不器用ちゃんと世話焼き君
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〜不器用ちゃんと世話焼き君〜
私は人より手先が不器用な自信がある。
リボンは上手く結べないし、折り紙をしようものなら紙くずが出来上がったり。
この間も学校の先生が、
「みんな悪い、今から配るプリントに訂正箇所があるから各自直しておいてくれ」
と、ホームルーム中に配ったプリントに不備があるとのことで、該当場所を訂正しているときのこと。
あ、書き間違えちゃった。
消しゴム。消しゴム……。
ビリッ!!
「……!」
消す力が強すぎて紙が破れてしまった。
シワと破れで大切なところが読めない。
仕方がない、後で他の人のプリントを見せてもらうか。
そう思っていたら、前の席の古森君が肩を震わせていた。
もしかして、破っちゃったの気付かれた?
それにしても笑うなんて酷い。
古森君はひと仕切り笑い終えると、スッと手を上げた。
「先生、プリント破れてしまったので、予備を貰えませんか」
「なんだ古森、気をつけろよ。ほら、取りに来い」
「ありがとうございます」
古森君はクラスの皆にドジだなー、とかしっかりしろよ、と笑われながらプリントを取りに行った。
席に戻ってきた古森君は、
「はい、これあげる」
と、こっそり先程貰ったプリントを渡してくれた。
てっきり古森君も破ったのかと思っていたのに、もしかして私のために?
「あ、ありがとう………っ!」
「どういたしまして」
「おい、古森。前向けよ〜」
「すみません」
私のせいで再度先生に注意されてしまった古森君。
本当に申し訳ない。
だけど、古森君は満足気に前の方に向き直した。
…………さて、今度は気付かれなかったよね?
受け取ろうとしたとき、紙で指を切ったことを。
これ以上ドジを連発する様を見せるわけにはいかない。
しかもこれ、地味に痛いやつだ。
絆創膏なんて持っていないし、ティッシュで止血すればいいか。
ゴソゴソと鞄からティッシュを取り出していると、いつの間にか机に絆創膏が1枚置かれていた。
古森君だ。
やっぱり気付かれていたのね。
正直、この程度は日常茶飯事だから助けてもらうほどでもないけれど、親切にしてくれるのは素直に嬉しかった。
古森君って案外世話焼き?
私はありがたく絆創膏を使わせてもらった。
ホームルームが終わると、改めて古森君にお礼を言った。
「古森君、プリントと……あと絆創膏もありがとう」
「◯◯さんって本当に不器用だよね」
そう言って、私の指を差した。
そこにはシワだらけ、かつ斜めに貼られている絆創膏が。
「あっ」
私は咄嗟に反対の手で包むように指を隠した。
だって、片手で絆創膏貼るのって難しいんだもん。
「ふふっ、なんか放っとけないんだよな〜」
「〜〜っ!」
その笑った顔、反則だよ。
この日から、何かと古森君は私を気に掛けるようなった。
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