手のかかる後輩
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体育館に近づくにつれ聞こえてくるボールの音。
扉を開くと飯綱の言った通り元也君と聖臣君が自主練をしていた。
「あれ?●●先輩じゃないですか。何か忘れ物ですか?」
真っ先に気付いて話しかけてくれた元也君と、少し怪訝な表情を浮かべる聖臣君。
「うん、元也君にちょっと、ね?」
「俺っすか?」
「直ぐ終わるから時間もらえる?」
そう言いながら聖臣君の様子を再度うかがうと、案の定嫌そうな顔をしていた。
先輩に対して隠そうともせずにそんな表情を浮かべるなんて、やっぱり手のかかる後輩は聖臣君の方なんだな、と改めて思い知らされた。
そんな聖臣君に元也君は躊躇なく、
「佐久早ー、ちょっと行ってくるわ」
一言断ると、彼は眉間にシワを寄せながらコクリと頷いた。
ひとまず体育館から出てきてもらって、扉を閉める。
「それで●●先輩、どうしたんですか?」
「えっと……あの……」
なんて話を切り出そう。
「初めて話した時のことを覚えている?」
「ああ、飯綱さんが手のかかる後輩って言っていたやつですか?」
考える間もなく即答された。
やっぱり覚えているよね。
「うん。あれ、私の勘違いで元也君のことじゃなかったの。失礼なことを言ってごめんなさい」
深く頭を下げて謝った。
「顔を上げてくださいよ。別に気にしていませんから」
「でも……」
「その後輩って、大方佐久早辺りでしょ」
「そこまで分かっていてなんで否定しなかったの?」
「面白そうな人だと思ったから」
「面白そう……」
確かにファーストコンタクトがアレではそう思われても仕方がない。
むしろ失礼な先輩、と思われなかっただけ良かったのかもしれない。
「接してみて、俺の勘は当たっていました」
つまり、私は元也君の手のひらに転がされていたということになる。
「だから、改めまして、よろしくお願いしますね。●●セーンパイ」
含みを持たせたような笑み。
まるで私のことを茶化すように先輩呼びをする元也君。
飯綱は聖臣君のことに手を焼いているみたいだけれど、私にとっては手のかかる後輩は元也君の方かもしれない。
ーーFinーー
扉を開くと飯綱の言った通り元也君と聖臣君が自主練をしていた。
「あれ?●●先輩じゃないですか。何か忘れ物ですか?」
真っ先に気付いて話しかけてくれた元也君と、少し怪訝な表情を浮かべる聖臣君。
「うん、元也君にちょっと、ね?」
「俺っすか?」
「直ぐ終わるから時間もらえる?」
そう言いながら聖臣君の様子を再度うかがうと、案の定嫌そうな顔をしていた。
先輩に対して隠そうともせずにそんな表情を浮かべるなんて、やっぱり手のかかる後輩は聖臣君の方なんだな、と改めて思い知らされた。
そんな聖臣君に元也君は躊躇なく、
「佐久早ー、ちょっと行ってくるわ」
一言断ると、彼は眉間にシワを寄せながらコクリと頷いた。
ひとまず体育館から出てきてもらって、扉を閉める。
「それで●●先輩、どうしたんですか?」
「えっと……あの……」
なんて話を切り出そう。
「初めて話した時のことを覚えている?」
「ああ、飯綱さんが手のかかる後輩って言っていたやつですか?」
考える間もなく即答された。
やっぱり覚えているよね。
「うん。あれ、私の勘違いで元也君のことじゃなかったの。失礼なことを言ってごめんなさい」
深く頭を下げて謝った。
「顔を上げてくださいよ。別に気にしていませんから」
「でも……」
「その後輩って、大方佐久早辺りでしょ」
「そこまで分かっていてなんで否定しなかったの?」
「面白そうな人だと思ったから」
「面白そう……」
確かにファーストコンタクトがアレではそう思われても仕方がない。
むしろ失礼な先輩、と思われなかっただけ良かったのかもしれない。
「接してみて、俺の勘は当たっていました」
つまり、私は元也君の手のひらに転がされていたということになる。
「だから、改めまして、よろしくお願いしますね。●●セーンパイ」
含みを持たせたような笑み。
まるで私のことを茶化すように先輩呼びをする元也君。
飯綱は聖臣君のことに手を焼いているみたいだけれど、私にとっては手のかかる後輩は元也君の方かもしれない。
ーーFinーー
