終わらない物語を終わらせよう
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今日も彷徨う物語を探しに海辺までやってきたクルトガ。
「あれは……」
岸に青白い光を放つ丸い塊が浮いている。
結末を奪われた物語の残留思念だ。
クルトガはその残留思念に手をかざすと、脳裏に物語が流れ込んできた。
『昔々一匹の亀がおりました。岸に打ち上げられていた亀は村の子供たちによって虐められていました。────』
物語はここで終わっている。
「今、結末を用意してやるからな」
クルトガは筆を取り出し、空に物語の続きを書き始めた。
止まることなく、スラスラと。
『昔々一匹の亀がおりました。岸に打ち上げられていた亀は村の子供たちによって虐められていました。亀は誰にも助けてもらえず、やがて動かなくなりました。めでたしめでたし。』
クルトガが書き終えると物語の残留思念はすーっと弾けるように散っていった。
代わりに亀の卵のような白くて丸い塊が残されていた。
卵にしては小さい。
クルトガはその丸い塊を拾い上げると、胸ポケットへとしまった。
「今日もまた一つの物語を救うことができた」
クルトガは岸辺を後にした。
「あれは……」
岸に青白い光を放つ丸い塊が浮いている。
結末を奪われた物語の残留思念だ。
クルトガはその残留思念に手をかざすと、脳裏に物語が流れ込んできた。
『昔々一匹の亀がおりました。岸に打ち上げられていた亀は村の子供たちによって虐められていました。────』
物語はここで終わっている。
「今、結末を用意してやるからな」
クルトガは筆を取り出し、空に物語の続きを書き始めた。
止まることなく、スラスラと。
『昔々一匹の亀がおりました。岸に打ち上げられていた亀は村の子供たちによって虐められていました。亀は誰にも助けてもらえず、やがて動かなくなりました。めでたしめでたし。』
クルトガが書き終えると物語の残留思念はすーっと弾けるように散っていった。
代わりに亀の卵のような白くて丸い塊が残されていた。
卵にしては小さい。
クルトガはその丸い塊を拾い上げると、胸ポケットへとしまった。
「今日もまた一つの物語を救うことができた」
クルトガは岸辺を後にした。