仮面売りの少女
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ーーおまけ①ーー
迫さんに盗まれ……もとい、誘拐されてから、そこそこの月日が経った。
“誘拐”と言えば聞こえは悪いけれど、実際は監禁も拘束もされていない。
出入りだって自由にできる。
迫さんが用意してくれた、木の香りがする素朴な家で、一緒に暮らしている。
温かな陽の光が窓から差し込み、家の中はいつも静かで落ち着いていた。
仮面作りや、路上での店頭販売は辞めてしまったけれど、ネット販売でアクセサリーは変わらず売っている。
そのおかげで、ある程度の収入もある。
ーーーー
今日は朝から空が高く、雲ひとつない青空が広がっていた。
庭の草木もきらきらと光り、風は柔らかく頬をなでる。
「今日はお庭でアクセサリーを作ろうかな」
ふと思い立った。
必要な装飾品やビーズ、工具一式をトレーに並べ、そっと外へ出る。
鳥たちのさえずりが心地良いBGMになっていた。
風は穏やかで、強すぎることもない。
これならビーズも飛ばされず、安心して作業ができそうだ。
私はお気に入りの椅子に腰掛けて、静かに作業を始めた。
……。
…………。
夢中になってビーズを選び、手を動かしていると、ふいに背後から1つの影が私のそばに落ちた。
「何してるのかな?」
その優しい声に振り向くと、そこには迫さんがいた。
彼はにこやかに、私の向かいの椅子に腰を下ろす。
「アクセサリーを作っているんです。今日は天気が良いので」
「そうか……。そのビーズ、綺麗な色だな」
私の手のひらに転がる透明なビーズに目を細める迫さん。
「ふふ、ありがとうございます」
私は、迫さんの個性『圧縮』で作られるビー玉に似せて作られたビーズを、丁寧にブレスレットに組み込んでいく。
かつて、仮面もシルクハットも必要だった日々が嘘のように、今の私たちはありのままの姿で、ほっとする時間を共有していた。
心が柔らかく、温かく満たされる。
そんなことを考えていると、ふいに迫さんはどこかいたずらっぽい目つきで私を見つめる。
「今日も君の“心”を盗んでもいいかな?」
私はその言葉に思わず吹き出しながら答えた。
「もう充分盗まれてるから、ダメです。むしろ返してください」
迫さんはわざとらしく大げさに肩を落として見せる。
「うーん、それは困ったな。返してって言われても、もう返せないし」
「それ、反則ですよ」
「なんたって、私はヴィラン。Mr.コンプレスですから」
見上げれば、庭先には柔らかな日の光がこぼれている。
すべてが温かく、穏やかに満ちていた。
この変わらない日常と、隣にいる大切な人。
こんなふうに、いつまでも2人で過ごしていきたい。
幸せなひとときをかみしめながら、私はそっと目を細めた。
迫さんに盗まれ……もとい、誘拐されてから、そこそこの月日が経った。
“誘拐”と言えば聞こえは悪いけれど、実際は監禁も拘束もされていない。
出入りだって自由にできる。
迫さんが用意してくれた、木の香りがする素朴な家で、一緒に暮らしている。
温かな陽の光が窓から差し込み、家の中はいつも静かで落ち着いていた。
仮面作りや、路上での店頭販売は辞めてしまったけれど、ネット販売でアクセサリーは変わらず売っている。
そのおかげで、ある程度の収入もある。
ーーーー
今日は朝から空が高く、雲ひとつない青空が広がっていた。
庭の草木もきらきらと光り、風は柔らかく頬をなでる。
「今日はお庭でアクセサリーを作ろうかな」
ふと思い立った。
必要な装飾品やビーズ、工具一式をトレーに並べ、そっと外へ出る。
鳥たちのさえずりが心地良いBGMになっていた。
風は穏やかで、強すぎることもない。
これならビーズも飛ばされず、安心して作業ができそうだ。
私はお気に入りの椅子に腰掛けて、静かに作業を始めた。
……。
…………。
夢中になってビーズを選び、手を動かしていると、ふいに背後から1つの影が私のそばに落ちた。
「何してるのかな?」
その優しい声に振り向くと、そこには迫さんがいた。
彼はにこやかに、私の向かいの椅子に腰を下ろす。
「アクセサリーを作っているんです。今日は天気が良いので」
「そうか……。そのビーズ、綺麗な色だな」
私の手のひらに転がる透明なビーズに目を細める迫さん。
「ふふ、ありがとうございます」
私は、迫さんの個性『圧縮』で作られるビー玉に似せて作られたビーズを、丁寧にブレスレットに組み込んでいく。
かつて、仮面もシルクハットも必要だった日々が嘘のように、今の私たちはありのままの姿で、ほっとする時間を共有していた。
心が柔らかく、温かく満たされる。
そんなことを考えていると、ふいに迫さんはどこかいたずらっぽい目つきで私を見つめる。
「今日も君の“心”を盗んでもいいかな?」
私はその言葉に思わず吹き出しながら答えた。
「もう充分盗まれてるから、ダメです。むしろ返してください」
迫さんはわざとらしく大げさに肩を落として見せる。
「うーん、それは困ったな。返してって言われても、もう返せないし」
「それ、反則ですよ」
「なんたって、私はヴィラン。Mr.コンプレスですから」
見上げれば、庭先には柔らかな日の光がこぼれている。
すべてが温かく、穏やかに満ちていた。
この変わらない日常と、隣にいる大切な人。
こんなふうに、いつまでも2人で過ごしていきたい。
幸せなひとときをかみしめながら、私はそっと目を細めた。
