仮面売りの少女
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数日後。
夕方の冷たい風が吹く中、私はまた駅前の歩道で店を広げていると、どこかで見た背の高い影が近付いてきた。
ベージュのトレンチコートに、黒いシルクハット。
「やあ、また会えたね」
男性は軽く手を上げて微笑んだ。
「あっ……こんばんは」
先日仮面を買ってくれた彼だと、すぐに分かった。
存在感がまるで違うのだ。
「あの仮面、肌身離さず持っているよ」
そう言って彼は胸ポケットにそっと手を触れた。
だけど、私の作った仮面が到底入りそうもない小さなポケットだ。
もしかすると、彼の個性がそれを可能にしているのか。
それとも“心の中に大切にしまっている”という意味なのかもしれない。
はたまた、単なるお世辞だって考えられる。
どちらにせよ、また来てくれたことが嬉しくて、感謝の気持ちが溢れた。
「ありがとうございます。気に入っていただけたようで嬉しいです」
すると彼は、机の上の商品を眺めながら言った。
「仮面はもうないのかい?」
「あ、はい……」
「実は、同じような仮面がもっと欲しくてね。作ってもらえないだろうか?」
「えっ!?」
私は驚きながらも、こんなこと初めてで、思わず笑ってしまった。
「ふふ……、もちろんです。……デザインのご希望や、何か拘りはありますか?」
彼は顎に手を当て、少し考える仕草をした。
「そうだね……デザインに拘りはないけど、全ての仮面に、お嬢さんの個性を施してもらえるだろうか」
「透過……ですか?」
「ああ、頼めるかい?」
仮面に透過の力を施すということは、それらを実際に着けて使うつもりだということ。
売っておきながら、どこでどう使うのか少し気になった。
仮面舞踏会でも開かれているのか。
兎にも角にも、依頼自体は嬉しかった。
「分かりました。私なりに、もっと良い仮面を作らせていただきます!」
「楽しみにしているよ。では、よろしくお願いしますね」
シルクハットの影で彼の顔は相変わらずよく見えないけれど、その目が柔らかく笑っているように思えた。
彼がまた来てくれますように。
そして、私の作品がこれからもっとたくさんの人の手に渡りますように。
彼が去った後、私はすぐさまノートを取り出し、新しい仮面のデザインを考え始めた。
夕方の冷たい風が吹く中、私はまた駅前の歩道で店を広げていると、どこかで見た背の高い影が近付いてきた。
ベージュのトレンチコートに、黒いシルクハット。
「やあ、また会えたね」
男性は軽く手を上げて微笑んだ。
「あっ……こんばんは」
先日仮面を買ってくれた彼だと、すぐに分かった。
存在感がまるで違うのだ。
「あの仮面、肌身離さず持っているよ」
そう言って彼は胸ポケットにそっと手を触れた。
だけど、私の作った仮面が到底入りそうもない小さなポケットだ。
もしかすると、彼の個性がそれを可能にしているのか。
それとも“心の中に大切にしまっている”という意味なのかもしれない。
はたまた、単なるお世辞だって考えられる。
どちらにせよ、また来てくれたことが嬉しくて、感謝の気持ちが溢れた。
「ありがとうございます。気に入っていただけたようで嬉しいです」
すると彼は、机の上の商品を眺めながら言った。
「仮面はもうないのかい?」
「あ、はい……」
「実は、同じような仮面がもっと欲しくてね。作ってもらえないだろうか?」
「えっ!?」
私は驚きながらも、こんなこと初めてで、思わず笑ってしまった。
「ふふ……、もちろんです。……デザインのご希望や、何か拘りはありますか?」
彼は顎に手を当て、少し考える仕草をした。
「そうだね……デザインに拘りはないけど、全ての仮面に、お嬢さんの個性を施してもらえるだろうか」
「透過……ですか?」
「ああ、頼めるかい?」
仮面に透過の力を施すということは、それらを実際に着けて使うつもりだということ。
売っておきながら、どこでどう使うのか少し気になった。
仮面舞踏会でも開かれているのか。
兎にも角にも、依頼自体は嬉しかった。
「分かりました。私なりに、もっと良い仮面を作らせていただきます!」
「楽しみにしているよ。では、よろしくお願いしますね」
シルクハットの影で彼の顔は相変わらずよく見えないけれど、その目が柔らかく笑っているように思えた。
彼がまた来てくれますように。
そして、私の作品がこれからもっとたくさんの人の手に渡りますように。
彼が去った後、私はすぐさまノートを取り出し、新しい仮面のデザインを考え始めた。
