~第二章〜 寂しいのはどっち
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~第二章〜 寂しいのはどっち
春高予選で青葉城西高校が敗退して、徹の高校生活最後の大会が終わった。
部活を引退することによって、時間に余裕ができると思っていた。
だけど、同時に受験勉強が始まる。
そもそも、「好き」とは言われたけれど「付き合いましょう」と言うやり取りをしていない。
この場合はどうなるの?
私はまだ徹と付き合っていないことになるの?
分からない。
ただでさえ年齢差があってギャップを感じるのに。
恋って苦しい。
こんなに苦しければ愚痴の1つや2つ出そうになる。
マユリがよく彼氏の愚痴をこぼしていたけれど、次からはもっとちゃんと聞こうと思った。
ーーーー
仕事から帰宅後、コンビニの弁当をつつきながら、ぼんやりと恋愛ドラマを眺めていた。
画面の中のヒロインが、友人に詰め寄られている。
“忙しいって言われて、彼と連絡が取れないの……”
“それ、絶対に遊ばれてるよ。他に本命がいるって!”
箸が止まった。
まるで自分に言われているような、嫌な汗が背中を伝う。
徹に限って、そんなはずない。
そう思いながらも、エンドロールが流れる頃には、胸の奥にしこりができていた。
「……確かめなきゃ」
私はドラマの彼女みたいに、返事を先延ばしにはしたくない。
震える指先でスマホを操作し、連絡先から及川徹の名前をタップした。
耳元で鳴る呼び出し音。
3回、4回……。
通話がつながった瞬間、心臓が跳ねた。
“もしもしー?●●ちゃん、どーかした?”
受話器越しに聞こえるのは、聞き慣れた余裕のある彼の声。
「あ……ううん、特に用事ってワケじゃないんだけど。ちょっと、声が聞きたいなーなんて思って……」
精一杯、重くならないように、おどけて言ってみた。
少しの沈黙の後、徹の笑いを含んだ声が返ってくる。
“なんだー、そんなこと?”
その瞬間、頭が真っ白になった。
私にとっては、心臓が止まるほどの勇気を振り絞った電話。
仕事の疲れも、ドラマで植え付けられた不安も、全部ひっくるめて彼に救ってほしかったのに。
彼にとっては、その程度。
「急にごめんね!勉強中だったでしょ?元気そうならよかった。じゃあ、またね!」
声が震えないように、無理やり口角を上げ、逃げるように通話を切った。
暗くなった画面に、情けない顔をした自分の顔が映る。
「……バカみたい」
私ばっかり好きみたいで……。
私ばっかり寂しいみたいで……。
静かな部屋の中で、膝を抱える。
彼が放った「そんなこと」という言葉が、呪いのように頭の中で反芻され、その日は中々寝付けなかった。
