真面目ちゃんと不良君
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連れて行かれた先は、体育館の入り口だった。
雨を避けるための庇 の下、2段しかないコンクリートの階段。
そこが今日の私たちのお昼場所。
「……弁当、マジで作ってきたんだな」
「自分のを作るついでだったから。……京谷君、今日はコンビニのパン、買わなかったんだね」
「雨だから買いに行くのが億劫でやめた。……腹減ってたから助かる」
「そっか……」
小さく相槌を打って、私は京谷君にお弁当を託した。
彼は手渡された包みを、まるで壊れ物を扱うように受け取った。
そして、蓋を開けた瞬間、喉をごくりと鳴らす音が聞こえてきた。
「すげぇ……。これ、本当に◯◯が作ったのか」
「うん。口に合うといいけど……」
おかずは、少し甘めに焼き上げた卵焼きに、ほうれん草の胡麻和え。
それに、彼の好きなハミチキには及ばないけれど、昨晩から下味をつけておいた唐揚げ。
彼は迷わず唐揚げを口に放り込み、ガツガツと音を立てる勢いで食べ始めた。
「どれもうめぇ。……◯◯のこと、見直したわ」
「それはどうも……」
見直した、なんて、今までどんなイメージを持っていたのだろうか。
やはり、ただの真面目でつまらない女子、とか。
少しだけ悔しいけれど、それ以上に「うめぇ」という言葉が嬉しくて、私は火照る顔を隠すように自分のお弁当を口に運んだ。
不意に、後ろから体育館の扉がガラガラと音を立てて開いた。
「うわっ、人いた」
「すみませーん……」
昼休みを利用して遊びに来たらしい男子生徒たちが、熱気を逃がそうと扉を開けたようだった。
体育館シューズの学年カラーを見ると、1年生だと分かる。
「こっちこそ、驚かしちゃってごめんね」
私は苦笑いした。
主に、隣の京谷君の「顔」で、とは言わなかったけれど、彼らの顔からして、怯えているのは確かだった。
彼らはペコリと軽くお辞儀をすると、中へ戻ってバレーボールを始めた。
キュッキュッと鳴るシューズの音と、ボールを叩く乾いた音が体育館に反響する。
「バレー部かな?」
何の気なしに尋ねると、京谷君からはぶっきらぼうな返事が返ってきた。
「知らねぇ」
だけど、その視線はいつまでもボールを追いかけていた。
やっぱり、やりたいのかな……。
心の奥に仕舞い込んでいた疑問を、私は勇気を出して呟いてみた。
「京谷君がバレーしているところ……いつか見てみたいな」
「……」
「あ、でも、休み時間はもうすぐ終わっちゃうし。体育の授業もしばらくバレーじゃないし……。無理だよね」
チラチラと盗み見ながら、わざとらしく言葉を重ねる。
彼はしばらく沈黙した後、軽く鼻を鳴らした。
「……いいぜ」
「へ?」
「バレーしてるところ、見たいんだろ」
京谷君は食べ終えた弁当箱を片付けると、真っ直ぐに私を見た。
その瞳には、さっきまでの気だるさはなく、どこか挑戦的な光が宿っている。
「いいの?本当に?」
私の言葉1つで、あんなに頑なに避けていた部活に行く気になってくれたの?
それとも、今ここで下級生に混ざる気?
期待で胸が高鳴ったけれど、彼はそのまま立ち上がると「放課後、連絡する」とだけ言った。
結局、その場で連絡先を交換して解散することになった。
雨を避けるための
そこが今日の私たちのお昼場所。
「……弁当、マジで作ってきたんだな」
「自分のを作るついでだったから。……京谷君、今日はコンビニのパン、買わなかったんだね」
「雨だから買いに行くのが億劫でやめた。……腹減ってたから助かる」
「そっか……」
小さく相槌を打って、私は京谷君にお弁当を託した。
彼は手渡された包みを、まるで壊れ物を扱うように受け取った。
そして、蓋を開けた瞬間、喉をごくりと鳴らす音が聞こえてきた。
「すげぇ……。これ、本当に◯◯が作ったのか」
「うん。口に合うといいけど……」
おかずは、少し甘めに焼き上げた卵焼きに、ほうれん草の胡麻和え。
それに、彼の好きなハミチキには及ばないけれど、昨晩から下味をつけておいた唐揚げ。
彼は迷わず唐揚げを口に放り込み、ガツガツと音を立てる勢いで食べ始めた。
「どれもうめぇ。……◯◯のこと、見直したわ」
「それはどうも……」
見直した、なんて、今までどんなイメージを持っていたのだろうか。
やはり、ただの真面目でつまらない女子、とか。
少しだけ悔しいけれど、それ以上に「うめぇ」という言葉が嬉しくて、私は火照る顔を隠すように自分のお弁当を口に運んだ。
不意に、後ろから体育館の扉がガラガラと音を立てて開いた。
「うわっ、人いた」
「すみませーん……」
昼休みを利用して遊びに来たらしい男子生徒たちが、熱気を逃がそうと扉を開けたようだった。
体育館シューズの学年カラーを見ると、1年生だと分かる。
「こっちこそ、驚かしちゃってごめんね」
私は苦笑いした。
主に、隣の京谷君の「顔」で、とは言わなかったけれど、彼らの顔からして、怯えているのは確かだった。
彼らはペコリと軽くお辞儀をすると、中へ戻ってバレーボールを始めた。
キュッキュッと鳴るシューズの音と、ボールを叩く乾いた音が体育館に反響する。
「バレー部かな?」
何の気なしに尋ねると、京谷君からはぶっきらぼうな返事が返ってきた。
「知らねぇ」
だけど、その視線はいつまでもボールを追いかけていた。
やっぱり、やりたいのかな……。
心の奥に仕舞い込んでいた疑問を、私は勇気を出して呟いてみた。
「京谷君がバレーしているところ……いつか見てみたいな」
「……」
「あ、でも、休み時間はもうすぐ終わっちゃうし。体育の授業もしばらくバレーじゃないし……。無理だよね」
チラチラと盗み見ながら、わざとらしく言葉を重ねる。
彼はしばらく沈黙した後、軽く鼻を鳴らした。
「……いいぜ」
「へ?」
「バレーしてるところ、見たいんだろ」
京谷君は食べ終えた弁当箱を片付けると、真っ直ぐに私を見た。
その瞳には、さっきまでの気だるさはなく、どこか挑戦的な光が宿っている。
「いいの?本当に?」
私の言葉1つで、あんなに頑なに避けていた部活に行く気になってくれたの?
それとも、今ここで下級生に混ざる気?
期待で胸が高鳴ったけれど、彼はそのまま立ち上がると「放課後、連絡する」とだけ言った。
結局、その場で連絡先を交換して解散することになった。
