主役を喰らうヒロイン
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8月上旬。
夏休みに入り、私はダラダラと過ごしていた。
ふと部屋に貼られているカレンダーを見ると“林間合宿”と大きく書かれた文字。
今頃寧人は頑張っているんだろうな。
帰ってきたら労ってあげないと。
その前にストレスが溜まったから個性をコピーさせろ、が先になるかな。
運良く合宿と重ならなかった夏祭り。
もちろん一緒に行く相手は寧人。
早く帰ってこないかなー。
怪我で行けないなんてなったら承知しないんだから。
ーーーー
約束当日。
まだ明るいけれど、間もなく暗くなるだろう。
お祭り会場のすぐ近くの神社で待ち合わせると、小綺麗な格好の寧人が鳥居にもたれ掛かって待っていた。
ちなみに、私も浴衣などではなく、いつも通りの私服。
「お待たせ、寧人。林間合宿お疲れ様!」
「本当に疲れたよ」
少し見ない間に増えた傷。
頑張ったことが伺える。
「合宿って何をしたの?」
「主に個性強化訓練かな。僕の場合は色んな個性を使いこなせるための場数を踏まされたよ」
「大変だったね」
「まっ、僕の前に唯一無二なんて人間は存在しないからさ。可憐にこなして来たよ」
「さすが!そんな寧人には、屋台のご飯奢っちゃう!何でも好きなもの言って!」
「気が利くじゃん」
そう言って私たちは屋台が密集しているエリアへと向かった。
その頃には提灯には明かりが灯り始めた。
一通り食べたい物を買い漁って、先程待ち合わせに使った神社の石畳に腰掛けて食べることにした。
「これ美味しいね!」
「こっちも中々」
「ちょっと頂戴!」
「あっ、コラ!」
私は寧人の持っていた鴨のコンフィを串に刺した物を一口頬張った。
「本当に美味しいね」
「まさかフランス料理があるとは、驚いたよ」
最近の屋台ってなんでもある。
どんなに忙しくても、また来年一緒にこうしていたいな。
その前に来週の花火大会とか、夏休みの課題をうちでして……。
やりたいことがたくさん。
そう思っていたのに、
「あのさ……」
「ん?」
「●●に言わないといけないことがあって」
「……何?」
このテンションは良い報告ではない。
「実はヒーロー科の全生徒が全寮制になることが決まった」
「え………いつから」
「8月の半ばには」
「……」
一週間もないじゃん。
どうやら詳しくは教えられないけれど、林間合宿中に色々とあったらしく、生徒の危険対策のためらしい。
寮に入ったら気軽に会えなくなる。
林間合宿の比ではない。
下手をすれば卒業するまで。
「そんな辛気臭い顔するなって。学校では会えるんだし」
「そ、そうだね!」
落ち込む私に対し平気そうな寧人。
私を元気付けるために平気なフリをしているのか、はたまた私と会う時間が減ることを何とも思っていないのか。
そのどちらなのか、今は考えたくなかった。
夏休みに入り、私はダラダラと過ごしていた。
ふと部屋に貼られているカレンダーを見ると“林間合宿”と大きく書かれた文字。
今頃寧人は頑張っているんだろうな。
帰ってきたら労ってあげないと。
その前にストレスが溜まったから個性をコピーさせろ、が先になるかな。
運良く合宿と重ならなかった夏祭り。
もちろん一緒に行く相手は寧人。
早く帰ってこないかなー。
怪我で行けないなんてなったら承知しないんだから。
ーーーー
約束当日。
まだ明るいけれど、間もなく暗くなるだろう。
お祭り会場のすぐ近くの神社で待ち合わせると、小綺麗な格好の寧人が鳥居にもたれ掛かって待っていた。
ちなみに、私も浴衣などではなく、いつも通りの私服。
「お待たせ、寧人。林間合宿お疲れ様!」
「本当に疲れたよ」
少し見ない間に増えた傷。
頑張ったことが伺える。
「合宿って何をしたの?」
「主に個性強化訓練かな。僕の場合は色んな個性を使いこなせるための場数を踏まされたよ」
「大変だったね」
「まっ、僕の前に唯一無二なんて人間は存在しないからさ。可憐にこなして来たよ」
「さすが!そんな寧人には、屋台のご飯奢っちゃう!何でも好きなもの言って!」
「気が利くじゃん」
そう言って私たちは屋台が密集しているエリアへと向かった。
その頃には提灯には明かりが灯り始めた。
一通り食べたい物を買い漁って、先程待ち合わせに使った神社の石畳に腰掛けて食べることにした。
「これ美味しいね!」
「こっちも中々」
「ちょっと頂戴!」
「あっ、コラ!」
私は寧人の持っていた鴨のコンフィを串に刺した物を一口頬張った。
「本当に美味しいね」
「まさかフランス料理があるとは、驚いたよ」
最近の屋台ってなんでもある。
どんなに忙しくても、また来年一緒にこうしていたいな。
その前に来週の花火大会とか、夏休みの課題をうちでして……。
やりたいことがたくさん。
そう思っていたのに、
「あのさ……」
「ん?」
「●●に言わないといけないことがあって」
「……何?」
このテンションは良い報告ではない。
「実はヒーロー科の全生徒が全寮制になることが決まった」
「え………いつから」
「8月の半ばには」
「……」
一週間もないじゃん。
どうやら詳しくは教えられないけれど、林間合宿中に色々とあったらしく、生徒の危険対策のためらしい。
寮に入ったら気軽に会えなくなる。
林間合宿の比ではない。
下手をすれば卒業するまで。
「そんな辛気臭い顔するなって。学校では会えるんだし」
「そ、そうだね!」
落ち込む私に対し平気そうな寧人。
私を元気付けるために平気なフリをしているのか、はたまた私と会う時間が減ることを何とも思っていないのか。
そのどちらなのか、今は考えたくなかった。