意地っ張りちゃんと見栄っ張り君
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少し歩いて、人けのない会場の通路までやって来た。
「ここなら大丈夫かな……」
私は物間君の手をそっと離し、正面から向き合う。
「物間君、本当はB組なの?」
物間君はバツの悪そうな顔をしている。
そして観念したように口を開いた。
「うん……本当」
「なんでそんな嘘を……っ!」
私の声が震える。
思い返せば思い当たることばかりだった。
先日物間君の家に遊びに行ったときのこと。
拾い損ねたプリントの裏面から透けて見えた赤色のマルとバツ。
あれはきっと答案用紙だ。
確かバツの方が多かった気がする。
そうすると、物間君がA組の中でもトップだと豪語していたことに矛盾が生じる。
それに、そのときの会話がやけに歯切れが悪かったのを覚えている。
注意深く見ていれば、こんなにもおかしなところが出てくるのに、なんで私は今まで気が付かなかったんだろう。
なんで、物間君はこんな嘘を吐いたんだろう。
「なんで……」
「それは……●●ちゃんに格好良いと思われたかったから」
「格好良いと思われたかった……から?」
物間君は無言で頷く。
そんなことで嘘を付いたの?
……いや、私が嘘を吐かせてしまったんだ。
私が昔から彼のことを褒め立てたから。
それで情け無い姿を見せられなくなったんだ。
「実際はB組だし、赤点だし、実力だってない。こんな僕のこと嫌いなったよね。ごめんね、弱い僕で……」
物間君の声がかすかに震えている。
バカにしないで……。
私は物間君の頬を両手で包むように挟んだ。
物間君の目が大きく開かれる。
その目を真っ直ぐ見て私は言った。
「私はアナタが強いから好きなんじゃない!アナタだから好きなの!
会うたびに色んな個性を披露してくれて、器用で面白くて格好良くて時たま変な顔をするアナタが好きなのに。
「B組だとか、赤点だとか気にしない。自分で自分のことを貶めるようなことを言わないで!これ以上私の好きな物間君を汚すようなことを言うと、アナタでも許さない」
静かな場所に、私の声だけが強く響いた。
「●●ちゃん……!」
物間君の瞳が、うっすら涙で揺れている。
私はそっとその涙を親指でぬぐいながら、続けていった。
「もう、無理に背伸びしなくていいんだよ。私はありのままの物間君が好きだから」
物間君は、しばらくじっと私を見つめていたけれど、やがて、恥ずかしそうに、でも少しだけ自信を取り戻したように、静かに微笑んだ。
「ありがとう。●●ちゃんのおかげで、なんだか心が軽くなった気がするよ」
ほっとしたように、2人で小さく笑い合う。
外から聞こえてくる賑やかな体育祭の音が、どこか遠く感じられた。
きっと、これからもっとお互いに素直になれる気がした。
私はもう一度、物間君の手をぎゅっと握る。
「私、お腹空いちゃった。お昼、一緒に食べよ?」
物間君は涙を指で拭って、元気よく頷いた。
2人の距離は前よりずっと近くなっていた。
ーーFinーー
「ここなら大丈夫かな……」
私は物間君の手をそっと離し、正面から向き合う。
「物間君、本当はB組なの?」
物間君はバツの悪そうな顔をしている。
そして観念したように口を開いた。
「うん……本当」
「なんでそんな嘘を……っ!」
私の声が震える。
思い返せば思い当たることばかりだった。
先日物間君の家に遊びに行ったときのこと。
拾い損ねたプリントの裏面から透けて見えた赤色のマルとバツ。
あれはきっと答案用紙だ。
確かバツの方が多かった気がする。
そうすると、物間君がA組の中でもトップだと豪語していたことに矛盾が生じる。
それに、そのときの会話がやけに歯切れが悪かったのを覚えている。
注意深く見ていれば、こんなにもおかしなところが出てくるのに、なんで私は今まで気が付かなかったんだろう。
なんで、物間君はこんな嘘を吐いたんだろう。
「なんで……」
「それは……●●ちゃんに格好良いと思われたかったから」
「格好良いと思われたかった……から?」
物間君は無言で頷く。
そんなことで嘘を付いたの?
……いや、私が嘘を吐かせてしまったんだ。
私が昔から彼のことを褒め立てたから。
それで情け無い姿を見せられなくなったんだ。
「実際はB組だし、赤点だし、実力だってない。こんな僕のこと嫌いなったよね。ごめんね、弱い僕で……」
物間君の声がかすかに震えている。
バカにしないで……。
私は物間君の頬を両手で包むように挟んだ。
物間君の目が大きく開かれる。
その目を真っ直ぐ見て私は言った。
「私はアナタが強いから好きなんじゃない!アナタだから好きなの!
会うたびに色んな個性を披露してくれて、器用で面白くて格好良くて時たま変な顔をするアナタが好きなのに。
「B組だとか、赤点だとか気にしない。自分で自分のことを貶めるようなことを言わないで!これ以上私の好きな物間君を汚すようなことを言うと、アナタでも許さない」
静かな場所に、私の声だけが強く響いた。
「●●ちゃん……!」
物間君の瞳が、うっすら涙で揺れている。
私はそっとその涙を親指でぬぐいながら、続けていった。
「もう、無理に背伸びしなくていいんだよ。私はありのままの物間君が好きだから」
物間君は、しばらくじっと私を見つめていたけれど、やがて、恥ずかしそうに、でも少しだけ自信を取り戻したように、静かに微笑んだ。
「ありがとう。●●ちゃんのおかげで、なんだか心が軽くなった気がするよ」
ほっとしたように、2人で小さく笑い合う。
外から聞こえてくる賑やかな体育祭の音が、どこか遠く感じられた。
きっと、これからもっとお互いに素直になれる気がした。
私はもう一度、物間君の手をぎゅっと握る。
「私、お腹空いちゃった。お昼、一緒に食べよ?」
物間君は涙を指で拭って、元気よく頷いた。
2人の距離は前よりずっと近くなっていた。
ーーFinーー
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