共犯者
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1週間後、義手の接続当日。
Mr.コンプレスは約束通り店に現れた。
相変わらず、古びた床はギシリと鳴る。
「やあ、久方ぶりだね」
「お待ちしていました」
私は完成した義手をカウンターに置いた。
光沢のある黒い義手は、指一本一本に繊細な関節機構が組み込まれており、見た目からは想像できないほど軽量に作られている。
私は改めてMr.コンプレスに警告した。
「最初にも言いましたけど、激しい痛みが伴いますので」
「その痛みは、和らげることって……」
「できません」
間髪入れずに断る。
麻酔医を雇い、設備を整えるなど、この場所では不可能だ。
「では、せめて……●●さんに手を握ってもらえたりは……」
「そんなことしたら、ズレて失敗します。もちろん、痛みで暴れようものなら、それこそ失敗します」
「……」
仮面の奥で、彼が絶望的な沈黙に陥る。
「必要であれば、タオルでも貸しましょうか?」
それを口にするなら、仮面を外さなければならない。
私に素顔を晒させることを暗に仄めかすと、彼はようやく覚悟を決めたように低く呟いた。
「いや、必要ない。……やってくれ」
観念した彼はトレンチコートを脱ぎ捨て、左肩を露わにした。
「では、作業に入ります。動かなければ、声を上げても構いませんから」
私は、義手の接続端子と彼の切断面を合わせ、個性を発動させた。
“接続”
「あ゛ががあぁぁ゛あ゛ぁぁ゛っ!!」
店内の空気が震えるほどの絶叫が上がった。
きっと、今の彼には意識が飛びそうになるほどの激痛が襲いかかっているのだろう。
だけど、動かない肩から必死に耐えているのが分かる。
「もう少しで終わりますので、頑張ってくださいね」
「うっ……ぁ……あ゛あ゛!!」
なだめる声にも、私の意識は一点に集中している。
……。
…………。
「終わりました」
数分後、私が手を離すと、彼は荒い呼吸を繰り返しながら、ゆっくりと顔を上げた。
「調子はどうですか?」
「うん……いい。凄くいい……」
まるで以前からそこにあったかのように、指先が滑らかに動く。
彼は自分の意思で自在に動く鋼の指を、食い入るように見つめていた。
「よかったです。……あ、これ。今後の諸々をまとめたものです」
私は、裏面に自分の連絡先を書き殴った請求書を彼に差し出した。
「……これは?」
「材料費や技術料の明細です。決して安くはありませんよ。あと、うちは保証やメンテのサービスはやってないので、修理が必要になったらその連絡先に都度相談してください」
「……分かった。妥当な金額だ」
彼は代金を誤魔化したり、脅したりせず、言われた通りの高額な料金を、あっさりと支払った。
ボロボロのコートを纏ったその懐から、きっちりと全額。
ぺしゃんこだったコートの左腕には、今やしっかりとした輪郭が浮かび上がっている。
店を去る際、彼は仮面の下で、笑っているように見えた。
「●●さん、最高の腕をありがとう」
「またご贔屓に」
私は自信に満ち溢れたその後ろ姿に一礼をした。
Mr.コンプレスは約束通り店に現れた。
相変わらず、古びた床はギシリと鳴る。
「やあ、久方ぶりだね」
「お待ちしていました」
私は完成した義手をカウンターに置いた。
光沢のある黒い義手は、指一本一本に繊細な関節機構が組み込まれており、見た目からは想像できないほど軽量に作られている。
私は改めてMr.コンプレスに警告した。
「最初にも言いましたけど、激しい痛みが伴いますので」
「その痛みは、和らげることって……」
「できません」
間髪入れずに断る。
麻酔医を雇い、設備を整えるなど、この場所では不可能だ。
「では、せめて……●●さんに手を握ってもらえたりは……」
「そんなことしたら、ズレて失敗します。もちろん、痛みで暴れようものなら、それこそ失敗します」
「……」
仮面の奥で、彼が絶望的な沈黙に陥る。
「必要であれば、タオルでも貸しましょうか?」
それを口にするなら、仮面を外さなければならない。
私に素顔を晒させることを暗に仄めかすと、彼はようやく覚悟を決めたように低く呟いた。
「いや、必要ない。……やってくれ」
観念した彼はトレンチコートを脱ぎ捨て、左肩を露わにした。
「では、作業に入ります。動かなければ、声を上げても構いませんから」
私は、義手の接続端子と彼の切断面を合わせ、個性を発動させた。
“接続”
「あ゛ががあぁぁ゛あ゛ぁぁ゛っ!!」
店内の空気が震えるほどの絶叫が上がった。
きっと、今の彼には意識が飛びそうになるほどの激痛が襲いかかっているのだろう。
だけど、動かない肩から必死に耐えているのが分かる。
「もう少しで終わりますので、頑張ってくださいね」
「うっ……ぁ……あ゛あ゛!!」
なだめる声にも、私の意識は一点に集中している。
……。
…………。
「終わりました」
数分後、私が手を離すと、彼は荒い呼吸を繰り返しながら、ゆっくりと顔を上げた。
「調子はどうですか?」
「うん……いい。凄くいい……」
まるで以前からそこにあったかのように、指先が滑らかに動く。
彼は自分の意思で自在に動く鋼の指を、食い入るように見つめていた。
「よかったです。……あ、これ。今後の諸々をまとめたものです」
私は、裏面に自分の連絡先を書き殴った請求書を彼に差し出した。
「……これは?」
「材料費や技術料の明細です。決して安くはありませんよ。あと、うちは保証やメンテのサービスはやってないので、修理が必要になったらその連絡先に都度相談してください」
「……分かった。妥当な金額だ」
彼は代金を誤魔化したり、脅したりせず、言われた通りの高額な料金を、あっさりと支払った。
ボロボロのコートを纏ったその懐から、きっちりと全額。
ぺしゃんこだったコートの左腕には、今やしっかりとした輪郭が浮かび上がっている。
店を去る際、彼は仮面の下で、笑っているように見えた。
「●●さん、最高の腕をありがとう」
「またご贔屓に」
私は自信に満ち溢れたその後ろ姿に一礼をした。
