仮面売りの少女
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迫さんから仮面の注文を受けて以来、私は以前よりもずっと創作に夢中になっていた。
お客さんは相変わらず増えないけれど、不満はない。
だって、彼が私の作品を本当に大事にしてくれているって分かるから。
そのことが、何より私の支えになっていた。
それからも迫さんは定期的にお店へ顔を出してくれた。
買ってくれた仮面の使用感の感想を聞かせてくれたり、新作のデザインについて一緒にアイディアを出し合ったり、時には他愛もない雑談をしたり。
気付けば、迫さんは私にとって特別な常連さんになっていた。
そんなある日の夕方。
小雨が降り始めてきた。
屋根のある場所へお店を移動させるか、それともこのまま店仕舞いにするか。
悩んでいると、傘を差した迫さんがいつものように現れた。
「あ、迫さん!」
「こんばんは、●●さん。急に降ってきたね」
「そうなんですよ。だから、お店を閉めようか迷っていたところなんです」
「そうですか……。●●さんとお話がしたかったのですが、出直します」
その言葉に、私は思わず慌てた。
「え、せっかくいらしたんですから、もう少しいてください!」
「それでは、お言葉に甘えようかな」
迫さんが優しく微笑むのを見て、私は小さくほっと息をついた。
……。
…………。
少しの間、雨音と行き交う人々の足音を聞きながら、迫さんといつものように取りとめのない話をしていた。
ふと、迫さんが商品の仮面を手に取ったかと思えば、私に質問を投げかけてきた。
「もし、●●さんが仮面を着けるなら、どんなときだね?」
一瞬戸惑いながら、その問いを真剣に考えた。
私が仮面を必要とする瞬間……。
「そうですね……。自分の主張を唱えたいとき……ですかね?だけど、私は臆病者なので、顔を隠してでしか言えない気がします。主張したいのか隠したいのか、矛盾していますよね」
今は主張を作品にぶつけているため、特に唱えたいことはないけれど。
いつか私にも仮面を着けざるを得ないときが来るのだろうか。
すると、私の答えを聞いた迫さんは、優しく頷いた。
「その考え、私も同意だ」
迫さんも、何か訴えかけたいときに仮面を着けているのだろうか。
その後もしばらく、2人で雨の夕暮れを静かに過ごした。
やがて迫さんは、そっとテーブルに置いた仮面を撫でながら言った。
「●●さんの仮面を着けると、不思議と勇気が湧いてくる。いつも助けられているよ」
自分の作品に、そんな力があると言ってもらえるなんて……。
私は小さく微笑んだ。
「これからも、私のために仮面を作ってくれないか?」
「はい、ぜひ!」
「では、雨脚も強まってきたことですし、私はそろそろお暇するよ」
迫さんはベージュのトレンチコートを翻し、雨が煙る駅の方面へ消えた。
お客さんは相変わらず増えないけれど、不満はない。
だって、彼が私の作品を本当に大事にしてくれているって分かるから。
そのことが、何より私の支えになっていた。
それからも迫さんは定期的にお店へ顔を出してくれた。
買ってくれた仮面の使用感の感想を聞かせてくれたり、新作のデザインについて一緒にアイディアを出し合ったり、時には他愛もない雑談をしたり。
気付けば、迫さんは私にとって特別な常連さんになっていた。
そんなある日の夕方。
小雨が降り始めてきた。
屋根のある場所へお店を移動させるか、それともこのまま店仕舞いにするか。
悩んでいると、傘を差した迫さんがいつものように現れた。
「あ、迫さん!」
「こんばんは、●●さん。急に降ってきたね」
「そうなんですよ。だから、お店を閉めようか迷っていたところなんです」
「そうですか……。●●さんとお話がしたかったのですが、出直します」
その言葉に、私は思わず慌てた。
「え、せっかくいらしたんですから、もう少しいてください!」
「それでは、お言葉に甘えようかな」
迫さんが優しく微笑むのを見て、私は小さくほっと息をついた。
……。
…………。
少しの間、雨音と行き交う人々の足音を聞きながら、迫さんといつものように取りとめのない話をしていた。
ふと、迫さんが商品の仮面を手に取ったかと思えば、私に質問を投げかけてきた。
「もし、●●さんが仮面を着けるなら、どんなときだね?」
一瞬戸惑いながら、その問いを真剣に考えた。
私が仮面を必要とする瞬間……。
「そうですね……。自分の主張を唱えたいとき……ですかね?だけど、私は臆病者なので、顔を隠してでしか言えない気がします。主張したいのか隠したいのか、矛盾していますよね」
今は主張を作品にぶつけているため、特に唱えたいことはないけれど。
いつか私にも仮面を着けざるを得ないときが来るのだろうか。
すると、私の答えを聞いた迫さんは、優しく頷いた。
「その考え、私も同意だ」
迫さんも、何か訴えかけたいときに仮面を着けているのだろうか。
その後もしばらく、2人で雨の夕暮れを静かに過ごした。
やがて迫さんは、そっとテーブルに置いた仮面を撫でながら言った。
「●●さんの仮面を着けると、不思議と勇気が湧いてくる。いつも助けられているよ」
自分の作品に、そんな力があると言ってもらえるなんて……。
私は小さく微笑んだ。
「これからも、私のために仮面を作ってくれないか?」
「はい、ぜひ!」
「では、雨脚も強まってきたことですし、私はそろそろお暇するよ」
迫さんはベージュのトレンチコートを翻し、雨が煙る駅の方面へ消えた。
