~第二章〜 寂しいのはどっち
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徹との連絡を絶ってから、仕事は繁忙期に入り、私は業務に追われる日々を過ごしていた。
そのおかげで、彼のことを考える時間が減った。
そして、その山場もようやく終わりに差し掛かった。
「これ終えて、今日は飲みに行くぞ!」
「いいね!パーッとやろう!」
フロア中に響く同期たちの歓声。
すっかり祝杯ムードに包まれる中、私はその熱気に当てられ、そっと身を引こうとした。
「えっと、私は……」
「私と●●も参加しまーす!」
断りの言葉を言わせないように、横からひょっこり現れたマユリが私の肩を組んだ。
「え、ちょっとマユリ!」
「いいの、いいの!アンタ最近、死んだ顔して働いてたんだから。強制連行!」
抵抗する間もなく、終業後、私は夜の飲み屋街へと連れ出された。
……。
…………。
駅前の居酒屋は、勝利の美酒に酔いしれる同期たちの笑い声で溢れていた。
「お疲れ様!」
「やり切った!」
ビールジョッキがぶつかり合う音が響く。
本来なら喜ばしいはずのその音が、今の私にはどこか関係のないように聞こえた。
私だけが、独りお通夜のような顔をして、お酒を口にする。
「なーに、悩んでんの?」
隣に座ったマユリが、ビール片手に私の顔を覗き込んできた。
「……別に。ちょっと疲れてるだけ」
「嘘。原因、仕事だけじゃないでしょ?話して楽になるなら、何でも聞くから」
マユリの真っ直ぐな視線に、私は観念した。
普段彼女の恋愛の愚痴を聞いている私が、まさか聞いてもらう側になるとは。
「じゃあ、お言葉に甘えて……。以前、年下の幼馴染と再会したって話ししたよね?」
「うん、覚えてるよ!彼がどうかしたの?」
「その……大きな声では言えないんだけど、いい感じになりまして……」
「おー!おめでとう!よかったじゃん!」
マユリは自分のことのように喜んでくれた。
だけど、私の心は晴れない。
「それで、彼、今頑張っていることがあって、私が連絡することによって、その……邪魔しちゃわないか心配で、連絡できずにいるの」
マユリはジョッキをテーブルに置くと、呆れたように長いため息を吐いた。
「なにそれ。忙しいのは●●もでしょ?お互い言い訳して遠慮し合ってたら、何も伝わらないよ」
「そうなんだけど……。邪魔して嫌われたくないし」
「じゃあ、選んで。邪魔して嫌われるのか、邪魔をせずに嫌われるのか」
「それなら、どうせ嫌われるなら邪魔して嫌われた方がマシ……だけど」
「でしょ?なら、連絡しなよ。私だってどんなに忙しくても彼氏に連絡してるし、彼からも来るよ」
「それはマユリと彼氏さんの付き合いが長いからであって……」
「何言ってんの。幼馴染の●●の方が私たちより付き合い長いでしょ」
マユリの言葉は、いつも鋭くて痛い。
「大人ぶっていつまでも遠慮してると、彼に俺に興味ないんだって誤解させるだけよ。●●がどれだけ寂しいか、ちゃんと言いなさいよ」
「うーん」
「ほら、ひとまず夜風に当たって考えをまとめて来てください」
「そうしてみる……」
背中を叩かれ、私は席を立った。
「あ、行く前に聞きたいんだけど、幼馴染君の名前ってなんだっけ?」
「え……?及川徹だけど……」
「及川徹、ね。了解!じゃあ、いってらっしゃーい!」
マユリは手をヒラヒラと振った。
そのおかげで、彼のことを考える時間が減った。
そして、その山場もようやく終わりに差し掛かった。
「これ終えて、今日は飲みに行くぞ!」
「いいね!パーッとやろう!」
フロア中に響く同期たちの歓声。
すっかり祝杯ムードに包まれる中、私はその熱気に当てられ、そっと身を引こうとした。
「えっと、私は……」
「私と●●も参加しまーす!」
断りの言葉を言わせないように、横からひょっこり現れたマユリが私の肩を組んだ。
「え、ちょっとマユリ!」
「いいの、いいの!アンタ最近、死んだ顔して働いてたんだから。強制連行!」
抵抗する間もなく、終業後、私は夜の飲み屋街へと連れ出された。
……。
…………。
駅前の居酒屋は、勝利の美酒に酔いしれる同期たちの笑い声で溢れていた。
「お疲れ様!」
「やり切った!」
ビールジョッキがぶつかり合う音が響く。
本来なら喜ばしいはずのその音が、今の私にはどこか関係のないように聞こえた。
私だけが、独りお通夜のような顔をして、お酒を口にする。
「なーに、悩んでんの?」
隣に座ったマユリが、ビール片手に私の顔を覗き込んできた。
「……別に。ちょっと疲れてるだけ」
「嘘。原因、仕事だけじゃないでしょ?話して楽になるなら、何でも聞くから」
マユリの真っ直ぐな視線に、私は観念した。
普段彼女の恋愛の愚痴を聞いている私が、まさか聞いてもらう側になるとは。
「じゃあ、お言葉に甘えて……。以前、年下の幼馴染と再会したって話ししたよね?」
「うん、覚えてるよ!彼がどうかしたの?」
「その……大きな声では言えないんだけど、いい感じになりまして……」
「おー!おめでとう!よかったじゃん!」
マユリは自分のことのように喜んでくれた。
だけど、私の心は晴れない。
「それで、彼、今頑張っていることがあって、私が連絡することによって、その……邪魔しちゃわないか心配で、連絡できずにいるの」
マユリはジョッキをテーブルに置くと、呆れたように長いため息を吐いた。
「なにそれ。忙しいのは●●もでしょ?お互い言い訳して遠慮し合ってたら、何も伝わらないよ」
「そうなんだけど……。邪魔して嫌われたくないし」
「じゃあ、選んで。邪魔して嫌われるのか、邪魔をせずに嫌われるのか」
「それなら、どうせ嫌われるなら邪魔して嫌われた方がマシ……だけど」
「でしょ?なら、連絡しなよ。私だってどんなに忙しくても彼氏に連絡してるし、彼からも来るよ」
「それはマユリと彼氏さんの付き合いが長いからであって……」
「何言ってんの。幼馴染の●●の方が私たちより付き合い長いでしょ」
マユリの言葉は、いつも鋭くて痛い。
「大人ぶっていつまでも遠慮してると、彼に俺に興味ないんだって誤解させるだけよ。●●がどれだけ寂しいか、ちゃんと言いなさいよ」
「うーん」
「ほら、ひとまず夜風に当たって考えをまとめて来てください」
「そうしてみる……」
背中を叩かれ、私は席を立った。
「あ、行く前に聞きたいんだけど、幼馴染君の名前ってなんだっけ?」
「え……?及川徹だけど……」
「及川徹、ね。了解!じゃあ、いってらっしゃーい!」
マユリは手をヒラヒラと振った。
