終わらない物語を終わらせよう
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「参ったな」
歩けど歩けど出口に辿り着かない。
途方に暮れていると、黒色の光がクルトガの前に現れた。
「珍しい色の物語だ」
クルトガが黒色の残留思念に手をかざすと、脳裏に物語が流れ込んできた。
『昔々一羽の大鴉がおりました。大鴉は次々と人々の愛する心を啄ばむのでした。王子様はそれを阻止しようと国民に愛を分け与えました。────』
物語はここで終わっている。
「結末を書いてほしくば、私を出口まで案内してくれないか」
意思が通じたのか、黒色の残留思念はすーっと一定方向へ進む。
「いい子だ」
大きな池を横切り、赤い果実がなっている木々を通り過ぎる。
こうしてしばらく歩き進めると、やがて光が見えてきた。
出口だ。
「約束通り物語を終わらせてあげるよ」
クルトガは筆を走らせた。
『昔々一羽の大鴉がおりました。大鴉は次々と人々の愛する心を啄ばむのでした。王子様はそれを阻止しようと国民に愛を分け与えました。しかし、瞬く間にその愛は大鴉のご馳走となります。最後に大鴉は考えました。王子様の心を食べて見たいと。めでたしめでたし。』
物語の残留思念は納得いかなかったのか、しばらくブルブルと震えたが、やがて他の残留思念と同様に弾けるように散っていった。
「この結末でキミの心は満たされなかったようだね。だけど、物語においての焦らしは最高のスパイスなんだよ」
クルトガは道中で捥いだ果実を貪りながら光の方へと消えていった。
歩けど歩けど出口に辿り着かない。
途方に暮れていると、黒色の光がクルトガの前に現れた。
「珍しい色の物語だ」
クルトガが黒色の残留思念に手をかざすと、脳裏に物語が流れ込んできた。
『昔々一羽の大鴉がおりました。大鴉は次々と人々の愛する心を啄ばむのでした。王子様はそれを阻止しようと国民に愛を分け与えました。────』
物語はここで終わっている。
「結末を書いてほしくば、私を出口まで案内してくれないか」
意思が通じたのか、黒色の残留思念はすーっと一定方向へ進む。
「いい子だ」
大きな池を横切り、赤い果実がなっている木々を通り過ぎる。
こうしてしばらく歩き進めると、やがて光が見えてきた。
出口だ。
「約束通り物語を終わらせてあげるよ」
クルトガは筆を走らせた。
『昔々一羽の大鴉がおりました。大鴉は次々と人々の愛する心を啄ばむのでした。王子様はそれを阻止しようと国民に愛を分け与えました。しかし、瞬く間にその愛は大鴉のご馳走となります。最後に大鴉は考えました。王子様の心を食べて見たいと。めでたしめでたし。』
物語の残留思念は納得いかなかったのか、しばらくブルブルと震えたが、やがて他の残留思念と同様に弾けるように散っていった。
「この結末でキミの心は満たされなかったようだね。だけど、物語においての焦らしは最高のスパイスなんだよ」
クルトガは道中で捥いだ果実を貪りながら光の方へと消えていった。