真面目ちゃんと不良君
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朝起きてカーテンを開けると、窓の外には予報通りの雨が降っていた。
コンクリートを真っ黒に染めるほどの雨。
さすがに今日はお昼休みの中庭は無理だろう。
そんなことを思いながら、私は朝のルーティンをこなす。
顔を洗い、制服に着替え、キッチンに立つ。
朝ごはんを用意するついでに、お弁当のおかずも作る。
自分の分と、そして……京谷君の分。
「冗談だよ」なんて彼は言っていたけれど。
もし待っていたら……。
「食べないなら、自分で2つ食べればいいし」
誰に言うわけでもない言い訳を呟きながら、卵焼きやおかずを丁寧にお弁当箱に詰めていく。
出来上がった2つのお弁当を並べて眺めると、我ながら上出来だ、と褒めたくなった。
「食べてくれるといいな……」
「自分で2つ食べればいい」なんて強かったけれど、やっぱり食べてほしい。
ーーーー
待ちに待ったお昼休み。
そこで私は致命的なミスに気付いた。
「……連絡先、知らない」
雨の中、彼が中庭にいるはずがない。
どこにいるか分からない彼を探すには、直接教室へ行くしかないのだ。
私は勇気を振り絞って、彼のいる1組へと向かった。
だけど、教室を覗き込んでもあの特徴的な金髪は見当たらない。
「戻ろ……」
諦めて背を向けたとき、不意に声をかけられた。
「ねえ、誰か探してるの?」
「えっ……」
そこにいたのは、名前がうろ覚えの男子生徒。
確か、鈴木君だったか佐藤君だったか……。
「キョロキョロしてたからさ、てっきりそう思ったんだけど……。違った?」
「違わなくない!あ、えっと……京谷君って、どこにいるか分かるかな?」
「あー……、京谷なら、さっき購買に行くって出てったよ」
「ありがとう!」
私は彼に短く頭を下げると、階段を駆け下りて購買へと急いだ。
……。
…………。
普段は利用しない購買は、想像を絶する熱気に包まれていた。
押し寄せる生徒たちの波。
この中から彼を探すのは至難の業だと思ったけれど、あの派手な頭は人混みの中でもすぐに見つかった。
「す、すみませんっ……あ、ごめんなさい……!」
人の波を掻き分け、ようやく彼の後ろまで辿り着く。
「京谷君っ!」
必死に制服の袖を引っ張ると、彼はものすごい形相で振り返った。
「あ゛あん?」
「ひっ……!」
その迫力に思わず身をすくめる。
「……あー、なんだ、◯◯か。今忙しいから、後にしてくれねぇか。パンが売り切れる」
京谷君は私だと気付くと、少しだけ表情を緩めた。
だけど、またすぐに戦場のような購買のカウンターへ視線を戻した。
「今じゃなきゃダメ!」
私はもう一度、彼の袖をギュッと強く引いた。
「は?」
不機嫌そうに眉を寄せる彼。
いちいち威嚇しないでよ、と心の中で毒づきながら、私は決意を込めて告げた。
「あの……お弁当、作ってきたから。一緒に食べない?」
「……マジかよ」
京谷君は目を丸くし、信じられないといった様子だった。
「マジだよ」
言い返してから、ハッとした。
普段の私なら絶対に使わないような言葉。
だけど、必死すぎて余裕のない今の私には、彼の口癖がそのまま移ってしまったようだった。
「……ほら、本当に作ってきたんだから」
少し顔が熱くなるのを感じながら、袖から手を離し、両手で大切に抱えていたお弁当袋を彼の目の前に差し出す。
それを見つめた京谷君は、短く、けれど深く息を吐いた。
「助かる」
ぽつりと、掠れるような声で彼は言った。
そして今度は彼が私の腕を掴み、人混みを避けるようにしてどこかへ歩き出した。
コンクリートを真っ黒に染めるほどの雨。
さすがに今日はお昼休みの中庭は無理だろう。
そんなことを思いながら、私は朝のルーティンをこなす。
顔を洗い、制服に着替え、キッチンに立つ。
朝ごはんを用意するついでに、お弁当のおかずも作る。
自分の分と、そして……京谷君の分。
「冗談だよ」なんて彼は言っていたけれど。
もし待っていたら……。
「食べないなら、自分で2つ食べればいいし」
誰に言うわけでもない言い訳を呟きながら、卵焼きやおかずを丁寧にお弁当箱に詰めていく。
出来上がった2つのお弁当を並べて眺めると、我ながら上出来だ、と褒めたくなった。
「食べてくれるといいな……」
「自分で2つ食べればいい」なんて強かったけれど、やっぱり食べてほしい。
ーーーー
待ちに待ったお昼休み。
そこで私は致命的なミスに気付いた。
「……連絡先、知らない」
雨の中、彼が中庭にいるはずがない。
どこにいるか分からない彼を探すには、直接教室へ行くしかないのだ。
私は勇気を振り絞って、彼のいる1組へと向かった。
だけど、教室を覗き込んでもあの特徴的な金髪は見当たらない。
「戻ろ……」
諦めて背を向けたとき、不意に声をかけられた。
「ねえ、誰か探してるの?」
「えっ……」
そこにいたのは、名前がうろ覚えの男子生徒。
確か、鈴木君だったか佐藤君だったか……。
「キョロキョロしてたからさ、てっきりそう思ったんだけど……。違った?」
「違わなくない!あ、えっと……京谷君って、どこにいるか分かるかな?」
「あー……、京谷なら、さっき購買に行くって出てったよ」
「ありがとう!」
私は彼に短く頭を下げると、階段を駆け下りて購買へと急いだ。
……。
…………。
普段は利用しない購買は、想像を絶する熱気に包まれていた。
押し寄せる生徒たちの波。
この中から彼を探すのは至難の業だと思ったけれど、あの派手な頭は人混みの中でもすぐに見つかった。
「す、すみませんっ……あ、ごめんなさい……!」
人の波を掻き分け、ようやく彼の後ろまで辿り着く。
「京谷君っ!」
必死に制服の袖を引っ張ると、彼はものすごい形相で振り返った。
「あ゛あん?」
「ひっ……!」
その迫力に思わず身をすくめる。
「……あー、なんだ、◯◯か。今忙しいから、後にしてくれねぇか。パンが売り切れる」
京谷君は私だと気付くと、少しだけ表情を緩めた。
だけど、またすぐに戦場のような購買のカウンターへ視線を戻した。
「今じゃなきゃダメ!」
私はもう一度、彼の袖をギュッと強く引いた。
「は?」
不機嫌そうに眉を寄せる彼。
いちいち威嚇しないでよ、と心の中で毒づきながら、私は決意を込めて告げた。
「あの……お弁当、作ってきたから。一緒に食べない?」
「……マジかよ」
京谷君は目を丸くし、信じられないといった様子だった。
「マジだよ」
言い返してから、ハッとした。
普段の私なら絶対に使わないような言葉。
だけど、必死すぎて余裕のない今の私には、彼の口癖がそのまま移ってしまったようだった。
「……ほら、本当に作ってきたんだから」
少し顔が熱くなるのを感じながら、袖から手を離し、両手で大切に抱えていたお弁当袋を彼の目の前に差し出す。
それを見つめた京谷君は、短く、けれど深く息を吐いた。
「助かる」
ぽつりと、掠れるような声で彼は言った。
そして今度は彼が私の腕を掴み、人混みを避けるようにしてどこかへ歩き出した。
