真面目ちゃんと不良君
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最近、私のお昼休みは専ら中庭で過ごすのが日課になった。
1人で寂しくお弁当を食べている子、というクラスメイトの視線から逃れられるし、何よりここには京谷君がいる。
特別会話が弾むワケじゃない。
だけど、彼の隣にいる時間は、私にとって何にも代えがたい安らぎになっていた。
「いただきます」
いつものように隣へ腰を下ろし、お弁当の蓋を開ける。
対照的に、京谷君は今日もコンビニの袋から無造作に惣菜パンを取り出し、大きな口で齧りついていた。
「京谷君って、いつもコンビニのパンだよね」
「ハミチキもあんだろ」
袋を覗き込むと、茶色い紙から油がじゅわりと滲み出たハミチキが顔を出している。
「本当に好きだね、それ」
「いいだろ、別に」
「いいけど……。栄養、偏らない?」
つい母親のようなことを口にしてしまい、ハッとして口を噤む。
しまった、これはウザいと思われるパターンだ……と1人で勝手に反省会を始めた、その時だった。
「……じゃあ、なんだ」
「え?」
京谷君がパンを食べる手を止め、イタズラっぽい笑みを浮かべてこちらを覗き込んできた。
「◯◯が、俺の分も作ってくれんのか?」
一瞬、心臓が跳ねた。
彼が私の作ったお弁当を食べている姿が、鮮明に脳裏をよぎる。
「い、いいよ。……京谷君が食べてくれるなら、私……」
予想外に食い気味に答えてしまった私に、京谷君は少しだけ面食らったような顔をした。
だけど、すぐに視線を逸らしてまたパンを口に運ぶ。
「冗談だよ。面倒だろ、俺の分まで作んのなんて」
ぶっきらぼうな声。
私は「本気だったんだけどな」という言葉を飲み込んで、手元のお弁当に視線を戻した。
「……ふぁ。食い終わったら、なんか眠くなってきた」
不意に、右肩にずっしりとした重みが加わった。
京谷君が、私の肩にポスッと頭を預けてきたのだ。
「ちょっ……京谷君、重たい。お弁当食べにくいんだけど」
「……」
抗議してみたけれど、返事はない。
横を向くと、彼はもう既に規則正しい寝息を立て始めていた。
「……もう寝ちゃったの?!」
呆れながらも、私は肩を貸したままお箸を動かした。
なんだか、寝ている京谷君を見る機会が増えた気がする。
いや、1年生の時も彼は授業中によく寝ていた。
下校の時だって、欠伸をしながら校門へ向かう彼の背中を何度も見送っていた。
私……意外と、ずっと前から彼のことを目で追っていたのかも。
そんな小さな気付きに、少しだけ口角が上がった。
心地よい芝生の匂いと、穏やかな風。
そして肩に伝わる彼の体温。
「……食べ終わったら、私も少しだけ寝ようかな」
寝ている京谷君を見ていると、こっちまで眠くなる。
心地よい眠気の連鎖に身を任せ、私は春の陽だまりの中で、ゆっくりと最後の一口を運んだ。
1人で寂しくお弁当を食べている子、というクラスメイトの視線から逃れられるし、何よりここには京谷君がいる。
特別会話が弾むワケじゃない。
だけど、彼の隣にいる時間は、私にとって何にも代えがたい安らぎになっていた。
「いただきます」
いつものように隣へ腰を下ろし、お弁当の蓋を開ける。
対照的に、京谷君は今日もコンビニの袋から無造作に惣菜パンを取り出し、大きな口で齧りついていた。
「京谷君って、いつもコンビニのパンだよね」
「ハミチキもあんだろ」
袋を覗き込むと、茶色い紙から油がじゅわりと滲み出たハミチキが顔を出している。
「本当に好きだね、それ」
「いいだろ、別に」
「いいけど……。栄養、偏らない?」
つい母親のようなことを口にしてしまい、ハッとして口を噤む。
しまった、これはウザいと思われるパターンだ……と1人で勝手に反省会を始めた、その時だった。
「……じゃあ、なんだ」
「え?」
京谷君がパンを食べる手を止め、イタズラっぽい笑みを浮かべてこちらを覗き込んできた。
「◯◯が、俺の分も作ってくれんのか?」
一瞬、心臓が跳ねた。
彼が私の作ったお弁当を食べている姿が、鮮明に脳裏をよぎる。
「い、いいよ。……京谷君が食べてくれるなら、私……」
予想外に食い気味に答えてしまった私に、京谷君は少しだけ面食らったような顔をした。
だけど、すぐに視線を逸らしてまたパンを口に運ぶ。
「冗談だよ。面倒だろ、俺の分まで作んのなんて」
ぶっきらぼうな声。
私は「本気だったんだけどな」という言葉を飲み込んで、手元のお弁当に視線を戻した。
「……ふぁ。食い終わったら、なんか眠くなってきた」
不意に、右肩にずっしりとした重みが加わった。
京谷君が、私の肩にポスッと頭を預けてきたのだ。
「ちょっ……京谷君、重たい。お弁当食べにくいんだけど」
「……」
抗議してみたけれど、返事はない。
横を向くと、彼はもう既に規則正しい寝息を立て始めていた。
「……もう寝ちゃったの?!」
呆れながらも、私は肩を貸したままお箸を動かした。
なんだか、寝ている京谷君を見る機会が増えた気がする。
いや、1年生の時も彼は授業中によく寝ていた。
下校の時だって、欠伸をしながら校門へ向かう彼の背中を何度も見送っていた。
私……意外と、ずっと前から彼のことを目で追っていたのかも。
そんな小さな気付きに、少しだけ口角が上がった。
心地よい芝生の匂いと、穏やかな風。
そして肩に伝わる彼の体温。
「……食べ終わったら、私も少しだけ寝ようかな」
寝ている京谷君を見ていると、こっちまで眠くなる。
心地よい眠気の連鎖に身を任せ、私は春の陽だまりの中で、ゆっくりと最後の一口を運んだ。
