思い出は思い出のままで
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ーーおまけ①(Mr.コンプレスside)ーー
任務の為に久しぶりに帰郷した。
何も変わらないこの街並みにうんざりする。
俺はさっさと用件を済ませてアジトへ帰ろうとした。
そんな時、
「もしかして、迫君?」
見知らぬ女性に話しかけられた。
記憶を辿るも思い出せない。
しかし、俺のことを“Mr.コンプレス”ではなく、“迫君”と呼ぶ人物は限られている。
彼女は答え合わせのように話を続けた。
「覚えていないかな?私、小学校6年生の時に、迫君と同じクラスだった◯◯●●なんだけど……」
20年近く前のことなんて覚えているワケがない。
だけど、ここは話を合わせておいた方が穏便に済む。
「……あぁー、◯◯さん。久しぶりだね」
人を騙すのは得意だ。
ついでに、軽い世間話をしてこの場から離れればいい。
「元気?この辺に住んでるの?」
「ううん、今は地元から離れて就職したよ。迫君は?」
「俺も似たようなもん、かな」
そろそろ別れを切り出す頃合いだろうか。
しかし、それより先に、彼女は意外なことを口に出した。
「ねえ、迫君って今時間ある?よかったらそこの喫茶店でお茶でもしない?」
正直、すぐにでも去りたかった。
だけど、彼女の縋るような瞳に、何故か断ることができなかった。
「……まあ、少しだけなら」
気がついた時には、俺はそう口走り、彼女と喫茶店へと向かっていた。
ーーーー
流れで喫茶店に入ってしまったが、コーヒーをさっさと飲んで退散しよう。
彼女の話にも適当に相槌を打てばいい。
そう思っていたのに、
「そう言えば、6年生の時の給食費事件、覚えている?」
彼女は自分のコーヒーカップを両手で包み込みながら、新しい話題を振ってきた。
「給食費事件?」
先程会った時も思ったが、20年前のことなんて全く覚えていない。
それなのに、何故こうも彼女はつい先日のように話すのか。
だが、答えは簡単だった。
「給食費が盗まれて、その日、体育の時間に保健室にいた私が疑われたんだけど、迫君が庇ってくれて……」
彼女にとって印象的な出来事だった。
ただそれだけ。
それと同時に、ようやく思い出した。
俺がイタズラで盗んだ給食費の犯人に疑われたのが彼女だったと言うことに。
「クラスのみんなは私のことを犯罪者を見るような目つきで私を睨みつけてきたけど、迫君だけは違ったんだよ」
「そうだったかな……」
「うん、だから、改めてあの時は庇ってくれてありがとう」
彼女は改めて頭を下げて感謝してきた。
まさか、目の前にいる男こそが真犯人だとは知らずに。
本当に不憫で滑稽で……憐れだ。
「◯◯さんの中では、俺はいつまで経ってもヒーローのままなんだな」
「そうだよ?」
「そっか……。まあ、久しぶりに懐かしい話が聞けて楽しかったよ。ありがとう」
これ以上、そんな彼女と話しているのがいたたまれなくて、俺は逃げるように立ち上がった。
すると、咄嗟に彼女に腕を掴まれた。
「また会えるかな?」
会えるはずがない。
そう言えばいいものを、
「……俺が◯◯さんにとってヒーローのままなら、ね」
何故か期待を持たせることを言ってしまった。
任務の為に久しぶりに帰郷した。
何も変わらないこの街並みにうんざりする。
俺はさっさと用件を済ませてアジトへ帰ろうとした。
そんな時、
「もしかして、迫君?」
見知らぬ女性に話しかけられた。
記憶を辿るも思い出せない。
しかし、俺のことを“Mr.コンプレス”ではなく、“迫君”と呼ぶ人物は限られている。
彼女は答え合わせのように話を続けた。
「覚えていないかな?私、小学校6年生の時に、迫君と同じクラスだった◯◯●●なんだけど……」
20年近く前のことなんて覚えているワケがない。
だけど、ここは話を合わせておいた方が穏便に済む。
「……あぁー、◯◯さん。久しぶりだね」
人を騙すのは得意だ。
ついでに、軽い世間話をしてこの場から離れればいい。
「元気?この辺に住んでるの?」
「ううん、今は地元から離れて就職したよ。迫君は?」
「俺も似たようなもん、かな」
そろそろ別れを切り出す頃合いだろうか。
しかし、それより先に、彼女は意外なことを口に出した。
「ねえ、迫君って今時間ある?よかったらそこの喫茶店でお茶でもしない?」
正直、すぐにでも去りたかった。
だけど、彼女の縋るような瞳に、何故か断ることができなかった。
「……まあ、少しだけなら」
気がついた時には、俺はそう口走り、彼女と喫茶店へと向かっていた。
ーーーー
流れで喫茶店に入ってしまったが、コーヒーをさっさと飲んで退散しよう。
彼女の話にも適当に相槌を打てばいい。
そう思っていたのに、
「そう言えば、6年生の時の給食費事件、覚えている?」
彼女は自分のコーヒーカップを両手で包み込みながら、新しい話題を振ってきた。
「給食費事件?」
先程会った時も思ったが、20年前のことなんて全く覚えていない。
それなのに、何故こうも彼女はつい先日のように話すのか。
だが、答えは簡単だった。
「給食費が盗まれて、その日、体育の時間に保健室にいた私が疑われたんだけど、迫君が庇ってくれて……」
彼女にとって印象的な出来事だった。
ただそれだけ。
それと同時に、ようやく思い出した。
俺がイタズラで盗んだ給食費の犯人に疑われたのが彼女だったと言うことに。
「クラスのみんなは私のことを犯罪者を見るような目つきで私を睨みつけてきたけど、迫君だけは違ったんだよ」
「そうだったかな……」
「うん、だから、改めてあの時は庇ってくれてありがとう」
彼女は改めて頭を下げて感謝してきた。
まさか、目の前にいる男こそが真犯人だとは知らずに。
本当に不憫で滑稽で……憐れだ。
「◯◯さんの中では、俺はいつまで経ってもヒーローのままなんだな」
「そうだよ?」
「そっか……。まあ、久しぶりに懐かしい話が聞けて楽しかったよ。ありがとう」
これ以上、そんな彼女と話しているのがいたたまれなくて、俺は逃げるように立ち上がった。
すると、咄嗟に彼女に腕を掴まれた。
「また会えるかな?」
会えるはずがない。
そう言えばいいものを、
「……俺が◯◯さんにとってヒーローのままなら、ね」
何故か期待を持たせることを言ってしまった。
