教室もバタバタしてて落ち着かねぇし」
「あー、そっか。準備期間、始まったもんね」
かく言う私も、人のことは言えない。
未だにクラスに馴染めていない私は、適当に作業をしているフリをして時間をやり過ごしているだけだから。
「京谷君のクラス、何をやるの?」
「色んなところの雑用させられてるから、詳しくは知らねぇよ」
「あはは、京谷君らしいね」
笑いながら、心の片隅で淡い期待が膨らむ。
文化祭当日、もしも彼と一緒に回れたら、どんなに楽しいだろう。
そんなことを考えていると、ハミチキを食べ終えた京谷君が、不意に私の肩に体重を乗せるように体を傾けた。
「ね、京谷君、重たいってば」
以前もあった、この感触。
彼は人にもたれかかって寝るのが癖なのだろうか。
だとしても、このままでは私の肩が悲鳴を上げてしまう。
私は抗議しようとした。
だけど、次に聞こえてきた彼の低い呟きで、そんな気が見事なまでに消えてしまった。
「……やっぱり、◯◯のいるここが、一番落ち着くわ」
「っ!?」
心臓が、耳元で煩いくらいに脈打つ。
落ち着く、なんて……。
そんなこと、こんなに無防備に言われたら、私の方が落ち着かなくなってしまう。
当の本人は、私の動揺なんて露知らず、安心しきったように穏やかな寝息を立て始めている。
京谷君が起きたら、やっぱり文化祭に誘ってみようかな。
それで、私と同じように動揺すればいいのに。
そんなことを考えながら、私は2人の間を優しく通り過ぎる風を感じていた。
ーーFinーー
私たちはいつものように中庭の芝生の上で、並んでお弁当を広げている。
「本当に凄かった!格好良かった!こう、スパーンって鞭みたいに腕がしなって」
私は立ち上がらんばかりの勢いで、先日見た彼のスパイクを見よう見まねで再現してみせる。
「お前、またその話かよ……」
京谷君は呆れたように、視線を逸らしてハミチキを頬張った。
「だって、本当に凄かったんだもん!ずっと見ていたかったくらい」
社会人チームの練習を見学させてもらってから数日が経つのに、私の熱は一向に冷める気配がない。
あんなに凄いものを見せられて、黙っていられるはずがなかった。
強豪と言われるうちのバレー部でも、彼ならきっと中心になれるはずなのに。
彼に一体何があって部活に行かないのか、まだ分からないまま。
ふと、彼の横顔を覗き込む。
なんだか今日は、いつになく疲れているように見えた。
「京谷君、なんか疲れてない?練習、きつかったの?」
「練習じゃねぇ。……文化祭の準備がだりぃんだよ。教室もバタバタしてて落ち着かねぇし」
「あー、そっか。準備期間、始まったもんね」
かく言う私も、人のことは言えない。
未だにクラスに馴染めていない私は、適当に作業をしているフリをして時間をやり過ごしているだけだから。
「京谷君のクラス、何をやるの?」
「色んなところの雑用させられてるから、詳しくは知らねぇよ」
「あはは、京谷君らしいね」
笑いながら、心の片隅で淡い期待が膨らむ。
文化祭当日、もしも彼と一緒に回れたら、どんなに楽しいだろう。
そんなことを考えていると、ハミチキを食べ終えた京谷君が、不意に私の肩に体重を乗せるように体を傾けた。
「ね、京谷君、重たいってば」
以前もあった、この感触。
彼は人にもたれかかって寝るのが癖なのだろうか。
だとしても、このままでは私の肩が悲鳴を上げてしまう。
私は抗議しようとした。
だけど、次に聞こえてきた彼の低い呟きで、そんな気が見事なまでに消えてしまった。
「……やっぱり、◯◯のいるここが、一番落ち着くわ」
「っ!?」
心臓が、耳元で煩いくらいに脈打つ。
落ち着く、なんて……。
そんなこと、こんなに無防備に言われたら、私の方が落ち着かなくなってしまう。
当の本人は、私の動揺なんて露知らず、安心しきったように穏やかな寝息を立て始めている。
京谷君が起きたら、やっぱり文化祭に誘ってみようかな。
それで、私と同じように動揺すればいいのに。
そんなことを考えながら、私は2人の間を優しく通り過ぎる風を感じていた。
ーーFinーー
