~第一章〜 振り回すのはどっち
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休み明け、オフィスのお昼休憩。
マユリと2人、向かい合って弁当を広げていた。
「この間は迷惑かけちゃってごめんね〜。タクシーの運転手さんに起こされて、やんわり事情を聞いたよ」
マユリは豪快に笑う。
「……」
私が口を開かなかったせいか、マユリの表情が真面目になる。
「あの後、何かあったの?」
帰り道に襲われた?それとも●●も酔って記憶をなくした?と、彼女は心配そうな顔で私を覗き込んできた。
マユリになら話してもいいかもしれない。
先日あった徹とのことを。
「実はね……」
私は、姉弟のように仲が良かった幼馴染の男の子と再会したこと、その彼に告白されたけど、好きになった理由がないと言われたことを、簡単に話した。
「きっと、からかわれたんだよね。彼、イケメンになっていたし」
「なるほどね〜。何で彼が自分のことを好いてくれているのか分からない、と」
「うん」
「じゃあちょっと質問するけど、私ってよく●●に彼氏の愚痴を言うでしょ?それ聞いてどう思った?」
「どうって……」
正直に言っていいから、と付け加えて言われたけど、言ったら怒られそう。
それでも私は、恐る恐る答えた。
「えっと……恋愛って大変だなーとか、なんで付き合っているんだろうって」
「そう、それ!」
マユリは正解、と言わんばかりに、私の目の前で指を突き立てた。
「自分でも何であんなクズと付き合っているんだろうって思うよ」
自覚はあったんだ。
「だけど、好きになっちゃったんだから仕方がないじゃない?」
「はぁ」
そう言うものなのかな?
「だから、その彼も同じじゃないかな」
「うーん」
納得していない私を見て、マユリはニヤリと笑った。
「では、そんな●●にどっかの有名人が言っていた名言で、“説明できる好きは好きじゃない”って言葉を送ろう」
「ありがとう、覚えておくね」
私は食べ終わったお弁当箱を片付けた。
ーーーー
残業のせいでいつもより帰宅するのが遅くなってしまった。
時計を見ると、すでに夜の9時を回っている。
急ぎ足でアパートの敷地に入ると、見慣れた青と白のジャージ姿が、私の部屋の前に立っているのが見えた。
「えっ、徹?!こんなところで何してるの?」
徹はこの間と同じ青葉城西と書かれたジャージを着ていた。
おそらく部活終わりなのだろう。
「連絡先交換していなかったから」
幼馴染とは言え、8年前の徹はスマホなんて持っていなかった。
用があるときは、走って伝えに来てくれたっけ。
懐かしく思いながらも、私は鞄からスマホを取り出し、徹と連絡先を交換した。
「それだけのために待っていたの?」
この間のことがなければ、当然のように家に上がるか聞いたけれど、今の私は徹を警戒している。
そんな軽率なことはしない。
徹は少し目を泳がせた。
「あー、うん。今度試合があるんだけど、見に来て欲しくて」
「試合?」
「うん、インターハイ」
どうやら徹はバレーボール部の主将をやっているらしい。
小学生のときからクラブチームでバレーをやっていたことは知っていたけど、続けていたんだ。
凄いな。
「もちろん、時間があればでいいんだけど」
こんな時間まで待ってまでして私に伝えたかったことなのに、徹は遠慮がちに言った。
そんなに伏し目がちにならなくても。
「行ってみようかな」
徹を応援したい気持ちと、彼が長く続けているバレーがどんなものなのか、純粋に興味が湧いた。
「本当に?!俺、頑張るから」
徹の顔が、子供のようにパッと明るくなった。
「うん、だから今日はもう帰りなよ?こんなことで体調を崩されたら困るから」
私は嬉しそうに手を振って、一目散に走り去る徹を見送った。
姿形は変わったけど、その後ろ姿は、8年前のあの頃、ボールを追いかけていた少年を彷彿とさせた。
マユリと2人、向かい合って弁当を広げていた。
「この間は迷惑かけちゃってごめんね〜。タクシーの運転手さんに起こされて、やんわり事情を聞いたよ」
マユリは豪快に笑う。
「……」
私が口を開かなかったせいか、マユリの表情が真面目になる。
「あの後、何かあったの?」
帰り道に襲われた?それとも●●も酔って記憶をなくした?と、彼女は心配そうな顔で私を覗き込んできた。
マユリになら話してもいいかもしれない。
先日あった徹とのことを。
「実はね……」
私は、姉弟のように仲が良かった幼馴染の男の子と再会したこと、その彼に告白されたけど、好きになった理由がないと言われたことを、簡単に話した。
「きっと、からかわれたんだよね。彼、イケメンになっていたし」
「なるほどね〜。何で彼が自分のことを好いてくれているのか分からない、と」
「うん」
「じゃあちょっと質問するけど、私ってよく●●に彼氏の愚痴を言うでしょ?それ聞いてどう思った?」
「どうって……」
正直に言っていいから、と付け加えて言われたけど、言ったら怒られそう。
それでも私は、恐る恐る答えた。
「えっと……恋愛って大変だなーとか、なんで付き合っているんだろうって」
「そう、それ!」
マユリは正解、と言わんばかりに、私の目の前で指を突き立てた。
「自分でも何であんなクズと付き合っているんだろうって思うよ」
自覚はあったんだ。
「だけど、好きになっちゃったんだから仕方がないじゃない?」
「はぁ」
そう言うものなのかな?
「だから、その彼も同じじゃないかな」
「うーん」
納得していない私を見て、マユリはニヤリと笑った。
「では、そんな●●にどっかの有名人が言っていた名言で、“説明できる好きは好きじゃない”って言葉を送ろう」
「ありがとう、覚えておくね」
私は食べ終わったお弁当箱を片付けた。
ーーーー
残業のせいでいつもより帰宅するのが遅くなってしまった。
時計を見ると、すでに夜の9時を回っている。
急ぎ足でアパートの敷地に入ると、見慣れた青と白のジャージ姿が、私の部屋の前に立っているのが見えた。
「えっ、徹?!こんなところで何してるの?」
徹はこの間と同じ青葉城西と書かれたジャージを着ていた。
おそらく部活終わりなのだろう。
「連絡先交換していなかったから」
幼馴染とは言え、8年前の徹はスマホなんて持っていなかった。
用があるときは、走って伝えに来てくれたっけ。
懐かしく思いながらも、私は鞄からスマホを取り出し、徹と連絡先を交換した。
「それだけのために待っていたの?」
この間のことがなければ、当然のように家に上がるか聞いたけれど、今の私は徹を警戒している。
そんな軽率なことはしない。
徹は少し目を泳がせた。
「あー、うん。今度試合があるんだけど、見に来て欲しくて」
「試合?」
「うん、インターハイ」
どうやら徹はバレーボール部の主将をやっているらしい。
小学生のときからクラブチームでバレーをやっていたことは知っていたけど、続けていたんだ。
凄いな。
「もちろん、時間があればでいいんだけど」
こんな時間まで待ってまでして私に伝えたかったことなのに、徹は遠慮がちに言った。
そんなに伏し目がちにならなくても。
「行ってみようかな」
徹を応援したい気持ちと、彼が長く続けているバレーがどんなものなのか、純粋に興味が湧いた。
「本当に?!俺、頑張るから」
徹の顔が、子供のようにパッと明るくなった。
「うん、だから今日はもう帰りなよ?こんなことで体調を崩されたら困るから」
私は嬉しそうに手を振って、一目散に走り去る徹を見送った。
姿形は変わったけど、その後ろ姿は、8年前のあの頃、ボールを追いかけていた少年を彷彿とさせた。
