仮面売りの少女
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昨日から降り続く雨は、夜が明けても止む気配を見せず、むしろさらに強さを増していた。
「今日はお店、お休みにしようかな……」
窓の外を眺めながら呟く。
こんなときは新作のデザインを考えるに限る。
リビングでノートを開き、作品の下絵を描きながら、無意識にテレビを点けると、画面には赤い速報のテロップが流れていた。
『本日未明、“死穢八斎會”と名乗る犯罪組織が大規模な襲撃事件を起こし────』
朝からやっていたヒーロー番組の再放送かと思いきや、ライブニュースだった。
アナウンサーの切迫した声とともに、事件現場らしき映像が次々と映し出される。
ヒーローたちが駆けつけ、ヴィランが暴れ回り、混乱する市民。
気の毒だけれど、自分には関係ない。
そう思っていた。
リモコンを手に、別のチャンネルへ変えようとした、その時……。
映し出されたヴィランの1人に目を引かれた。
だって、その人は見覚えのある仮面を着けていたから。
「嘘……でしょ……」
白地にツルンとした質感に、黒のラインの描かれた、穴の空いていない仮面だ。
それは、あまりに特徴的だった。
私が丹精込めて作った、唯一無二の仮面。
彼のために作った仮面……。
指の先から徐々に冷たくなり、全身から熱が引いていく感覚。
肝が冷えるのはこのこと。
頭の片隅でぼんやり考えていた。
番組は再び事件の説明に戻り、それ以降、私の仮面のヴィランが大々的に映し出されることはなかった。
だけど私はもう、見るに耐えなくてテレビを消した。
静まりかえった部屋に、雨音だけが響いている。
「……なんで……迫さん……」
誰かに作品を届けたい。
勇気を与える作品でありたい。
その思いだけで仮面を作り続けてきたはずなのに……。
私の知らないうちに、誰かを傷つける道具になっていただなんて。
気付かぬうちに、犯罪の片棒を担いでしまっていた。
その事実が、重く心にのしかかる。
ふと、手元のペンがぽとりとテーブルに滑り落ちた。
それから何日も、机に向かえなくなった。
仮面作りのことを考えるだけで、胸が苦しくなっる。
私は……もう仮面を作れない。
どれだけ後悔しても、時間は戻せなかった。
「今日はお店、お休みにしようかな……」
窓の外を眺めながら呟く。
こんなときは新作のデザインを考えるに限る。
リビングでノートを開き、作品の下絵を描きながら、無意識にテレビを点けると、画面には赤い速報のテロップが流れていた。
『本日未明、“死穢八斎會”と名乗る犯罪組織が大規模な襲撃事件を起こし────』
朝からやっていたヒーロー番組の再放送かと思いきや、ライブニュースだった。
アナウンサーの切迫した声とともに、事件現場らしき映像が次々と映し出される。
ヒーローたちが駆けつけ、ヴィランが暴れ回り、混乱する市民。
気の毒だけれど、自分には関係ない。
そう思っていた。
リモコンを手に、別のチャンネルへ変えようとした、その時……。
映し出されたヴィランの1人に目を引かれた。
だって、その人は見覚えのある仮面を着けていたから。
「嘘……でしょ……」
白地にツルンとした質感に、黒のラインの描かれた、穴の空いていない仮面だ。
それは、あまりに特徴的だった。
私が丹精込めて作った、唯一無二の仮面。
彼のために作った仮面……。
指の先から徐々に冷たくなり、全身から熱が引いていく感覚。
肝が冷えるのはこのこと。
頭の片隅でぼんやり考えていた。
番組は再び事件の説明に戻り、それ以降、私の仮面のヴィランが大々的に映し出されることはなかった。
だけど私はもう、見るに耐えなくてテレビを消した。
静まりかえった部屋に、雨音だけが響いている。
「……なんで……迫さん……」
誰かに作品を届けたい。
勇気を与える作品でありたい。
その思いだけで仮面を作り続けてきたはずなのに……。
私の知らないうちに、誰かを傷つける道具になっていただなんて。
気付かぬうちに、犯罪の片棒を担いでしまっていた。
その事実が、重く心にのしかかる。
ふと、手元のペンがぽとりとテーブルに滑り落ちた。
それから何日も、机に向かえなくなった。
仮面作りのことを考えるだけで、胸が苦しくなっる。
私は……もう仮面を作れない。
どれだけ後悔しても、時間は戻せなかった。
