終わらない物語を終わらせよう
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鏡の中はこの世とも思えない空間だった。
建物の中なのか、それとも外なのか、それすら分からない。
永遠に続くように見える廊下、景色はぐにゃりと歪んでいる。
後ろを向くと入ってきたはずの鏡が消えていた。
「後戻りはできない、か」
クルトガは覚悟を決めて果てなき道を歩きだした。
景色が変わらないため、下っているのか上っているのかすら分からない感覚に陥る。
方向は合っているのか。
ここから出ることができるのか。
そんなことをクルトガは考えていると、一つの大きな扉が現れた。
厳重そうだけれど、鍵穴は見当たらない。
試しに押してみると、扉はあっさりと開いた。
扉の向こうは玉座がポツンと置かれている。
そして、そこには道化師の様な格好をした老人が腰掛けていた。
「待っていたよ、クルトガ」
なぜか老人はクルトガの名前を知っていた。
「アナタは……」
「私の名前はDr.グリップ。物語の結末を奪った者、と言えば伝わるか」
「お前が……」
「さあ、これから最後の物語を紡ごう」
Dr.グリップがパチンと指を鳴らすと、結末のない一つの物語が現れた。
『昔々一人の字書きがおりました。字書きは様々な物語を終わらせてきました。そして、ついに物語の結末を奪った黒幕の前までやってきたのです。────』
物語はここで終わっている。
「いつものように結末を書くだけさ」
しかし、いくら書こうが物語は紡がれなかった。
インク?
いや、違う。
空に書く筆にインクなどという概念はない。
それならば何故。
「分からないようなら、私がキミの代わりに物語を書いてやろう」
Dr.グリップはひょいっと指を振ると、クルトガが持ってきた筆がたちまち宙に浮かんだ。
そして、静かにDr.グリップの手の中に収まった。
先程まで文字が出てこなかった筆の先からは、何事もなかったかのように物語を紡ぎ始めた。
『昔々一人の字書きがおりました。字書きは様々な物語を終わらせてきました。そして、ついに物語の結末を奪った黒幕の前までやってきたのです。しかし字書きは決して黒幕に勝つ事は出来ないのです。字書きは知らなかったのです。自分が黒幕が作り出した物語の一部だと言うことを。めでたしめでたし。』
この物語が意味することとは……。
建物の中なのか、それとも外なのか、それすら分からない。
永遠に続くように見える廊下、景色はぐにゃりと歪んでいる。
後ろを向くと入ってきたはずの鏡が消えていた。
「後戻りはできない、か」
クルトガは覚悟を決めて果てなき道を歩きだした。
景色が変わらないため、下っているのか上っているのかすら分からない感覚に陥る。
方向は合っているのか。
ここから出ることができるのか。
そんなことをクルトガは考えていると、一つの大きな扉が現れた。
厳重そうだけれど、鍵穴は見当たらない。
試しに押してみると、扉はあっさりと開いた。
扉の向こうは玉座がポツンと置かれている。
そして、そこには道化師の様な格好をした老人が腰掛けていた。
「待っていたよ、クルトガ」
なぜか老人はクルトガの名前を知っていた。
「アナタは……」
「私の名前はDr.グリップ。物語の結末を奪った者、と言えば伝わるか」
「お前が……」
「さあ、これから最後の物語を紡ごう」
Dr.グリップがパチンと指を鳴らすと、結末のない一つの物語が現れた。
『昔々一人の字書きがおりました。字書きは様々な物語を終わらせてきました。そして、ついに物語の結末を奪った黒幕の前までやってきたのです。────』
物語はここで終わっている。
「いつものように結末を書くだけさ」
しかし、いくら書こうが物語は紡がれなかった。
インク?
いや、違う。
空に書く筆にインクなどという概念はない。
それならば何故。
「分からないようなら、私がキミの代わりに物語を書いてやろう」
Dr.グリップはひょいっと指を振ると、クルトガが持ってきた筆がたちまち宙に浮かんだ。
そして、静かにDr.グリップの手の中に収まった。
先程まで文字が出てこなかった筆の先からは、何事もなかったかのように物語を紡ぎ始めた。
『昔々一人の字書きがおりました。字書きは様々な物語を終わらせてきました。そして、ついに物語の結末を奪った黒幕の前までやってきたのです。しかし字書きは決して黒幕に勝つ事は出来ないのです。字書きは知らなかったのです。自分が黒幕が作り出した物語の一部だと言うことを。めでたしめでたし。』
この物語が意味することとは……。