辛くて甘い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ーーおまけ(爆豪side)ーー
中学に入ってすぐのこと。
「かっちゃん、知ってる?かっちゃんの個性に似ている子が同じ学年にいるらしいよ!」
「あ゛あ?知らねェよ!」
デクにはそう言ったが、正直興味が湧いた。
どんな強個性だ、と。
だけど、学校内でそいつは個性を使うことはなかった。
つまんねェの。
そう思いながら帰宅していると、横切った公園でそいつが個性伸ばしの練習をしていた。
これは観察のチャンスだ。
指を鳴らすと火花が散っていた。
確かに爆破個性らしい。
だか、威力は弱くて大したことはない。
それに加え、指を鳴らす前に粉のような物を撒いている。
謎の粉、指を鳴らす動作、火花の威力。
俺はそいつの個性を全て理解した。
可燃性のある粉を撒いて、それに摩擦を加えて爆発を起こすタイプ。
見た目こそ似ているが、全くの別物。
ただ俺がお前ならもっと上手くやれる。
そんな自信からか、気が付いたら俺はそいつに話しかけていた。
「テメェか、俺に似た個性を持っているって言うモブは。せっかくだから、色々と教えてやろうか」
だけどそいつは、
「いい。私は私のやり方で強くなるから」
なんて、生意気にも断ってきた。
気に入らない。弱いくせに。
「へッ!そうかよ!」
精々足掻いていろ。
似た個性だからお前が弱いと俺の個性も見下されるかもしれない。
だから、強くなれ。
俺は名前も知らないそいつに期待した。
ーーーー
久しぶりに会話したのは高校を入学して間もない頃。
昼食を取っていると、知らない女に話しかけられた。
「ねえ、あなた」
その後ろに隠れていたのが●●だった。
「誰かと思えば、モブじゃねえか」
「ひ、久しぶり……」
だけど、あのとき俺様の教えを拒否てきたやつとは思えないほど自信がなく、陰気臭かった。
本当に“私は私のやり方で強くなるから”って言ってきたやつと同一人物なのか。
連れの女は俺と●●の関係を知らなかったのか、図々しい頼み事をしてきた。
「知らねェようだから教えてやるけどよ、コイツは一度俺様の善意を断っている。だから俺もコイツには教えない」
腹が立ってその場では勢いに任せてそう言った。
それなのに大して怒るでもなく、連れの女を制しながら、
「爆豪君もいきなりごめんね」
なんて謝ってきやがった。
面白くねェ。
一人残されて考えた。
俺はアイツにどうなって欲しいんだ。
強くなって欲しいのか、俺を追いかけて欲しいのか……。
あ゛あ!!分からねェ!!
気が付いたら足は●●の元へ向かっていた。
「おい、モブ!!」
「!?」
驚いた顔がムカつく。
「な、何?」
「どうしても強くなりたいなら教えてやらなくもない」
素直じゃない言い方。
だけど、これが俺なりの精一杯の譲歩。
「是非お願いします!」
何故か●●の代わりに返事をした連れの女。
だが、いい。
「おう、じゃあ決まりな。さっそく今日の授業後に訓練場に来い」
あーあ、自分で言っておいて授業後に特訓とか面倒くせェ。
だけど、高ぶる気持ち。
俺は満足げにその場を離れた。
ーーーー
逸る気持ちを抑えながら俺は訓練場へ向かう。
まだ●●は来ていないようだな。
だけど、待っても一向に来やしねェ。
「……」
あいつ、逃げたか。
知らない間に根性なしになったのか。
ムカつく。
イライラがピークに達しそうになったところで、ようやく●●が現れた。
「遅せーぞ!!モブ!!」
「ご、ごめん」
腹を押さえるように猫背な姿勢。
そんなに俺との特訓が嫌かよ。
だけど、そんなこと知らねェ。
「さっそく始めんぞ」
●●の戦闘スタイルはあの頃と変わっていなかった。
可燃性の粉塵を撒いてから指を弾いて摩擦を起こさせる。
効率が悪 い。
俺は当時から思っていた動きを提案した。
「チマチマ指で摩擦を起こすから弱 んだよ。使えるもんはなんでも使え。腕でも脚でも摩擦起こせんだろ!」
「だって……」
愚痴愚痴言い訳しやがって。
腹を立てるならこんなやつ放っておけば良いものを、なぜ俺はこんなにも必死なんだよ。
それからは見本を見せつつ、スピードを重点的に強化した。
「今日はこの辺にしてやる」
「あ、ありがとう……ゼェ……ございました……ゼェッ……」
「クソダセェな、この程度でへばんなよ」
息こそ上がっているが、ここまで付いてこられた。
こいつの根性はまだ死んでいないようで嬉しかった。
……嬉しかった?
よく分からねェ感情を振り払い、明日も特訓をこじつけた。
さて、ここで解散か。
だけど、もう少し一緒にいたいと思い、もっともらしい理由を並べて飯に誘った。
ーーーー
「俺の行きつけの店だ」
●●は俺が勧めた麻婆豆腐を注文した。
「わー美味しそう」
「美味そうじゃねェ。美味ェんだ」
しかし一口食べたと思いきや、卓上に置いてあった辛味パウダーをこれでもかってくらいかけやがった。
「お前……激辛党かよ」
なんて言ったけど、中学の頃の●●はそんなに辛い物を食べていた記憶はない。
俺も辛い物好きだから、少しでも辛い物に定評があるやつには勝負を吹っかけていたから覚えているだけだ。
決してストーカーではない。
誰に言うわけでもなく言い訳をする。
ただ、こいつの辛い物への執念は異常さを感じた。
こいつ、もしかして……。
この違和感を確認したくて、次の日の特訓後も飯に誘ったけれど、
「ごめんね、連日はご飯作ってくれている親に悪いから……。お小遣いだって少ないし……」
と、断られてしまった。
確かに俺も昨日はババアに飯いらないなら連絡しろ、と殴られた。
「分かったよ」
それからも断られ続け1週間が経った。
特訓の成果か前よりだいぶ動きは良くなった。
だけど、
「モブ、最近顔色悪くないか」
日に日に悪くなるこいつの顔色に我慢の限界が来て問い詰めた。
「気のせいじゃないかな?ちゃんと寝てるし、ご飯も食べてるし……」
気のせいなわけあるか。
無意識だろうが、よく胃を押さえているし。
「……」
「それなら、ちゃんとしてるって証明するから、家に来てよ。ご飯作る」
「分かった」
願ってもみなかった。
●●がまだあんな食生活をしているのか確認できる。
別にそのためであって、こいつの作ったご飯が食べられるのが嬉しいわけではない。
うん、そうだ。
自宅に招かれた後、●●は手際よく料理を始めた。
エプロン姿が可愛く感じる。
可愛いって……今日の俺はどうかしている。
邪念を振り払いながら、出された料理に手をつけた。
「いただきます」
麻婆豆腐か。
俺の好きな飯。
「意外と旨い」
嘘、めちゃくちゃ旨い。
●●の方を見ると、やはり麻婆豆腐に大量の赤い粉をかけていた。
かけ過ぎだと制しても聞かない●●。
「いつからだ」
「え?」
「いつからそんなに辛い物食うようになった」
「雄英に入ってすぐかな……」
俺は確信した。
「ストレスで辛い物食べてるって自覚してんのか」
「ストレス?そんなまさ……か……」
「その顔は自覚あんだな」
●●はコクリと頷いた。
「ストレス発散させてやろうか」
「爆豪君?」
俺は●●の唇を奪っていた。
柔らかくて、しっとりしていて、少しだけピリつく味。
「んっ……ぅ」
溢れる息で我に返った。
悪ふざけが過ぎたか、と慌てて唇を離したが、満更でもない顔をしている●●。
その顔をもっと見たい。
俺のことで頭をいっぱいにしたい。
そうか、俺はいつの間にか●●のことを……。
そんな気も知らず、
「まだ足りない」
なんて煽ってくるこいつ。
「どうなっても知らねェからな」
俺はペロっと下唇を舐めた。
中学に入ってすぐのこと。
「かっちゃん、知ってる?かっちゃんの個性に似ている子が同じ学年にいるらしいよ!」
「あ゛あ?知らねェよ!」
デクにはそう言ったが、正直興味が湧いた。
どんな強個性だ、と。
だけど、学校内でそいつは個性を使うことはなかった。
つまんねェの。
そう思いながら帰宅していると、横切った公園でそいつが個性伸ばしの練習をしていた。
これは観察のチャンスだ。
指を鳴らすと火花が散っていた。
確かに爆破個性らしい。
だか、威力は弱くて大したことはない。
それに加え、指を鳴らす前に粉のような物を撒いている。
謎の粉、指を鳴らす動作、火花の威力。
俺はそいつの個性を全て理解した。
可燃性のある粉を撒いて、それに摩擦を加えて爆発を起こすタイプ。
見た目こそ似ているが、全くの別物。
ただ俺がお前ならもっと上手くやれる。
そんな自信からか、気が付いたら俺はそいつに話しかけていた。
「テメェか、俺に似た個性を持っているって言うモブは。せっかくだから、色々と教えてやろうか」
だけどそいつは、
「いい。私は私のやり方で強くなるから」
なんて、生意気にも断ってきた。
気に入らない。弱いくせに。
「へッ!そうかよ!」
精々足掻いていろ。
似た個性だからお前が弱いと俺の個性も見下されるかもしれない。
だから、強くなれ。
俺は名前も知らないそいつに期待した。
ーーーー
久しぶりに会話したのは高校を入学して間もない頃。
昼食を取っていると、知らない女に話しかけられた。
「ねえ、あなた」
その後ろに隠れていたのが●●だった。
「誰かと思えば、モブじゃねえか」
「ひ、久しぶり……」
だけど、あのとき俺様の教えを拒否てきたやつとは思えないほど自信がなく、陰気臭かった。
本当に“私は私のやり方で強くなるから”って言ってきたやつと同一人物なのか。
連れの女は俺と●●の関係を知らなかったのか、図々しい頼み事をしてきた。
「知らねェようだから教えてやるけどよ、コイツは一度俺様の善意を断っている。だから俺もコイツには教えない」
腹が立ってその場では勢いに任せてそう言った。
それなのに大して怒るでもなく、連れの女を制しながら、
「爆豪君もいきなりごめんね」
なんて謝ってきやがった。
面白くねェ。
一人残されて考えた。
俺はアイツにどうなって欲しいんだ。
強くなって欲しいのか、俺を追いかけて欲しいのか……。
あ゛あ!!分からねェ!!
気が付いたら足は●●の元へ向かっていた。
「おい、モブ!!」
「!?」
驚いた顔がムカつく。
「な、何?」
「どうしても強くなりたいなら教えてやらなくもない」
素直じゃない言い方。
だけど、これが俺なりの精一杯の譲歩。
「是非お願いします!」
何故か●●の代わりに返事をした連れの女。
だが、いい。
「おう、じゃあ決まりな。さっそく今日の授業後に訓練場に来い」
あーあ、自分で言っておいて授業後に特訓とか面倒くせェ。
だけど、高ぶる気持ち。
俺は満足げにその場を離れた。
ーーーー
逸る気持ちを抑えながら俺は訓練場へ向かう。
まだ●●は来ていないようだな。
だけど、待っても一向に来やしねェ。
「……」
あいつ、逃げたか。
知らない間に根性なしになったのか。
ムカつく。
イライラがピークに達しそうになったところで、ようやく●●が現れた。
「遅せーぞ!!モブ!!」
「ご、ごめん」
腹を押さえるように猫背な姿勢。
そんなに俺との特訓が嫌かよ。
だけど、そんなこと知らねェ。
「さっそく始めんぞ」
●●の戦闘スタイルはあの頃と変わっていなかった。
可燃性の粉塵を撒いてから指を弾いて摩擦を起こさせる。
効率が
俺は当時から思っていた動きを提案した。
「チマチマ指で摩擦を起こすから
「だって……」
愚痴愚痴言い訳しやがって。
腹を立てるならこんなやつ放っておけば良いものを、なぜ俺はこんなにも必死なんだよ。
それからは見本を見せつつ、スピードを重点的に強化した。
「今日はこの辺にしてやる」
「あ、ありがとう……ゼェ……ございました……ゼェッ……」
「クソダセェな、この程度でへばんなよ」
息こそ上がっているが、ここまで付いてこられた。
こいつの根性はまだ死んでいないようで嬉しかった。
……嬉しかった?
よく分からねェ感情を振り払い、明日も特訓をこじつけた。
さて、ここで解散か。
だけど、もう少し一緒にいたいと思い、もっともらしい理由を並べて飯に誘った。
ーーーー
「俺の行きつけの店だ」
●●は俺が勧めた麻婆豆腐を注文した。
「わー美味しそう」
「美味そうじゃねェ。美味ェんだ」
しかし一口食べたと思いきや、卓上に置いてあった辛味パウダーをこれでもかってくらいかけやがった。
「お前……激辛党かよ」
なんて言ったけど、中学の頃の●●はそんなに辛い物を食べていた記憶はない。
俺も辛い物好きだから、少しでも辛い物に定評があるやつには勝負を吹っかけていたから覚えているだけだ。
決してストーカーではない。
誰に言うわけでもなく言い訳をする。
ただ、こいつの辛い物への執念は異常さを感じた。
こいつ、もしかして……。
この違和感を確認したくて、次の日の特訓後も飯に誘ったけれど、
「ごめんね、連日はご飯作ってくれている親に悪いから……。お小遣いだって少ないし……」
と、断られてしまった。
確かに俺も昨日はババアに飯いらないなら連絡しろ、と殴られた。
「分かったよ」
それからも断られ続け1週間が経った。
特訓の成果か前よりだいぶ動きは良くなった。
だけど、
「モブ、最近顔色悪くないか」
日に日に悪くなるこいつの顔色に我慢の限界が来て問い詰めた。
「気のせいじゃないかな?ちゃんと寝てるし、ご飯も食べてるし……」
気のせいなわけあるか。
無意識だろうが、よく胃を押さえているし。
「……」
「それなら、ちゃんとしてるって証明するから、家に来てよ。ご飯作る」
「分かった」
願ってもみなかった。
●●がまだあんな食生活をしているのか確認できる。
別にそのためであって、こいつの作ったご飯が食べられるのが嬉しいわけではない。
うん、そうだ。
自宅に招かれた後、●●は手際よく料理を始めた。
エプロン姿が可愛く感じる。
可愛いって……今日の俺はどうかしている。
邪念を振り払いながら、出された料理に手をつけた。
「いただきます」
麻婆豆腐か。
俺の好きな飯。
「意外と旨い」
嘘、めちゃくちゃ旨い。
●●の方を見ると、やはり麻婆豆腐に大量の赤い粉をかけていた。
かけ過ぎだと制しても聞かない●●。
「いつからだ」
「え?」
「いつからそんなに辛い物食うようになった」
「雄英に入ってすぐかな……」
俺は確信した。
「ストレスで辛い物食べてるって自覚してんのか」
「ストレス?そんなまさ……か……」
「その顔は自覚あんだな」
●●はコクリと頷いた。
「ストレス発散させてやろうか」
「爆豪君?」
俺は●●の唇を奪っていた。
柔らかくて、しっとりしていて、少しだけピリつく味。
「んっ……ぅ」
溢れる息で我に返った。
悪ふざけが過ぎたか、と慌てて唇を離したが、満更でもない顔をしている●●。
その顔をもっと見たい。
俺のことで頭をいっぱいにしたい。
そうか、俺はいつの間にか●●のことを……。
そんな気も知らず、
「まだ足りない」
なんて煽ってくるこいつ。
「どうなっても知らねェからな」
俺はペロっと下唇を舐めた。
8/8ページ