~第二章〜 寂しいのはどっち
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外で待つこと十数分。
背の高いシルエットがこちらへ向かってきた。
徹だ。
「●●ちゃん……!」
彼の声は、安堵と喜びと、そしてかすかな不安が混じった、震える声だった。
「徹……。急にごめんね。勉強、忙しかったでしょ」
私が控えめに言うと、彼はそれを遮るように力を込め、人目も憚らず大胆に抱きついてきた。
まるで、8年ぶりの再会を彷彿させるような。
だけど、今度は突き放したりはしない。
「会いたかった……!」
徹の肩が、私の腕の中で微かに震えている。
「徹……?」
「本当はもっと会いたかったし、連絡もしたかった。なにより寂しかった……」
寂しいと思っていたのは、私だけじゃなかったのだと、その時ようやく気が付いた。
彼は私と同じように、いや、それ以上に、私の「大人としての配慮」を、「拒絶」と受け取って、苦しんでいたのだ。
「私も会いたかった。ただ……アルゼンチンの夢を、邪魔したくなかったの」
「俺の夢に●●ちゃんがいないワケないでしょ!」
徹はパッと体を離すと、私の両肩を掴んで真っ直ぐに私を見つめた。
その瞳には、少しだけ涙が滲んで見える。
「アルゼンチンに行くって言った時から、成功したら●●ちゃんも呼ぶつもりでいた。だけど、●●ちゃんには●●ちゃんの人生があるし、俺なんかに縛られたくないと思ったら、何も言えなくなって……」
「徹……」
「それにさ……」
徹は言葉を切ると、不機嫌そうに口を尖らせ、私の背後にある居酒屋の店内をチラリと睨みつけた。
窓の向こうでは、同期の男性グループが楽しそうに盛り上がり、こちらを冷やかそうと様子を伺っているのが見える。
「アイツら、さっきから●●ちゃんのことジロジロ見すぎ。……もう、本当は今すぐ独り占めしたいくらいなんだけど!」
「……っ!」
独占欲を剥き出しにした彼の言葉に、私は思わず噴き出した。
あんなに大人ぶって物分かりのいいフリをしていた自分が、なんだか急に可笑しくなった。
「とにかく、俺には●●ちゃんが必要なの!邪魔なんて1ミリも思ったことないし、むしろ毎日邪魔してほしいくらいなんだからね!」
必死な形相で訴える彼を見て、私の涙腺は完全に緩んでしまった。
溢れた涙を指先で拭いながら、私は彼を困らせるように笑った。
「……バカじゃない。そんなの、もっと早く言いなさいよ」
「……言おうとしたよ、何度も!でも、●●ちゃんが隙を見せてくれないんだもん」
徹は気恥ずかしそうに顔を赤くし、今度は優しく、壊れ物を扱うような手つきで私を再び抱き寄せた。
地球の裏側へ行く恋人と、それを見送る私。
相変わらず距離も年齢も離れている2人だけど。
寂しいと思っているのは、私だけじゃなくて、彼も同じだったのだと。
その事実に、私の心はこれまでにないほど、温かな幸せで満たされた。
ーーFinーー
背の高いシルエットがこちらへ向かってきた。
徹だ。
「●●ちゃん……!」
彼の声は、安堵と喜びと、そしてかすかな不安が混じった、震える声だった。
「徹……。急にごめんね。勉強、忙しかったでしょ」
私が控えめに言うと、彼はそれを遮るように力を込め、人目も憚らず大胆に抱きついてきた。
まるで、8年ぶりの再会を彷彿させるような。
だけど、今度は突き放したりはしない。
「会いたかった……!」
徹の肩が、私の腕の中で微かに震えている。
「徹……?」
「本当はもっと会いたかったし、連絡もしたかった。なにより寂しかった……」
寂しいと思っていたのは、私だけじゃなかったのだと、その時ようやく気が付いた。
彼は私と同じように、いや、それ以上に、私の「大人としての配慮」を、「拒絶」と受け取って、苦しんでいたのだ。
「私も会いたかった。ただ……アルゼンチンの夢を、邪魔したくなかったの」
「俺の夢に●●ちゃんがいないワケないでしょ!」
徹はパッと体を離すと、私の両肩を掴んで真っ直ぐに私を見つめた。
その瞳には、少しだけ涙が滲んで見える。
「アルゼンチンに行くって言った時から、成功したら●●ちゃんも呼ぶつもりでいた。だけど、●●ちゃんには●●ちゃんの人生があるし、俺なんかに縛られたくないと思ったら、何も言えなくなって……」
「徹……」
「それにさ……」
徹は言葉を切ると、不機嫌そうに口を尖らせ、私の背後にある居酒屋の店内をチラリと睨みつけた。
窓の向こうでは、同期の男性グループが楽しそうに盛り上がり、こちらを冷やかそうと様子を伺っているのが見える。
「アイツら、さっきから●●ちゃんのことジロジロ見すぎ。……もう、本当は今すぐ独り占めしたいくらいなんだけど!」
「……っ!」
独占欲を剥き出しにした彼の言葉に、私は思わず噴き出した。
あんなに大人ぶって物分かりのいいフリをしていた自分が、なんだか急に可笑しくなった。
「とにかく、俺には●●ちゃんが必要なの!邪魔なんて1ミリも思ったことないし、むしろ毎日邪魔してほしいくらいなんだからね!」
必死な形相で訴える彼を見て、私の涙腺は完全に緩んでしまった。
溢れた涙を指先で拭いながら、私は彼を困らせるように笑った。
「……バカじゃない。そんなの、もっと早く言いなさいよ」
「……言おうとしたよ、何度も!でも、●●ちゃんが隙を見せてくれないんだもん」
徹は気恥ずかしそうに顔を赤くし、今度は優しく、壊れ物を扱うような手つきで私を再び抱き寄せた。
地球の裏側へ行く恋人と、それを見送る私。
相変わらず距離も年齢も離れている2人だけど。
寂しいと思っているのは、私だけじゃなくて、彼も同じだったのだと。
その事実に、私の心はこれまでにないほど、温かな幸せで満たされた。
ーーFinーー
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