~第一章〜 振り回すのはどっち
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インターハイ当日。
大きな体育館は、高校生たちの熱気と緊張感に包まれていた。
徹が小学生の時は1度も試合の応援に行ったことなかった。
なんなら練習風景すら見たことがない。
だから、徹がどのくらいの実力なのか、どのポジションなのか、全く分からずに来てしまった。
ポジションくらいは事前に聞いておけば良かった、と今更ながら後悔する。
観客席に腰を下ろし、試合が始まるのを待った。
その時、青葉城西と書かれた応援うちわを持った女の子たちが、すぐ近くの席に座ってきた。
私服だったけれど、おそらく徹と同じ高校の生徒だろう。
うちわをパタパタと扇ぐため、もう片方の面が視界に入った。
1人は「まっつん」、もう1人は「及川さん」の文字。
及川さんって……徹のこと?
へぇ、やっぱりモテるんだ。
しかも、可愛い子で良かったね。
そんなことを考えていると、選手たちがコートへと集まってきた。
……あ、徹だ。
背番号1番をつけているのが、ひときわ背の高い徹。
彼は、真ん中に立ち、チームメイトたちと談笑している。
私は思わず手を振ろうと、少しだけ手を上げた。
その時。
「キャー!及川さーん!」
「松川先輩!頑張ってください!」
先ほどの応援うちわを持った女の子たちの、黄色い声援に圧倒され、私の上げた手は、そっと膝の上に引き戻された。
私より、あの子たちに応援されたほうが嬉しいよね。
うん、そうだ、そうだ。
自分を納得させるように言い聞かせた。
対戦校がウォーミングアップしているのを順番待ちしている青葉城西の選手たち。
徹はそのチームメイトたちに弄られているのか、背中をバシバシ叩かれたり、指さされて笑われたりしている。
彼は照れくさそうに笑いながら、チームメイトに何かを言い返していた。
あんな高校生らしい、飾らない姿の徹を見たのは初めてかもしれない。
私の前では、どこか頑張って大人ぶっているというか、必死に格好つけようとしていた。
だけど、それが空回って、どことなく可愛くも感じていた。
両校のウォーミングアップが終わり、いよいよ整列だ。
その直前、徹はチームメイトたちに向って力強く、そして穏やかな笑顔で言った。
「それじゃあ今日も信じてるよ、お前ら」
信じてるよ……か。
都合がいいのかもしれない。
だけど、まるで私に言ってくれたように感じた。
……ああ、そうか。
私は自分の自信のなさを、徹のせいにしていたんだ。
こんな年上の冴えない私を好いてくれるワケない、と徹の気持ちを疑ったんだ。
ふと、ランチタイムにマユリが言っていた言葉を思い出した。
“説明できる好きは好きじゃない”
腑に落ちた。
今ならあの言葉の意味が理解できる。
私も徹を信じないと。
大きな体育館は、高校生たちの熱気と緊張感に包まれていた。
徹が小学生の時は1度も試合の応援に行ったことなかった。
なんなら練習風景すら見たことがない。
だから、徹がどのくらいの実力なのか、どのポジションなのか、全く分からずに来てしまった。
ポジションくらいは事前に聞いておけば良かった、と今更ながら後悔する。
観客席に腰を下ろし、試合が始まるのを待った。
その時、青葉城西と書かれた応援うちわを持った女の子たちが、すぐ近くの席に座ってきた。
私服だったけれど、おそらく徹と同じ高校の生徒だろう。
うちわをパタパタと扇ぐため、もう片方の面が視界に入った。
1人は「まっつん」、もう1人は「及川さん」の文字。
及川さんって……徹のこと?
へぇ、やっぱりモテるんだ。
しかも、可愛い子で良かったね。
そんなことを考えていると、選手たちがコートへと集まってきた。
……あ、徹だ。
背番号1番をつけているのが、ひときわ背の高い徹。
彼は、真ん中に立ち、チームメイトたちと談笑している。
私は思わず手を振ろうと、少しだけ手を上げた。
その時。
「キャー!及川さーん!」
「松川先輩!頑張ってください!」
先ほどの応援うちわを持った女の子たちの、黄色い声援に圧倒され、私の上げた手は、そっと膝の上に引き戻された。
私より、あの子たちに応援されたほうが嬉しいよね。
うん、そうだ、そうだ。
自分を納得させるように言い聞かせた。
対戦校がウォーミングアップしているのを順番待ちしている青葉城西の選手たち。
徹はそのチームメイトたちに弄られているのか、背中をバシバシ叩かれたり、指さされて笑われたりしている。
彼は照れくさそうに笑いながら、チームメイトに何かを言い返していた。
あんな高校生らしい、飾らない姿の徹を見たのは初めてかもしれない。
私の前では、どこか頑張って大人ぶっているというか、必死に格好つけようとしていた。
だけど、それが空回って、どことなく可愛くも感じていた。
両校のウォーミングアップが終わり、いよいよ整列だ。
その直前、徹はチームメイトたちに向って力強く、そして穏やかな笑顔で言った。
「それじゃあ今日も信じてるよ、お前ら」
信じてるよ……か。
都合がいいのかもしれない。
だけど、まるで私に言ってくれたように感じた。
……ああ、そうか。
私は自分の自信のなさを、徹のせいにしていたんだ。
こんな年上の冴えない私を好いてくれるワケない、と徹の気持ちを疑ったんだ。
ふと、ランチタイムにマユリが言っていた言葉を思い出した。
“説明できる好きは好きじゃない”
腑に落ちた。
今ならあの言葉の意味が理解できる。
私も徹を信じないと。
