不器用ちゃんと世話焼き君
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ある日のお昼時間。
私は自分の席で1人、ちょこんと座って机に向き合っていた。
決して友達がいないワケではない。
ただ、私は人より食べるのが恐ろしく遅いのだ。そのため、友達と一緒に食べると、ついお喋りに夢中になってしまい、午後の予鈴が鳴ってもまだ食べ終わらない……なんてことになりかねない。
だから、あえて断っているのだ。
今日のご飯は、お母さんが寝坊してお弁当がなかったため、登校途中に買ったコンビニのおにぎり。
たまにはこういうのも、新鮮でいいかも。
そんな風に少し浮かれた気分で、私はおにぎりのビニール包装に手をかけた。
まずは、三角のてっぺんから垂直にテープを引く。
次に、両サイドの角をスッと引けば、パリパリの海苔が姿を現す……はずだった。
「あれ……?」
手元に残ったのは、無惨にもちぎれて袋の内側に張り付いた海苔の残骸。
……まあ、味は変わらないし、お腹に入れば一緒だ。
私は自分にそう言い聞かせ、海苔の剥げたおにぎりを一口食べた。
次は、飲み物だ。
ストローを挿すタイプではなく、口の部分を左右に開くタイプのブリックパック。
最初は左側を……あ、くっついて破れちゃった……。
紙の重なりが変な風に裂けてしまった。
でも、まだ反対側がある。
私は気を取り直して、右側のつまみに指をかける。
「ぐっ……ぬぬっ……」
今度は、先ほどよりも硬くて動かない。
指先が赤くなるほど力を込めて格闘していると、突然、目の前から吹き出すような声が聞こえた。
「っ……ぷふふ!……あははは!ダメだ、もう限界」
前の席で友達と談笑していたはずの古森君が、椅子をガタつかせて盛大に笑っていた。
「……古森君、見てたの?」
「悪い、悪い。あまりに一生懸命だったからさ。……ほら、貸して」
彼にひょいと取り上げられたブリックパックは、いとも簡単にパカッと開いた。
さっきまでの私の苦労は何だったのかと思うほど、あっけなく。
「はい、どうぞ」
「ありがとう……」
お礼を言うと、古森君は満足げに口角を上げた。
「いいよ。困ったことがあったら、何でも言って」
やっぱり古森君は親切だ。不器用な私を笑うけれど、最後には必ず助けてくれる。
「なーんて格好いいこと言ったけど、実は俺、今めちゃくちゃ困っててさ」
古森君は一転して、困ったように眉を下げて私を見た。
「次の授業、予習の範囲を当てられるんだけど……宿題、忘れてきちゃって。◯◯さん、後でノート写させてくれないかな?」
「それなら、私食べるの遅いから、今から先に渡しておくね」
私は机の中からノートを取り出した。
「マジ?助かる!サンキュー!」
彼は満面の笑みを浮かべてノートを受け取ると、猛スピードでペンを走らせ始めた。
不器用な私には到底真似できない、鮮やかで速い手の動き。
あっという間に写し終えた彼は、晴れやかな顔でノートを返してくれた。
「本当助かった、ありがとう。……っていうか、◯◯さんのノート、字が凄く綺麗で見やすかった。びっくりしたよ」
「ふふ、よかった」
思わず、頬が緩む。
昔は人に見せられないくらい、字が汚かった。
それは不器用のせいなのかは分からない。
だからこそ、どんなに時間がかかっても、ゆっくり、一画ずつ心を込めて書くように心がけてきたのだ。
その小さな努力を、彼に褒めてもらえたことが、何よりも嬉しかった。
私は自分の席で1人、ちょこんと座って机に向き合っていた。
決して友達がいないワケではない。
ただ、私は人より食べるのが恐ろしく遅いのだ。そのため、友達と一緒に食べると、ついお喋りに夢中になってしまい、午後の予鈴が鳴ってもまだ食べ終わらない……なんてことになりかねない。
だから、あえて断っているのだ。
今日のご飯は、お母さんが寝坊してお弁当がなかったため、登校途中に買ったコンビニのおにぎり。
たまにはこういうのも、新鮮でいいかも。
そんな風に少し浮かれた気分で、私はおにぎりのビニール包装に手をかけた。
まずは、三角のてっぺんから垂直にテープを引く。
次に、両サイドの角をスッと引けば、パリパリの海苔が姿を現す……はずだった。
「あれ……?」
手元に残ったのは、無惨にもちぎれて袋の内側に張り付いた海苔の残骸。
……まあ、味は変わらないし、お腹に入れば一緒だ。
私は自分にそう言い聞かせ、海苔の剥げたおにぎりを一口食べた。
次は、飲み物だ。
ストローを挿すタイプではなく、口の部分を左右に開くタイプのブリックパック。
最初は左側を……あ、くっついて破れちゃった……。
紙の重なりが変な風に裂けてしまった。
でも、まだ反対側がある。
私は気を取り直して、右側のつまみに指をかける。
「ぐっ……ぬぬっ……」
今度は、先ほどよりも硬くて動かない。
指先が赤くなるほど力を込めて格闘していると、突然、目の前から吹き出すような声が聞こえた。
「っ……ぷふふ!……あははは!ダメだ、もう限界」
前の席で友達と談笑していたはずの古森君が、椅子をガタつかせて盛大に笑っていた。
「……古森君、見てたの?」
「悪い、悪い。あまりに一生懸命だったからさ。……ほら、貸して」
彼にひょいと取り上げられたブリックパックは、いとも簡単にパカッと開いた。
さっきまでの私の苦労は何だったのかと思うほど、あっけなく。
「はい、どうぞ」
「ありがとう……」
お礼を言うと、古森君は満足げに口角を上げた。
「いいよ。困ったことがあったら、何でも言って」
やっぱり古森君は親切だ。不器用な私を笑うけれど、最後には必ず助けてくれる。
「なーんて格好いいこと言ったけど、実は俺、今めちゃくちゃ困っててさ」
古森君は一転して、困ったように眉を下げて私を見た。
「次の授業、予習の範囲を当てられるんだけど……宿題、忘れてきちゃって。◯◯さん、後でノート写させてくれないかな?」
「それなら、私食べるの遅いから、今から先に渡しておくね」
私は机の中からノートを取り出した。
「マジ?助かる!サンキュー!」
彼は満面の笑みを浮かべてノートを受け取ると、猛スピードでペンを走らせ始めた。
不器用な私には到底真似できない、鮮やかで速い手の動き。
あっという間に写し終えた彼は、晴れやかな顔でノートを返してくれた。
「本当助かった、ありがとう。……っていうか、◯◯さんのノート、字が凄く綺麗で見やすかった。びっくりしたよ」
「ふふ、よかった」
思わず、頬が緩む。
昔は人に見せられないくらい、字が汚かった。
それは不器用のせいなのかは分からない。
だからこそ、どんなに時間がかかっても、ゆっくり、一画ずつ心を込めて書くように心がけてきたのだ。
その小さな努力を、彼に褒めてもらえたことが、何よりも嬉しかった。
