不器用ちゃんと世話焼き君
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翌朝。
登校するなり、私は昨日から気になっていたナオちゃんが言いかけた言葉の続きを聞くために、彼女の席へ向かった。
「ナオちゃん、おはよう!昨日のことなんだけど……何か言いかけてたよね? 佐久早がーって」
「あー……」
ナオちゃんは一瞬、窓際の近くで男子数人と笑い合っている古森君の方へ視線をやった。
それから、何かを企むようなイタズラっ子っぽく目を細める。
「んー、やっぱり面白そうだから黙っておくわ」
「ええっ、なにそれ!気になるじゃない」
「そんなに気になるなら、古森か佐久早に直接聞けば?」
だから、何を聞けばいいのよ!
脳内でそんなツッコミを入れながら、分からないなりに、私はその日一日、古森君のことを密かに観察してみることにした。
ナオちゃんが「2人に聞け」と言うのなら、古森君と佐久早君の間に、私が知らない共通点や秘密があるはずだ。
だけど、観察を始めて気付いたのは、秘密どころか私の心をザワつかせる光景ばかりだった。
休み時間、古森君がクラスの女の子と一緒に重そうなノートの山を運んでいた。
それも、一度きりじゃない。
彼はその教科の係でもなんでもない。
つまり、困っている彼女を放っておけずに手伝っているのだ。
私にだけじゃないんだ……。
誰にでも優しく、誰のことも放っておけない。
彼の善意を目の当たりにして、胸の奥がチクリと痛む。
人が親切にしているのを見て嫌な気分になるなんて、私ってなんて性格が悪いんだろう。
結局、何も収穫がないまま迎えた部活の休憩時間。
私はどんよりとした気持ちのまま、ナオちゃんに事の経緯を報告した。
「考えたけど、全然分からなかったよー!」
「●●って手先だけじゃなくて、考え方まで不器用だよね。ま、そういうところも好きだけどさ」
ナオちゃんは呆れたように笑いながら、スポーツドリンクを一口飲んだ。
「じゃあ、不器用ついでに聞きたいんだけど。人の善い行いを見て、モヤモヤしたり嫌な気持ちになったりするのって、なんでだと思う?」
「そんなの、嫉妬以外に何かある?」
「し、嫉妬……!?」
心臓が大きく跳ねた。
当たり前じゃん、と言わんばかりのナオちゃんの表情に、私は言葉を失う。
「どうせ古森が、他の女の子に親切にしてるところでも見たんでしょ?」
「……っ」
具体的な名前も状況も伏せたはずなのに。
私が分かりやすすぎるのか、それともナオちゃんが鋭すぎるのか。
「この間みたいに一緒に帰って、その不満をぶつけてみたら? それか、いっそのこと好きですって告白しちゃうとか」
「こ、こ、こ、告白!?私が古森君に!?」
「え、だって好きなんでしょ?」
ナオちゃんに突きつけられて、ようやく腑に落ちた。
特別だと思われたかったのも。
他の子に優しくする彼を見て胸を痛めたのも。
彼の笑顔に、どうしようもなくときめいたのも。
全ては、恋をしていたから。
「……」
「古森なら、どんな答えでもちゃんと受け止めてくれると思うんだけどなー」
ナオちゃんは他人事だと思って、気楽なことを言ってくる。
でも、私にはそんな勇気はない。
誰にでも優しい彼に、これ以上優しくされたら、本当に後戻りできなくなってしまう。
そうならないためにも、「もう世話を焼かなくていいよ」と伝えなければと思った。
登校するなり、私は昨日から気になっていたナオちゃんが言いかけた言葉の続きを聞くために、彼女の席へ向かった。
「ナオちゃん、おはよう!昨日のことなんだけど……何か言いかけてたよね? 佐久早がーって」
「あー……」
ナオちゃんは一瞬、窓際の近くで男子数人と笑い合っている古森君の方へ視線をやった。
それから、何かを企むようなイタズラっ子っぽく目を細める。
「んー、やっぱり面白そうだから黙っておくわ」
「ええっ、なにそれ!気になるじゃない」
「そんなに気になるなら、古森か佐久早に直接聞けば?」
だから、何を聞けばいいのよ!
脳内でそんなツッコミを入れながら、分からないなりに、私はその日一日、古森君のことを密かに観察してみることにした。
ナオちゃんが「2人に聞け」と言うのなら、古森君と佐久早君の間に、私が知らない共通点や秘密があるはずだ。
だけど、観察を始めて気付いたのは、秘密どころか私の心をザワつかせる光景ばかりだった。
休み時間、古森君がクラスの女の子と一緒に重そうなノートの山を運んでいた。
それも、一度きりじゃない。
彼はその教科の係でもなんでもない。
つまり、困っている彼女を放っておけずに手伝っているのだ。
私にだけじゃないんだ……。
誰にでも優しく、誰のことも放っておけない。
彼の善意を目の当たりにして、胸の奥がチクリと痛む。
人が親切にしているのを見て嫌な気分になるなんて、私ってなんて性格が悪いんだろう。
結局、何も収穫がないまま迎えた部活の休憩時間。
私はどんよりとした気持ちのまま、ナオちゃんに事の経緯を報告した。
「考えたけど、全然分からなかったよー!」
「●●って手先だけじゃなくて、考え方まで不器用だよね。ま、そういうところも好きだけどさ」
ナオちゃんは呆れたように笑いながら、スポーツドリンクを一口飲んだ。
「じゃあ、不器用ついでに聞きたいんだけど。人の善い行いを見て、モヤモヤしたり嫌な気持ちになったりするのって、なんでだと思う?」
「そんなの、嫉妬以外に何かある?」
「し、嫉妬……!?」
心臓が大きく跳ねた。
当たり前じゃん、と言わんばかりのナオちゃんの表情に、私は言葉を失う。
「どうせ古森が、他の女の子に親切にしてるところでも見たんでしょ?」
「……っ」
具体的な名前も状況も伏せたはずなのに。
私が分かりやすすぎるのか、それともナオちゃんが鋭すぎるのか。
「この間みたいに一緒に帰って、その不満をぶつけてみたら? それか、いっそのこと好きですって告白しちゃうとか」
「こ、こ、こ、告白!?私が古森君に!?」
「え、だって好きなんでしょ?」
ナオちゃんに突きつけられて、ようやく腑に落ちた。
特別だと思われたかったのも。
他の子に優しくする彼を見て胸を痛めたのも。
彼の笑顔に、どうしようもなくときめいたのも。
全ては、恋をしていたから。
「……」
「古森なら、どんな答えでもちゃんと受け止めてくれると思うんだけどなー」
ナオちゃんは他人事だと思って、気楽なことを言ってくる。
でも、私にはそんな勇気はない。
誰にでも優しい彼に、これ以上優しくされたら、本当に後戻りできなくなってしまう。
そうならないためにも、「もう世話を焼かなくていいよ」と伝えなければと思った。
