思い出は思い出のままで
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ーーおまけ②(Mr.コンプレスside)ーー
張間歐児 の孫の孫だと両親から聞かされて、ああはならないように、と教育されてきた。
だけど、俺にはしっかりと盗賊王の血が継がれていた。
今から20年ほど前。
俺が小学生6年生だった頃のこと。
ほんの出来心だった。
今朝集金された給食費を盗んだらどんな騒ぎになるだろう、と。
先生が立て替える?
犯人探しが行われる?
授業が中止になる?
確実に言えたのは、俺が犯人だとバレるはずがない、ということだけだ。
……。
…………。
体育の授業のため、生徒がバタバタと移動する隙を狙い、俺は一瞬で先生の机から集金袋をくすね、それを個性の『圧縮』を使ってビー玉サイズにした。
誰にも見られていない。
初めての盗みにしては、案外呆気なかった。
言うなれば拍子抜け。
ことが発覚したのは、体育の授業を終え、教室に戻ってきた時。
先生が慌てた様子で机の中を漁っていた。
ようやく盗まれたことに気が付いたのかと、内心笑いを堪えるので必死だった。
そして、次に予定していた授業が中止になり、その代わりに犯人探しが行われた。
「先生の机の中にあった集金袋がなくなっている。誰か怪しい人物を見ていないか」
ザワザワとする生徒たち。
俺は空気になることに徹した。
そんな中、1人の生徒が名乗りを上げた。
「犯人は見ていませんが、◯◯さんが怪しいと思いまーす」
「え、私?!」
クラスメイトは◯◯さんを冷たい目で見る。
「だって、体育の授業中に失くなったんだろ?その時間、保健室にいた◯◯さんが怪しいに決まってんじゃん」
「ち、違う!私じゃない!」
◯◯さんは必死で否定した。
彼女が嘘を吐いていないのは、俺が一番知っている。
だけど、それを証明する術 を彼女は持ち合わせていない。
クラスは◯◯さんが犯人で決まりだと持ちきり。
「私じゃないのに……なんで……」
「泣いてんじゃねぇよ!この盗っ人が!」
「そうだ、そうだ!」
俺はただ、その様子を静かに傍観していた。
だが、あの時の俺は、今ほどの確固たる信念も、強靭な道化の精神も持ち合わせていなかった。
ただのクソガキ。
「◯◯さんはやってないよ」
ポロっと、口から出たのは、そんな言葉だった。
別に正義感からではない。
ただ、みんなが面白いくらいに彼女を犯人だと決めつける様子を見ていたら、興が削がれただけだ。
本当の犯人が俺だと知っている上で、彼女が吊るし上げられているのは、あまりにも絵にならない。
「迫は何か知っているのか?」
先生が問い詰める。
「なんとなく」
俺はそう答えた。
あの時の俺が言えたのは、それだけだった。
結局、給食費は数日後に、誰も知らない間に元の場所に戻しておいた。
もちろん、俺がやったなんて最後まで言わない。
◯◯さんへの疑いは晴れたが、不信感だけを残し、事件は風化した。
だけど、俺にはしっかりと盗賊王の血が継がれていた。
今から20年ほど前。
俺が小学生6年生だった頃のこと。
ほんの出来心だった。
今朝集金された給食費を盗んだらどんな騒ぎになるだろう、と。
先生が立て替える?
犯人探しが行われる?
授業が中止になる?
確実に言えたのは、俺が犯人だとバレるはずがない、ということだけだ。
……。
…………。
体育の授業のため、生徒がバタバタと移動する隙を狙い、俺は一瞬で先生の机から集金袋をくすね、それを個性の『圧縮』を使ってビー玉サイズにした。
誰にも見られていない。
初めての盗みにしては、案外呆気なかった。
言うなれば拍子抜け。
ことが発覚したのは、体育の授業を終え、教室に戻ってきた時。
先生が慌てた様子で机の中を漁っていた。
ようやく盗まれたことに気が付いたのかと、内心笑いを堪えるので必死だった。
そして、次に予定していた授業が中止になり、その代わりに犯人探しが行われた。
「先生の机の中にあった集金袋がなくなっている。誰か怪しい人物を見ていないか」
ザワザワとする生徒たち。
俺は空気になることに徹した。
そんな中、1人の生徒が名乗りを上げた。
「犯人は見ていませんが、◯◯さんが怪しいと思いまーす」
「え、私?!」
クラスメイトは◯◯さんを冷たい目で見る。
「だって、体育の授業中に失くなったんだろ?その時間、保健室にいた◯◯さんが怪しいに決まってんじゃん」
「ち、違う!私じゃない!」
◯◯さんは必死で否定した。
彼女が嘘を吐いていないのは、俺が一番知っている。
だけど、それを証明する
クラスは◯◯さんが犯人で決まりだと持ちきり。
「私じゃないのに……なんで……」
「泣いてんじゃねぇよ!この盗っ人が!」
「そうだ、そうだ!」
俺はただ、その様子を静かに傍観していた。
だが、あの時の俺は、今ほどの確固たる信念も、強靭な道化の精神も持ち合わせていなかった。
ただのクソガキ。
「◯◯さんはやってないよ」
ポロっと、口から出たのは、そんな言葉だった。
別に正義感からではない。
ただ、みんなが面白いくらいに彼女を犯人だと決めつける様子を見ていたら、興が削がれただけだ。
本当の犯人が俺だと知っている上で、彼女が吊るし上げられているのは、あまりにも絵にならない。
「迫は何か知っているのか?」
先生が問い詰める。
「なんとなく」
俺はそう答えた。
あの時の俺が言えたのは、それだけだった。
結局、給食費は数日後に、誰も知らない間に元の場所に戻しておいた。
もちろん、俺がやったなんて最後まで言わない。
◯◯さんへの疑いは晴れたが、不信感だけを残し、事件は風化した。
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