仮面売りの少女
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注文をしてくれた男性は、どんな人なのか、何者なのか……。
心のどこかで興味を持ったけれど、それ以上に創作が楽しくて、仮面作りに没頭しているときは不思議と気にならなかった。
頭の中に浮かぶ新しいデザインを、1つ1つ丁寧に仮面で表現していく。
そして、受け取りの約束をした日。
私はいつもの場所でそわそわしながら、その人の姿を待った。
夕方の駅前。
見覚えのあるベージュのトレンチコートと黒のシルクハット。
遠目にも独特の品格がわかり、自然に胸が高鳴る。
「こんばんは」
変わらず落ち着いていて、優しい声が耳に届く。
私は嬉しさで、つい声が弾んだ。
「こ、こんばんは!あの、ご依頼の仮面ができました!」
そっと複数枚の仮面が入った箱を差し出す。
彼はそのうちの1枚を丁寧に取り出すと、光の下でくるりと回した。
ツルンとした白地に、黒いラインで眼帯を表したようなデザインの仮面。
シルクハットの下の目が、嬉しそうに細められた。
「これは素晴らしい。君のセンスが存分に発揮されている」
ほっと肩の力が抜けて、思わず笑みがこぼれた。
「よかった……正直、お気に召さなかったらどうしようかと」
すると彼は微かに口元で笑って、小声で囁いた。
「そんな心配はいらないよ。君はもっと自分の作品に誇りを持ちなさい」
思いがけない言葉に頬が少し熱くなり、嬉しさとともに勇気が湧いた。
胸の内のモヤモヤが晴れたような気がして、自然と口をついて出てしまう。
「あの……、よかったらお名前、聞いてもいいですか?」
普段はお客様の詮索はしないけれど、何度も足繁く通ってくれた彼のことが気になって仕方がなかった。
彼は少し間を置き、シルクハットのツバをつまんで私に向き直った。
「そうだね。君の仕事は信頼できるから名乗ろう。私は迫圧紘だ」
「迫……圧紘さん……」
思わず復唱してしまった。
「よければ、お嬢さんの名前も聞かせてもらえないか?」
「あ、はい……。私は◯◯●●……です」
自分の名前をこうして伝えるのは、なんだか照れくさい。
けれど、知ってもらえた嬉しさも相まって、きっと今の私は何とも言い難い顔をしている。
「●●さん、素敵な仮面をありがとう。新作ができた際には、またお邪魔してもいいかな?」
「もちろんです!待ってます!」
その日を境に、私はアクセサリーだけでなく、本格的に仮面も商品として扱い始めるようになった。
心のどこかで興味を持ったけれど、それ以上に創作が楽しくて、仮面作りに没頭しているときは不思議と気にならなかった。
頭の中に浮かぶ新しいデザインを、1つ1つ丁寧に仮面で表現していく。
そして、受け取りの約束をした日。
私はいつもの場所でそわそわしながら、その人の姿を待った。
夕方の駅前。
見覚えのあるベージュのトレンチコートと黒のシルクハット。
遠目にも独特の品格がわかり、自然に胸が高鳴る。
「こんばんは」
変わらず落ち着いていて、優しい声が耳に届く。
私は嬉しさで、つい声が弾んだ。
「こ、こんばんは!あの、ご依頼の仮面ができました!」
そっと複数枚の仮面が入った箱を差し出す。
彼はそのうちの1枚を丁寧に取り出すと、光の下でくるりと回した。
ツルンとした白地に、黒いラインで眼帯を表したようなデザインの仮面。
シルクハットの下の目が、嬉しそうに細められた。
「これは素晴らしい。君のセンスが存分に発揮されている」
ほっと肩の力が抜けて、思わず笑みがこぼれた。
「よかった……正直、お気に召さなかったらどうしようかと」
すると彼は微かに口元で笑って、小声で囁いた。
「そんな心配はいらないよ。君はもっと自分の作品に誇りを持ちなさい」
思いがけない言葉に頬が少し熱くなり、嬉しさとともに勇気が湧いた。
胸の内のモヤモヤが晴れたような気がして、自然と口をついて出てしまう。
「あの……、よかったらお名前、聞いてもいいですか?」
普段はお客様の詮索はしないけれど、何度も足繁く通ってくれた彼のことが気になって仕方がなかった。
彼は少し間を置き、シルクハットのツバをつまんで私に向き直った。
「そうだね。君の仕事は信頼できるから名乗ろう。私は迫圧紘だ」
「迫……圧紘さん……」
思わず復唱してしまった。
「よければ、お嬢さんの名前も聞かせてもらえないか?」
「あ、はい……。私は◯◯●●……です」
自分の名前をこうして伝えるのは、なんだか照れくさい。
けれど、知ってもらえた嬉しさも相まって、きっと今の私は何とも言い難い顔をしている。
「●●さん、素敵な仮面をありがとう。新作ができた際には、またお邪魔してもいいかな?」
「もちろんです!待ってます!」
その日を境に、私はアクセサリーだけでなく、本格的に仮面も商品として扱い始めるようになった。
