聞きたい、言えない
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なぜ彼は私のことが好きなんだろう。
頭の中でいつまでもその疑問が残っているクセに、私は一丁前に彼女面をしてしまう。
部活が終わり、古森君と一緒に帰れるかもしれないと言う淡い期待を抱きながら、男子バレー部の体育館へと向かった。
家が同じ方向でなくてもいい。
途中まで、いや、校門までのわずかな時間でも、他愛のないお喋りができればそれでいいのだ。
ソワソワしながら、開けっ放しにされていた体育館の扉をそっと覗き込む。
そこには、古森君がいた。
そして、彼の他に、同じく2年生の佐久早聖臣君の姿も。
彼が放つ強烈なスパイクを、古森君が延々とレシーブし続ける。
居残り練習だ。
「残念……」
思わず呟いた。
彼らの邪魔をするのは絶対に避けたかった。
私は2人に気付かれないよう、音を立てずにその場から引き返した。
本当は一言声をかけても良かったはずだ。
それができなかったのは、邪魔をしたくない気持ち以外に、私が佐久早君のことが苦手だったことが関係している。
佐久早君とはまともに話をしたことがない。
それでも、彼は校内で厄介な性格として有名だった。
ネガティブで、几帳面で、人を避ける空気。
私が持っている要素と同じ。
彼は私と性格が似ている。
いわゆる、同族嫌悪というヤツだろうか。
ただ、それだけなら良かった。
だって、佐久早君は圧倒的な才能を持っているから。
自分と彼が似ていると思うことさえ、烏滸がましいと思えるくらいのバレーボールの才能。
こんな私が、2人の練習の邪魔をしていいはずがない。
体育館へ向かう時、弾んでいたようなソワソワした足取りが、今は鉛のように重い。
引きずるような思いで、私は1人で帰路についた。
ーーーー
そんなことがあった矢先のこと。
休み時間中、教室で古森君と他愛のない話をしていると、彼が佐久早君のことを尋ねてきた。
「……そう言えば、佐久早って知ってる?バレー部のエース」
「知ってるよ。全国で3本の指に入る選手なんだよね?」
私は努めて平静を装って答える。
「うん。めちゃくちゃ強いよ!そいつがね────」
古森君が佐久早君の話題に入り込もうとした瞬間、耳を塞ぎたい衝動に駈られた。
「私っ!」
気が付けば、言葉を遮るように大きな声を出した。
周りの生徒が、一瞬こちらに視線を向けたのが分かった。
「……私、佐久早君のことがちょっと苦手だから、あまり話したくない……かな」
そう言いながら、胸の奥がチクリと痛む。
彼と似ている部分が多いのに、その才能に対する嫉妬にも似た劣等感。
そんな感情を古森君に悟られたくなくて、極力この話題は避けたかった。
「そっか。●●ちゃんは佐久早のことが苦手なんだね。分かった」
「ごめんね」
古森君の声は少しだけ、いつもの明るさを失っていたように聞こえた。
でも、すぐに彼は優しい表情で続けた。
「気にしないで!人間誰しも苦手なことがあるもんな!」
私を責めない優しさに、胸を深く撫で下ろした。
だからこそ、私は再び考えてしまうのだ。
どうして、古森君はこんな私を好きになってくれたんだろう。
その答えは、相変わらず分からないままだった。
頭の中でいつまでもその疑問が残っているクセに、私は一丁前に彼女面をしてしまう。
部活が終わり、古森君と一緒に帰れるかもしれないと言う淡い期待を抱きながら、男子バレー部の体育館へと向かった。
家が同じ方向でなくてもいい。
途中まで、いや、校門までのわずかな時間でも、他愛のないお喋りができればそれでいいのだ。
ソワソワしながら、開けっ放しにされていた体育館の扉をそっと覗き込む。
そこには、古森君がいた。
そして、彼の他に、同じく2年生の佐久早聖臣君の姿も。
彼が放つ強烈なスパイクを、古森君が延々とレシーブし続ける。
居残り練習だ。
「残念……」
思わず呟いた。
彼らの邪魔をするのは絶対に避けたかった。
私は2人に気付かれないよう、音を立てずにその場から引き返した。
本当は一言声をかけても良かったはずだ。
それができなかったのは、邪魔をしたくない気持ち以外に、私が佐久早君のことが苦手だったことが関係している。
佐久早君とはまともに話をしたことがない。
それでも、彼は校内で厄介な性格として有名だった。
ネガティブで、几帳面で、人を避ける空気。
私が持っている要素と同じ。
彼は私と性格が似ている。
いわゆる、同族嫌悪というヤツだろうか。
ただ、それだけなら良かった。
だって、佐久早君は圧倒的な才能を持っているから。
自分と彼が似ていると思うことさえ、烏滸がましいと思えるくらいのバレーボールの才能。
こんな私が、2人の練習の邪魔をしていいはずがない。
体育館へ向かう時、弾んでいたようなソワソワした足取りが、今は鉛のように重い。
引きずるような思いで、私は1人で帰路についた。
ーーーー
そんなことがあった矢先のこと。
休み時間中、教室で古森君と他愛のない話をしていると、彼が佐久早君のことを尋ねてきた。
「……そう言えば、佐久早って知ってる?バレー部のエース」
「知ってるよ。全国で3本の指に入る選手なんだよね?」
私は努めて平静を装って答える。
「うん。めちゃくちゃ強いよ!そいつがね────」
古森君が佐久早君の話題に入り込もうとした瞬間、耳を塞ぎたい衝動に駈られた。
「私っ!」
気が付けば、言葉を遮るように大きな声を出した。
周りの生徒が、一瞬こちらに視線を向けたのが分かった。
「……私、佐久早君のことがちょっと苦手だから、あまり話したくない……かな」
そう言いながら、胸の奥がチクリと痛む。
彼と似ている部分が多いのに、その才能に対する嫉妬にも似た劣等感。
そんな感情を古森君に悟られたくなくて、極力この話題は避けたかった。
「そっか。●●ちゃんは佐久早のことが苦手なんだね。分かった」
「ごめんね」
古森君の声は少しだけ、いつもの明るさを失っていたように聞こえた。
でも、すぐに彼は優しい表情で続けた。
「気にしないで!人間誰しも苦手なことがあるもんな!」
私を責めない優しさに、胸を深く撫で下ろした。
だからこそ、私は再び考えてしまうのだ。
どうして、古森君はこんな私を好きになってくれたんだろう。
その答えは、相変わらず分からないままだった。
