不器用ちゃんと世話焼き君
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
部活動を終え、校門へ向かっていた時のこと。
ふと視線を向けると、第二体育館の扉から明かりが漏れ出ていることに気が付いた。
まだ、誰か練習してる……?
吸い寄せられるように中を覗くと、そこには古森君と、もう1人。
クラスこそ違えど、その名は私の耳にも届いているほどの有名人、佐久早聖臣君がいた。
ナオちゃん曰く、彼は全国でも指折りのスパイカーで、極度の潔癖症らしい。
そんな彼が黙々とスパイクを打ち込み、古森君がそのボールを拾い続けていた。
古森君、やっぱり世話焼きなんだな……。
あんなに大変そうな佐久早君の練習にまで付き合うなんて。
彼にとって、不器用な私を助けるのも、天才の練習を支えるのも、きっと同じ親切の延長線上なのだ。
自分だけが特別じゃない。
そう突きつけられた気がして、急に自分が恥ずかしくなった。
ナオちゃんの言葉を真に受けて、一瞬でも期待してしまった自分が情けない。
早足でその場を立ち去ろうとした、その時。
シュッ!!
「っ!?」
顔のすぐ横を、猛烈な勢いでバレーボールが通り過ぎた。
風を切る音が耳元で鳴る。
もし当たっていたら、今頃無事では済まなかっただろう。
「すみません!……って、◯◯さん!?」
体育館の入り口から、焦った様子の古森君が飛び出してきた。
「大丈夫!?当たってない?」
「うん……大丈夫。間一髪だった」
心臓の鼓動を誤魔化しながら、私は足元に転がったボールを拾い上げた。
そして、真っ直ぐ古森君目がけて投げた。
「えいっ」
それなのに、気合を入れて放り投げたはずのボールは、あろうことか私の真上へと舞い上がり、そのまま重力に従って垂直落下してきた。
ポカッ!!
「痛っ……!」
「◯◯さん!?」
間一髪で避けたはずのボールに、まさか自分の手で当たってしまうなんて。
不器用にも程がある。
「……大丈夫だから!今のは見なかったことにして!」
恥ずかしさで顔が熱い。
今すぐ消えてしまいたかった。
古森君は一瞬呆気に取られた後、困ったように眉を下げて笑った。
「……う、うん。分かった、何も見てないよ」
気を遣わせてしまったことが余計に心苦しい。
俯く私に、彼は少しだけ声を弾ませて続けた。
「その代わりに……さ」
古森君は一度体育館へ戻ると、中に向かって声を張り上げた。
「聖臣!悪い、友達待たせてるから先に帰るわ!」
えっ、友達……?
待たせている……?
そんな約束をした覚えはないけれど、彼はあっという間に荷物をまとめて戻ってきた。
「途中まで一緒に帰らない?」
その誘いを断る理由なんて、私にはなかった。
「……いいけど、練習はよかったの?佐久早君、まだやりたそうだったけど」
「あー、うん。アイツに付き合ってると際限ないからさ」
彼は苦笑いしながら歩き出す。
なんだか古森君を強引に奪ってしまったみたいで、佐久早君に申し訳ない気がした。
……いや、違う。
彼はきっと、私がまた何かやらかさないか心配してくれただけだ。
「着替えてくるから、校門で待ってて」
「うん」
校門に着くと、そこには意外な先客がいた。
親友のナオちゃんだ。
「ナオちゃん、先に帰ったんじゃなかったの?」
「彼氏待ち。●●こそ、どうしたの?」
「私も、色々あって……古森君と帰ることになって」
その瞬間、ナオちゃんの目がキラリと光る。
「ほら、やっぱり!古森、絶対●●のこと気になってるって」
「ち、違うよ!古森君、さっきまで佐久早君の練習にも付き合ってたもん。彼は誰にでも優しいだけ」
「それは、佐久早が……」
「ナオ!!」
ナオちゃんが何かを言いかけた時、校外から彼女を呼ぶ声がした。
他校の制服を着た男の子が、親しげに手を振っている。
「あ、彼氏来た。じゃあね●●、また明日!」
ナオちゃんが何を言いかけたのか気になったけれど、引き止める間もなく、彼女は幸せそうに駆け出していった。
仲良く並んで歩く2人の後ろ姿。
ぼんやりとそれを見送っていると、背後から駆け寄ってくる足音が聞こえた。
「◯◯さん、お待たせ!行こうか」
着替えを終えた古森君が、少し息を切らして隣に並ぶ。
街灯の下、2つの影がゆっくりと伸びて重なった。
傍から見たら、私たちも……ナオちゃんたちみたいに見えるのかな。
少し手を伸ばせば触れそうな距離。
だけど、この距離がとても遠い。
自分がただの世話焼きの対象でしかないのだと分かっている。
それでも、今この瞬間、周りから私たちがどう見えているのかを想像しては、「そうだったらいいな」と願ってしまう自分がいた。
ふと視線を向けると、第二体育館の扉から明かりが漏れ出ていることに気が付いた。
まだ、誰か練習してる……?
吸い寄せられるように中を覗くと、そこには古森君と、もう1人。
クラスこそ違えど、その名は私の耳にも届いているほどの有名人、佐久早聖臣君がいた。
ナオちゃん曰く、彼は全国でも指折りのスパイカーで、極度の潔癖症らしい。
そんな彼が黙々とスパイクを打ち込み、古森君がそのボールを拾い続けていた。
古森君、やっぱり世話焼きなんだな……。
あんなに大変そうな佐久早君の練習にまで付き合うなんて。
彼にとって、不器用な私を助けるのも、天才の練習を支えるのも、きっと同じ親切の延長線上なのだ。
自分だけが特別じゃない。
そう突きつけられた気がして、急に自分が恥ずかしくなった。
ナオちゃんの言葉を真に受けて、一瞬でも期待してしまった自分が情けない。
早足でその場を立ち去ろうとした、その時。
シュッ!!
「っ!?」
顔のすぐ横を、猛烈な勢いでバレーボールが通り過ぎた。
風を切る音が耳元で鳴る。
もし当たっていたら、今頃無事では済まなかっただろう。
「すみません!……って、◯◯さん!?」
体育館の入り口から、焦った様子の古森君が飛び出してきた。
「大丈夫!?当たってない?」
「うん……大丈夫。間一髪だった」
心臓の鼓動を誤魔化しながら、私は足元に転がったボールを拾い上げた。
そして、真っ直ぐ古森君目がけて投げた。
「えいっ」
それなのに、気合を入れて放り投げたはずのボールは、あろうことか私の真上へと舞い上がり、そのまま重力に従って垂直落下してきた。
ポカッ!!
「痛っ……!」
「◯◯さん!?」
間一髪で避けたはずのボールに、まさか自分の手で当たってしまうなんて。
不器用にも程がある。
「……大丈夫だから!今のは見なかったことにして!」
恥ずかしさで顔が熱い。
今すぐ消えてしまいたかった。
古森君は一瞬呆気に取られた後、困ったように眉を下げて笑った。
「……う、うん。分かった、何も見てないよ」
気を遣わせてしまったことが余計に心苦しい。
俯く私に、彼は少しだけ声を弾ませて続けた。
「その代わりに……さ」
古森君は一度体育館へ戻ると、中に向かって声を張り上げた。
「聖臣!悪い、友達待たせてるから先に帰るわ!」
えっ、友達……?
待たせている……?
そんな約束をした覚えはないけれど、彼はあっという間に荷物をまとめて戻ってきた。
「途中まで一緒に帰らない?」
その誘いを断る理由なんて、私にはなかった。
「……いいけど、練習はよかったの?佐久早君、まだやりたそうだったけど」
「あー、うん。アイツに付き合ってると際限ないからさ」
彼は苦笑いしながら歩き出す。
なんだか古森君を強引に奪ってしまったみたいで、佐久早君に申し訳ない気がした。
……いや、違う。
彼はきっと、私がまた何かやらかさないか心配してくれただけだ。
「着替えてくるから、校門で待ってて」
「うん」
校門に着くと、そこには意外な先客がいた。
親友のナオちゃんだ。
「ナオちゃん、先に帰ったんじゃなかったの?」
「彼氏待ち。●●こそ、どうしたの?」
「私も、色々あって……古森君と帰ることになって」
その瞬間、ナオちゃんの目がキラリと光る。
「ほら、やっぱり!古森、絶対●●のこと気になってるって」
「ち、違うよ!古森君、さっきまで佐久早君の練習にも付き合ってたもん。彼は誰にでも優しいだけ」
「それは、佐久早が……」
「ナオ!!」
ナオちゃんが何かを言いかけた時、校外から彼女を呼ぶ声がした。
他校の制服を着た男の子が、親しげに手を振っている。
「あ、彼氏来た。じゃあね●●、また明日!」
ナオちゃんが何を言いかけたのか気になったけれど、引き止める間もなく、彼女は幸せそうに駆け出していった。
仲良く並んで歩く2人の後ろ姿。
ぼんやりとそれを見送っていると、背後から駆け寄ってくる足音が聞こえた。
「◯◯さん、お待たせ!行こうか」
着替えを終えた古森君が、少し息を切らして隣に並ぶ。
街灯の下、2つの影がゆっくりと伸びて重なった。
傍から見たら、私たちも……ナオちゃんたちみたいに見えるのかな。
少し手を伸ばせば触れそうな距離。
だけど、この距離がとても遠い。
自分がただの世話焼きの対象でしかないのだと分かっている。
それでも、今この瞬間、周りから私たちがどう見えているのかを想像しては、「そうだったらいいな」と願ってしまう自分がいた。
